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白夜
2024-08-01 00:50:25
4848文字
Public
TF
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水色の航空兵と付き合いたい空陸参謀の話
G1サン←ブリ
2024.8.7内容加筆修正+ブリッツ視点追加
「なあ、サンクラちゃん。その
……
、サンクラちゃんのこと好きなんだ。だからオレと付き合ってくれねぇ?」
ブリッツウイングの部屋に招かれて一緒にエネルゴン酒を飲み始めた時からずっと何かを言いたそうにしていたことには気付いていた
――
いや、正確には「二人きりで飲まねぇ?」と明らかに純度が高そうなエネルゴン酒を片手に声を掛けてきた時からいつもと少し様子が違っていた。何か言いたいことでもあるのか?とその様子を見て思いながらも、ブリッツウイングが用意してくれた純度の高いエネルゴン酒に舌鼓を打っていると、ようやくブリッツウイングから発せられた言葉にサンダークラッカーは心が冷えるのを感じた。
サンダークラッカーは自分で言うのもどうかと思うが、ジェットロンとして他機と比べるとスマートな機体をもち、整った顔立ちをしていることもあり、下世話な誘いをされることが多かったため自分の容姿のことについては自覚している。
また、よく兄弟からはお人好しだと揶揄われることがあるほどに事なかれ主義で面倒なことを避けるために意図して人当たりの良い態度を取ることが多い。それ故に、周りから穏やかだとか温厚だとか思われていたり水色天使だとかふざけた呼称で呼ばれたりしていることをサンダークラッカーは知っている。
見てくれは兄弟機であるスタースクリームやスカイワープとカラーリング以外はほぼ変わらないが、これらの評価のせいでジェットロンの中では一番受け入れてくれそうだとか丸め込みやすそうだとか流されやすそうだとか思われているのだろう。
そのため抱かせて欲しいなどと宣ってくる野郎は一定数いる。そして、勝手にサンダークラッカーに幻想を抱いて付き合ってくれと言ってくる相手もいる。そんな相手も結局はサンダークラッカーのことを抱きたいと思っている男ばかり。更に、友人とまではいかずとも親しくなった者にも押し倒された経験はある
――
もちろんどの相手に対しても抱かれる気は皆無であるため、まさかサンダークラッカーに抱かれるとは微塵も思っていない相手の意表をついて抱き潰してやるのがお約束になっている。
それはそれで都合の良い性欲処理の相手になっているので丁度良いのであるが、親しいと思っていた相手から向けられる欲ほど不愉快なものはない。
そんななかで、ブリッツウイングはサンダークラッカーに対して下世話な感情を向けてくることのない相手だった。
初めてブリッツウイングに出会った時は以前から話には聞いていたが戦うことしか頭にないおっかない奴だという印象を抱いていた。しかし、ブリッツウイングというとサンダークラッカーに対して出会った当初から何故かフレンドリーに接してきた。
始めこそ、長年の経験のせいで下心のようなものがあるのではないかと勘繰っていたが、付き合いを続けていくうちに、柄が悪く適当な嘘を軽率に言うことが多く、戦闘になると周りが見えなくなりがちな男であるが、悪い酔い方をすることは基本的になく、冗談や面白いことを言ってサンダークラッカーを楽しませてくれる愉快な男だということを知った。そして、一緒に酒を飲んで他愛もない会話をすることだけでなく普段アルコールが入っていない時も他愛もない会話をするのも悪くないと思うほどにサンダークラッカーはブリッツウイングのことを気に入っていた。
だからこそ、ブリッツウイングがサンダークラッカー自身に対して付き合って欲しいなど言ってくるなど思ってもいなかったのだ。
「なぁ、なんか返事くれよ」
「
……
」
「さ、サンクラちゃん
……
?」
「
……
、俺に抱かれてくれるっていうなら付き合っても良いですよ」
「えっ!」
ブリッツウイングの告白は勝手に裏切られたような気持ちになりながら薄い笑みを浮かべて、どうせかったことにしてくれとでも言うのだろうな、と思いながらそう提案すればブリッツウイングは驚いた表情をして固まった。
その様子に、ああやっぱりか、と白けた気持ちになりながらエネルゴン酒が少し残っているグラスを眺めながら苦笑した
――
そんな時だった。
「そ、そっかぁ! え、付き合うことになったらそういうこともするもんな!? うわー! 考えてなかったぜ! え、オレ、サンクラちゃんに抱かれても良い!」
突然、サンダークラッカーの方へ前のめりになってきて明るい笑みを浮かべたと思えば、テンション高めにそんなことを言ってきたブリッツウイングに、今度はサンダークラッカーが驚いて固まることになる。
それはまるでサンダークラッカーのことが好きで付き合いたいが、接続をするということは微塵も考えなかったとでもいうような発言。
「え、なんですか。その接続を想定してなかったみたいな言い方
……
」
「へ? だって、普通考えなくねぇ?」
やはり接続のことをに関して全く頭になかったという口振り。
サンダークラッカーに対して「好きだ、付き合ってくれ」と言ってくる奴らは、誰もが接続が前提であり、そもそもサンダークラッカー自身誰かを好きになったことがないため、そういうものなのだろうと思っていたためブリッツウイングの考えはかなり意外であった。
「いやいや、普通は考えるでしょ」
「えー? そういうもん?」
「そうじゃなけりゃ、じゃあ何がしたいんすか?」
「えっ、そ、それは
――
その、えーっと、その今みたいに一緒にお酒飲んだりたまには一緒に出掛けたり、一緒に空飛んだりとか? あ! サイバトロンの奴らを一緒にぶちのめしにも行きてぇな!」
そして、純粋な疑問をぶつけてみれば照れた表情を見せながら語ったのは、最後に言ったサイバトロンの奴どうこうは置いておくにしても、それ以外はあまりにも純粋な願望。そもそも今までも似たようなことをしてきている。
「いや、それって別に付き合わなくても出来るじゃないっすか?」
「はぁ? 何言ってんだよ! オレはサンクラちゃんが好きで他の誰にも取られたくねぇの。だって、サンクラちゃんってモテるだろ? だから恋人になんねぇと意味がねぇの」
「なるほど
……
?」
ブリッツウイングはどうやら独占欲で付き合いたいと言っているのだろうということを理解する。
正直なところ、それに性欲が附随していないことが不思議であるが、もしかしたら性欲はすべて戦闘欲のようなものに変換されて戦うことで発散している可能性がブリッツウイングの場合であれば大いにある。
「なあ、それでさ、条件のんだから付き合ってくれるってことで良いんだよな?」
「いや、アンタそれで良いんすか」
「え、なんで?」
「何でって
……
、俺はアンタのこと好意的には思ってるけど恋愛感情はないんですよ?」
「おう! オレ、サンクラちゃんがオレのこと好きだって言ってくれるように頑張るぜ。それで、良いよな?」
「
……
え、あっ、はい」
「やったー! へへへ、すっげぇ嬉しい」
今までに経験したことのない状況に戸惑いながら、それで良いのか聞いてみれば、それで良い好きだと言ってくれるように頑張る、とブリッツウイングにしては健気なことを言ってくるのでますます困惑してしまうなかで、ブリッツウイングにそう聞かれてその圧の強さにサンダークラッカーはつい頷いてしまった。
しまった、と思ったが嬉しそうに頬を緩めて笑うブリッツウイングに、まあ悪い気はしないから良いか、とサンダークラッカーも微笑み返す。
正直、後で抱かれても良い発言を前言撤回するつもりなのではないだろうかと勘繰らないわけではないが、口振り的に嘘や誤魔化しで、そのようなことを言っているようには見えない。
(まあ、俺のこと抱こうとしようとするなら、リーダーやワープと姦してやれば良いだけの話だしな)
どんなに温厚だとか穏やかな性格をしているだとか言われていようがあくまでそれは周りと比べての話であり、サンダークラッカーは結局のところデストロンなのである。
朗らかな笑みの裏側でそのようなことを思いながら、サンダークラッカーはグラスに残っていたエネルゴン酒を飲み干した。
*
ブリッツウイングはサンダークラッカーのことが好きである。
それはもちろん恋愛感情による好意。今まで戦うことがブリッツウイングのすべてであり、サイバトロンをぶちのめすことにだけがブリッツウイングの欲を満たしていた。
しかし、それは生意気な航空参謀が兄弟機だと言って連れて来たジェットロンの一人
――
水色の彼に出会ったことにより大きく変わった。俗に言うところの“一目惚れ”というものだったのだろう。
ただあまりにも不慣れな感情に困惑しながらもサンダークラッカーに話しかけた時あまりにもたどたどしくなってしまったが、思っていたよりも低音で少し気だるげな声で、よろしくお願いしますと微笑んだ彼にブリッツウイングはブレインがショートしてしまいそうになった。
それからはサンダークラッカーのことをよく知っているであろうスタースクリームにあれこれと聞いた。ついでに同じジェットロンであるスカイワープにも聞いた。スタースクリームからは本人に聞けよ、と鬱陶しそうにされたが時にブレードを突き付けて無理矢理離吐かせたし、スカイワープには拳を見せて吐かせた。好きな子のことを知りたいと思うのは当然なことなので仕方がない。
その中で、空を飛べることを誇りに思っており空を飛ぶことが好きなこと、意外にもお酒が好きで強いということ、彼のことを狙っているセイバートロニアンはたくさんいることなどを他にもたくさんのことを教えてもらった。
確かに空を飛んでいるサンダークラッカーはとても綺麗で惚れ惚れするし、ソニックブームでサイバトロンを蹴散らしている様子はスパークが壊れてしまうのではないかと思う程に格好良い。
慣れないながらにもサンダークラッカーに絡めば、はじめは「なんで一般航空兵の自分なんかに
……
?」と戸惑っていた様子だったが、しばらくするとブリッツウイングが声を掛けずとも彼から声を掛けてくれるようになっていき、更には一緒にアルコールを楽しみ、どちらかの部屋で飲む仲になっていた。
正直なところ、ブリッツウイングは今の関係に満足していた。現場が重なった時は少しではあるが会話を交わし、時間がある時は共にエネルゴン酒と会話を楽しむ。たまに一緒に空を飛びもした。サンダークラッカーにとって、その気は一切ないだろうがブリッツウイングにとってはデートと言っても過言ではなかった。
もちろん相棒であるアストロトレインとバカ騒ぎするのも楽しいが、サンダークラッカーとの一緒にいるのはそれとは違う楽しさがあった。
だからこそ、ずっとこの関係を続けることができたらなと思っていた
――
そう、思っていたのだ。
その気持ちが大きく変化したのは、サンダークラッカーが見知らぬ奴に告白されているのを目撃してしまってからだ。元々、サンダークラッカーがモテることは彼の兄弟機からも聞いて知っていたし、関わっているなかで絶対オレ以外も好きになる奴いるよなぁ、とは思ってはいた。
ただそれを目の当たりにしてしまうと、サンダークラッカーを他の誰かにとられてしまうのではないかという不安に苛まれるとの同時に他の誰にも渡したくないという独占欲が生まれた。
それからいろいろ
――
アストロトレインに泣きついたり、スタースクリームにサンダークラッカーの好みを吐かせたりなど
――
あり、ついにサンダークラッカーに告白をする決意をし、通信を入れて、今日暇なら一緒に自分の部屋で飲まないかと誘った。
そして、壊れてしまうのではないかと思うほど脈動するスパークには気付かないふりをしながら、今日のために手に入れた彼好みの酒を握り締めながらサンダークラッカーのことを待つのだった。
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