haru_haru0704
2024-07-27 21:25:05
1576文字
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愛の行く先は

カカロ×忌炎 全年齢
※マフィア×闇医者パロ

カカロに家をもらってから、3ヶ月が経った。
時折怪我をして帰ってくるカカロの手当てをするのは、以前と同じだ。
しかし、それ以外の時間はすっかり様変わりしてしまった。
患者が1人しかいないため、薬や治療道具の点検・補充などはほとんど必要なくなった。カルテも書く必要がない。帳簿もつける必要がない。
つまるところ、やる事がなくて暇なのだ。
であれば家の掃除や家事をしようと思ったのだが、カカロが寄こした家政婦にやんわりと止められた。彼女らも仕事でやっているのだから、それを無理矢理奪うわけにはいかない。
暇潰しのために外へ行くこともあるのだが、あまり楽しめなかった。
だから俺は、カカロが夜に帰ってくるのをぼーっと待つだけの人間になった。
その状況は、俺にとってひどく苦痛だった。
仕事をしたい。勉強をしたい。もっと人の役に立ちたい。カカロに頼りきりになりたくない。
いくら自分に優しくとも、結局のところカカロは犯罪者である。
そんな彼に飼われているということ自体が、ひどく情けなかった。

*
今日は、思ったより早く仕事が終わった。
忌炎には「今日は帰らない」と伝えていたが、予定変更だ。
帰りに何か土産でも買って、帰るとしよう。

*
家に帰ると、忌炎がごそごそと何かをしていた。
俺が帰ってきたことに気付いていないらしい。
何となく声をかけるのが躊躇われて、こっそりと後ろから観察する。
──忌炎は、荷物をまとめていた。
「・・・え、カカロ・・・!?」
不意に、忌炎が振り向いた。
驚きに目を見開き、そして怯えるように後ずさる。
「あ、その・・・これは、違うんだ」
何が違うというのだろう。
忌炎は荷物を背中に隠しながら、必死に言い訳を探しているようだった。
「ここを出ていくつもりなのか?」
「っ、そ、それは・・・」
忌炎は言葉を詰まらせた。
その反応を見て確信する。
やはり、出ていくつもりだ。
それを許してしまえばきっと、もう2度と戻ってはこないのだろう。
カッと頭に血が上る。
そんなことを許してなるものか、すぐさま捕まえて足枷でも付けてしまえ。
そして、一生ここで飼い殺してやればいい。
「カカロ・・・?」
忌炎は、怯えた目で俺を見ている。
きっと俺は今、恐ろしい顔をしているに違いない。
ふぅーっ・・・と長く息を吐き出して、吸った。落ち着け。
「・・・分かった。出ていきたいなら、出ていけばいい」
駄目だ許すな、ずっとずっと閉じこめておけ!と叫ぶ本能を、無理矢理捩じ伏せる。
「え・・・?出ていって、いいのか・・・?」
忌炎は戸惑っているようだった。
そんな顔をせず、早く出ていってくれ。俺がお前を傷つける前に。
「忌炎、俺はお前に何もしてやれなかった。お前を・・・愛しているのに、苦しめてばかりだ」
「そ・・・そんな、こと・・・」
「だからこれは、俺からの最後の贈り物だ。お前を愛しているからこそ、この手を離す。お前には、幸せになってほしい」
だから、行け。
どこか遠くへ。
俺の手が届かないところまで、行ってしまえ。
「俺・・・俺も、お前のこと好きだった・・・!でも、ごめん、さようなら・・・!」
忌炎は荷物を掴むと、玄関へと駆けていく。
バタンとドアが閉まる音がして、俺はその場に崩れ落ちた。
「っ・・・は・・・クソ・・・」
忌炎は行ってしまった。
その喪失感に、早くも後悔が募る。
だが、これで良かった。これで良かったはずなんだ。
欲望のままに忌炎を閉じこめ、恨まれ嫌われるよりは。
「・・・っ」
ぼたぼたと涙がこぼれた。
涙など流すのは、一体何年ぶりだろうか。
それほどまでに、愛していたのだ。
深く、深く。
「はは・・・一度くらい、抱いておけばよかったな・・・」
強がるように呟いた言葉は、誰もいない部屋に虚しく響いた。