yossy
2024-07-29 01:23:21
2233文字
Public 自創作
 

野佐和の日記

「灰塵と接吻」ネタバレ有り、現行未通過×
自探索者がセッションの振り返りをする日記型SS

×月×日

ストレス発散(セックス)が終わり鳩羽さんから、
高級そうなレストランの無料招待券を木村さんから頂いた事を聞く。
ラブホを出た後、鳩羽さんの買い物の付き添いをする。
駅前の大型複合施設は富裕層向けの店舗も多く行き慣れなさを感じる。
庶民的または大衆的な場所ばかり出かけるのが普通だったから、鳩羽さんと木村さんと出かけるとはいえリッチな場所には未だ慣れない。
育成選手の為、そこまで収入は無くとも蓄えは充分あると自負しているが、やっぱり高いものは高い。
手頃な値段ながら、自分に合いそうなものを見繕う。
半端なものだと服に着せられてるなと笑われそうなので。
鳩羽さんは鳩羽さんで俺じゃ着こなせないスタイリッシュで洗練されたものを見ていた、流石鳩羽さん。
自分で購入しようと思ったのに、鳩羽さんに奢らせてしまった。
レストランに行く当日までに多少身だしなみを整えなきゃな。

×月×日

当日(といってもこの日に書けなかったから当時のことを思い出しながら記入する)
高級レストランの名に恥じない美味しい料理の品々に満足。
木村さんは本当に情報通だなと再確認した。
鳩羽さんは食事の所作も美しいし、会話で緊張を解してくれた。
堅苦しい食事は苦手だったけどちゃんと味も楽しめたし、鳩羽さんとの食事は居心地が良かった。
帰路で何のサプライズかと思っていたら首輪を貰ったのは衝撃的だった。
鞄に首輪入れてた鳩羽さんを考えるだけでも面白いのに。
首輪も何故か馴染んでいたし、俺は前世犬だったのかもしれない。
ここまでは楽しい思い出だった。
人に襲われて、腕で庇ったのが不味かったのか。いや頭や心臓を狙われていたら致命症だっただろう。
切られた感覚だけ嫌に覚えている。
あと、折角買ってもらった礼服を汚したのが申し訳なかった。

×月×日
奇妙な夢を見て、病院で目が覚めた。
鳩羽さんをベッドの側で寝かせてしまって体悪くするんじゃないかとヒヤヒヤした。
ぐるぐる巻きの腕、数日寝ていた事、
退院の話までは生きていたから楽観的に見ていた。(今思えば防衛本能に近いと思う)
傷や状態を見て、終わったかもと思った。
選手生命や鳩羽さんとの関係諸共。
でも、乗り越えられない障害もないと切り替えていた。
母は今後の事は細かにシミュレーションしなさいと口癖のように言っていたから、想定した上で目の前のことを一つ一つクリアしていけば大丈夫だと考えていた。
それよりも自分以上にショックを受けていた鳩羽さんに申し訳なかったし、変に誤魔化しても余計怒らせるだろうなと言葉がなかなか見つからなかった。
(荷物とか病院とのやり取りとか任せちゃったし)
木村さんが迎え来てくれて少しホッとした。
直ぐ傷の事を見抜かれて観察眼が凄いなと思った。
鳩羽さんと違う理由で隠し事はしない方がいいかもしれない。
鳩羽さんの家に泊めてもらい今後のことを考えながら寝た。

×月×日

鳩羽さんが優しくてちょっと怖いくらいだった。
嫌な夢が吹き飛ぶくらい優しかったなあ。
鳩羽さんがいないと死んでしまうような感覚を覚えるほど心が弱っていたのかもしれない。
手作りのご飯は美味しかった(バカ舌だとよく言われたから信用ないかもしれない)
この日は鳩羽さんと途中から木村さんに助けて貰いながら情報収集をした。
ジャーナリストをしていた頃が懐かしいが、野球に全て捧げてしまったし、木村さんが居なかったらうまくいかない事も多かったな。
木村さんの貸しが今から怖い。
イタリアンの食事は楽しくて美味しかった。また三人で行きたい。
夜は鳩羽さんにすごく優しく抱かれて寝た。

(集めた情報をまとめたメモ)

×月×日

生きてきた中で最も嫌な日で、生きてきて良かったと実感した日。

夢は最悪だった。起きた後の口の中に残る感触が気持ち悪くて吐いた。
同じ目に遭ったであろう彼の気持ちもよく分かる気がした。
自分の好きな人を食べる事ほど自己嫌悪に陥るものは中々ないから。
吐いた後なのに鳩羽さんにキスされたのは予想外だったけど、嬉しかった。
どうにか鳩羽さんを喜ばせたいのに、いつも鳩羽さんにさせてばかりで自信がなく、いつもなら言わない事を木村さんに言ってしまった。
鳩羽さんは怒っていたけど、もしかしたら死ぬかもしれないし現実逃避したのかもしれない。
早くこの傷をどうにかしないとと、焦っていた。

(集めた情報をまとめたメモ)

晩餐会。
悍ましい筈の夢なのに、柔らかなパンとワインは鳩羽さんの血肉だった。
自分が自分でない感覚と、
自分を、野佐和大樹を、人として引っ張ってくれる鳩羽さんのおかげで思考を止める事はなかった。
絶対、鳩羽さんを助けて、二人で生きて帰らなきゃ。
ただそれだけだった。
儀式の後の夢の詳細は忘れた。
鳩羽さんがキツく抱きしめてくれた事と、
手の傷が治った事の方が大事だったから。

その後木村さんのおかげで無事に生還する事が出来、病院を嫌がる鳩羽さんの治療をして眠った。



日付が暫く空く



×月×日

あの日に負った怪我もすっかり治り、鳩羽さんも傷跡が残らなそうで良かった。
明日俺の家に来るらしいので大掃除をした。
ずっと鳩羽さんのお家にお世話になったし、諸々の件のお礼の品を考えなきゃな。
掃除を終えた後買い出しに行きいつもの平穏な1日を終える。
明日が来るのが楽しみだ。