雪貴
2024-07-25 14:52:37
286文字
Public RotR
 

烏は堕し、三味が哭く

雪さん(@_Setsu_Cat_ )の『人斬り晋作』を見て書かせていただきました

以津真天と、びょうびょうと吹き荒ぶ風のようなが聞こえる。人間 ひとの形をしているが、それは凡そヒトとは思えず、極夜を宿した黒い瑪瑙は、ただただ虚空を見据えるばかり。
以津真天、何処迄、どうしたら────。
もはや腕の一部と成り果てたなまくらは鉄錆でしかなかったが、それでも歩みは止まらない。
黒く血染められた怪鳥は重く沈んだ袂を翻し、一歩、また一歩と腐肉に塗れた地を踏み躙る。
もはや弦など断ち切れて、音などしよう筈も無し。それでもかなし、かなしいと、どよめく三味が息を吐く。
綴じ篭められた夜のあわいで、此度もまた『以津真天いつまで』と風が哭く。