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溶けかけ。
2024-08-01 21:01:59
1975文字
Public
ほぼ日刊
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フォンテーヌ探偵事務所は今日も平和です
助手ヌヴィレット×探偵フリーナのほのぼの探偵モノのお話です。
事件やトリックなどは全く思いつかないので、どうかふわっと流して下さい。
「犯人は
……
キミだよね、ヘンダーソンさん」
フリーナが男を指差す。差された男は余裕の笑みを浮かべた。
「私が犯人ですと? いくら名探偵であるフリーナ様とはいえ、ご冗談が過ぎますな」
「へぇ〜随分、余裕があるんだね?
……
まあ、いいさ。その余裕そうな顔を悔しさで歪ませることになると思うしね。
――
ヌヴィレット!」
フリーナが指を鳴らせば、音もなく長身の男性が表れた。整った顔立ちと美しい銀髪に老若男女が感嘆のため息をつく。
「彼に『あれ』を。
――
さて、ヘンダーソンさん。これを見てもまだ余裕でいられるかな?」
「はっ! 何を言い出すのかと思えば
……
」
ヌヴィレットが持ってきたクッションに置かれた二対の指輪にヘンダーソンは目を見開いた。
「貴様っ!何処でそれを!!」
ヌヴィレットは指輪を取り返そうとするヘンダーソンを軽々と避けるとフリーナの側へと歩み寄った。フリーナはヌヴィレットに「ありがとう」と言うと、指輪を取り、高く掲げた。
「さて、戯れはここまでにして
――
話そうか、この事件の真相を」
手錠をかけられたヘンダーソンが連行されていくのを見守りながらフリーナがヌヴィレットに問いかけた。
「
――
キミ、本当は分かっていたんだろ?」
「
……
何がかね?」
「全部だよ。犯人が彼であることもそうだし、その動機や手口に至るまで」
「はて、何のことだろうか?」
ヌヴィレットが顎に手を当て考える仕草をする。
フリーナはため息をついた。
「はぁ
……
まあ、いいや。どうせキミはそう言うだろうと思っていたし。
――
ご飯でも行こうよ。 2日もこんな野暮ったい館に閉じ込められていたんだ。息抜きでもしないとやってられないよ」
「ふむ。そうだな
……
水が美味い店があればいいのだが
……
」
「キミの基準だとまたいつもの店になるんだけど」
呆れたようなフリーナの視線が突き刺さる。しばらくヌヴィレットに視線を向けていた彼女は、彼の手を引くと駆け出した。
「ふふっ
……
なんてね。ほら、早く行こう? 僕が奢ってあげるからさ!」
「ふむ
……
必要経費、というやつか?」
「それは言わない約束だよ」
「でさぁ
……
何でキミみたいな優秀なやつが僕の助手なんかしてるんだい? 自分で言うのもなんだけど、他の仕事をした方が余程儲かっただろうに」
カクテルをちびちびと飲みながらフリーナが言った。
「それは
……
」
「あ、待って、当てるから!
……
ずばり、推理マニアだったとか?」
「違うが」
「違うかぁ
……
じゃあ
……
えっと
……
」
フリーナは頰を紅潮させ、うつらうつらとし始める。やがて意味を成さない単語を羅列するとすやすやと気持ちよさそうに眠りについた。
「はぁ
……
すまない、会計を」
ヌヴィレットは会計を済ませると、フリーナを背負って店を出た。
「ぬゔぃれっと
……
それはぼくのだぞ
……
」
むにゃむにゃと幸せそうに寝言を呟くフリーナに口の端が緩む。
――
助手になった理由か、とヌヴィレットは星空を仰いだ。
「その人は犯人じゃないよ」
ある雪の降る日、青いコートを着た少女は凛とした声でそう言った。その場にいた者たちは彼女を胡散くさそうに見た。
「フフッ
……
これだけ大人がいるのに、こんな簡単なトリックに騙されるなんて
……
笑っちゃうよ」
鼻頭を赤く染めた少女はゆっくりと大人たちの輪の中へと進み出る。濡れ衣を着せられ、警察に取り押さえられているヌヴィレットと視線を合わせると「心配しないで」と音に乗せずに言って笑った。
「では、紐解いて見せようか。この事件の真相を」
少女は身振り手振りを交えながら、事件の顛末を語る。それは一つの舞台のように思えた。
少女の推理により真犯人が逮捕され、舞台は幕を閉じる。役目は終わったとばかりに帰路へと着く背中にヌヴィレットは声をかけた。
「君のおかげで助かった。推理小説顔負けの見事な推理だった」
「ふふ。大げさだよ。冤罪が生み出されているのを見て見ぬふり出来なかっただけさ
……
キミは人外かい? この国ではさぞ生き辛いだろう
……
恥ずかしい話だけどね」
この国では人間至上主義が尊ばれており、ヌヴィレットのような、人ならざる者は迫害されることも少なくない。他の国ではそのようなことも少ないのだが。
「何か礼がしたいのだが」
ヌヴィレットの言葉に少女はきょとんとした後、微笑んだ。
「ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ
……
あぁ、そうだ。もし、キミやキミの友人に何か困ったことが起きたら尋ねてくるといい
……
顔見知りだし、安くしておくよ」
少女が渡した紙には「フォンテーヌ探偵事務所 フリーナ」と書かれていた。
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