以津真天と、びょうびょうと吹き荒ぶ風のような
音が聞こえる。
人間 の形をしているが、それは凡そヒトとは思えず、極夜を宿した黒い瑪瑙は、ただただ虚空を見据えるばかり。
以津真天、何処迄、どうしたら────。
もはや腕の一部と成り果てた
鈍は鉄錆でしかなかったが、それでも歩みは止まらない。
黒く血染められた怪鳥は重く沈んだ袂を翻し、一歩、また一歩と腐肉に塗れた地を踏み躙る。
もはや弦など断ち切れて、音などしよう筈も無し。それでも
哀し、
愛しいと、
響めく三味が息を吐く。
綴じ篭められた夜の
間で、此度もまた『
以津真天』と風が哭く。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.