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三毛田
2024-08-01 16:45:06
1074文字
Public
1000字
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06. 抱き締めてもいいかな
6日目 悪夢にうなされる君を助けたくて
「丹恒」
「どうした」
「抱きしめていい?」
「
……
お前の好きにしろ」
魘されているから起こしたら、すまなそうに眉を下げて。さらには謝ろうとしたから、それを止めるために名前を呼んだ。
上半身を起こした丹恒をそっと抱きしめる。
胸が痛くて苦しくて、泣きそうになる。だからといって、丹恒が過ごした過去が変わるわけじゃないし、痛みや傷がそう簡単に癒えるわけじゃない。
ただのエゴだ。
「穹」
「なぁに?」
「呼んだだけだ」
「なんだそれ」
「でも、お前の名前を口にしたら、声を聞いたら、随分と楽になった。ありがとう」
「どういたしまして〜。ついでにちゅ~する?」
「それは遠慮しておく」
「丹恒ひどーい!」
俺が拗ねたように頬を膨らませると、ようやく笑ってくれた。
なのみたいに、常に笑顔っていうのも変だけど、険しい表情で何かを耐えるように食いしばっているよりはいい。
「好きだよ」
「
……
今は、その言葉がとても嬉しい」
「そっか。少しずつ、丹恒に染み込んでいってるんだな」
「そうかもしれないな」
恐る恐るだが、背中に腕が回ってきて。
我慢だ、穹。急いては事を仕損じる。ってアーカイブにもあっただろう?
ようやく丹恒先生が、俺の好意が自分の中に広がっていっていることを認める発言をしたんだ。待たないと。
「こんな俺でも、穹や三月、姫子さんやヴェルトさんは好いてくれているんだと。その中でも、お前からの好意は、深い水底に落ちていく感覚の中でもはっきりとわかるんだ。優しくて温かくて。俺を、そこから引っ張り上げてくれる」
ポツリポツリ言葉を紡いで。
何かを耐えているのか掻き抱くように、少し爪を立てられる。
今の俺には、そんな痛みすら愛しく。
「丹恒が落ち着くまで、抱きしめてるから」
「すまない」
「ここは謝るんじゃなくて、お礼がいいな」
「
……
ありがとう、穹」
「どういたしまして」
強めの力で、俺に抱きついている。時折鼻を啜る音が聞こえるのは、聞かなかったことにしよう。
だから俺は、ポンポンと優しく背中を叩いて落ち着くのを待つ。
「丹恒、キスしたい」
「今は駄目だ」
「え〜。え?」
「お前に顔を見られたくない」
え。
今は、顔を見られたくないから? それだけ?
キスする事自体はいいってこと?
丹恒の言葉を反芻して、情緒とか感情とか色々ごちゃごちゃ考えてる内に
……
離れていってしまう。
もう少し抱きしめていたかったけど、残念。
「何だ、その顔は」
「どんな顔?」
「鏡を見てみろ」
なんて優しく笑う。
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