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kurotera
2024-07-23 21:30:50
1324文字
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にこひび
ただやることをやっているだけのにこひびを書こうとしました。中略部分も短いながら書いたんだけどどこに上げればいいのやら。
べったーのフォロワー機能を使えばいいのか……?
当方地下ミュと鉄ミュ6とあれこれの知識しか無いエケチャンです。
帰りたくないかも。
携帯電話を眺めながら零された日比谷の呟きは、日光には無視の出来ない言葉だった。まだ終電までは余裕がある。今から会計を済ませて駅へ向かえば充分だ。それでも、眼鏡の奥で瞳を軽く淀ませながら指を忙しなく打ち込んでいる様子から見るに、日比谷が本気で帰りたくないということは火を見るよりも明らかだった。
「泊まってくか」
「んー、でも伊勢崎とかいるでしょ。悪いよ」
画面に視線を向けたまま断る日比谷に、今さらだろという言葉を飲み込みながら、日光は目の前のジョッキを煽る。
「じゃあどうすんだ。帰りたくねーんだろ」
「それは、そうだけどさ
……
」
自分が呟いた願望を改めて突きつけられ、日比谷は軽く眉を寄せた。ふい、と顔を軽く背ければ忙しく動き回る居酒屋のカウンターの中を数秒眺め、そうだけど、ともう一度呟く。その横顔を眺めたのち日光が小さくため息を吐けば日比谷はそのまま唇を軽く噛んで、持て余したように握りしめていた携帯電話をそっとテーブルに置いた。
「
……
わかったよ」
ぶっきらぼうな日光の声が落ちる。ピークを迎えている店内の喧騒がやけに遠いのを感じながら、日比谷は言葉を発することなくひとつ、頷いた。
わかった、と言いつつもお互い分からないものが多い。ここに来る前に日光が居酒屋で発した「わかった」もその一つで、己の駄々にも似た呟きに対して打開策を与えるための〝わかった〟というだけだということを日比谷は理解している。けして、真意を汲み取った意でもないし、汲み取っていたとしても、この男は確信を突きつけないということを日比谷は、〝分かっていた〟。
(中略)
「始発じゃなくてもいいかな」
「おめーんとこの朝帰り事情なんて知るかよ」
皮肉交じりの返答に、日比谷が苦笑いを浮かべる。気怠い裸体のまま、くるまっている布団を引き寄せながら目の前の背中を眺めた。
「あっ、あー
……
」
肩甲骨のあたりに己がつけた疵を見つけ、思わず小さく声を漏らす。なんだよ、と怪訝な顔でこちらを向く日光から目をそらせば、おい、と身を乗り出された。
「いや、べつに
……
なんでもないってば」
「絶対嘘だな。言え」
日比谷が逃げるように、白い布とともにベッドの端へと転がろうとすれば舌打ちとともに、それごと抱き寄せられた。
「言え」
「
……
爪立てちゃって」
「あ? んなこと
――
」
「他人に見られたらどうすんのさ」
日比谷がのろのろと身を起こして、己の身体を眺め出す。そんなこと、と言われると心配になってくるのだからしょうがない。しかし日比谷の身体はまだ情事の跡として濡れた場所がある以外は、爪痕も、噛んだ跡も、何も無かった。
「他人に見られるって、いつ」
「
…………
」
日光が揶揄えば、明らかに不愉快な顔をさせて日比谷が眉を寄せる。しかし言い返すような言葉が無いのも分かっていたので、無言で眼鏡を拾い上げた。
「始発にする」
「
……
拗ねたか?」
「うるさいなぁ」
シャワーを浴びるべく日比谷がベッドから抜け出し、腰をさすりながら去って行く。それを見送ってから、日光はちらりと、カーテンの締めきった向こうを見た。微かな隙間から、ぼんやりとした光が漏れている。
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