饗李
2024-07-29 13:40:31
953文字
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半年

跡部夢、名前変換有。
跡部景吾と付き合って半年経って声が聞きたくて電話をする話。

饗李……あ」

 家に帰ってご飯を食べて、お風呂に入ってからスマホの画面を見ていたら来た通知。
 忘れっぽいから、と記念日だかなんだかを記録できるアプリから飛んできたそれは、とある日から半年経った、ということを伝えていた。

……はん、とし」

 思わずカレンダーを見る。もうそんなに経っていたのか、という気持ちと、まだ半年なのか、という気持ちが混ざり合う。
 ……私が、跡部先輩のことを好きになって、半年。時を重ねれば重ねるほど好きが増していってしまって、どうにかなってしまいそうで。
 きっとこの気持ちはおさまることがないのだろうな、なんて思う。おさまらせるわけもないのだけど。
 スマホを持ったままベッドに座り込む。どうしよう。今、とても跡部先輩の声が聞きたい。でも既に時間は21時を回っていて、寝なければいけない。明日はお休みだけど、迷惑はかけたくない。

 ……でも、こえ、ききたい。

 そう思ったら、指が勝手に動いていた。3コール鳴っても出なかったら切ろう。明日起きた時に何か言い訳すればいいし、なんて思って。いち、に、の2コール目の途中で音が途切れた。

……饗李か?』
「跡部先輩……!」

 嬉しくて、思わず大きな声が出てしまった。こういう時、なんで? が出ない辺り惚れ込みすぎている気がする。

『どうした、持ち帰った仕事で分からないものでもあったか?』
……いや、持ち帰った仕事は終わってますよ」
……?』

 首をでも傾げているのだろうか。そんな雰囲気がして、ちょっとだけ笑みがこぼれた。

「カレンダー見ていたら、声聞きたくなって」

 特に今日は記念日でもない。私がひとりで記録して、覚えて、思いを馳せてるだけ。やっぱり迷惑だったかなぁ、なんて思えば、少しだけ笑う声が聞こえた。

……跡部、先輩?」
……可愛いところ、あるじゃねぇか』
……!」

 突然の言葉に、顔が赤くなる。突然そんなこと言われるなんて思わなかったから、思わず手を口でおおってしまった。

……もう」

 でも、そんな風に言ってもらえたのも嬉しくて。相変わらず単純だけれど、好きな人の前だし仕方ないだろう。

「あの、跡部先輩」
『どうした』
「眠たくなるまで、お話しませんか?」