出口
2024-07-23 16:07:40
4424文字
Public 呪専パロ(五悠)
 

「心臓が止まるのも時間の問題かもしれない」

書きかけ。
五←←←悠。
※五モブ要素あり。

俺の大好きな五条先輩はバイセクシュアルで、今は女の恋人がいるのだという。
俺はまだその人を見たことも無ければ会ったことも無いけど、夏油先輩に言わせると気は強そうだけれど「悟にはもったいないくらい」イイ女なのらしい。去年の冬にお付き合いを始めて、もう半年近くになるそうだ。
一度五条先輩に彼女のことを尋ねてみたら、
「まぁな」
とおざなりな返事をしてくれただけで詳しくは教えてもらえなかった。



俺は高専に入ってから彼に恋をした。
それでも入学してからまだ3ヶ月だから、そう長く恋煩いをしているわけじゃない。五条先輩のことは入学当初から知っていたけれど、その頃はまだ最強でカッコいい人……くらいの気持ちだった。
それが傍に居られるようになって、あっと言う間に「好き〜!」って言うくらいに惹かれてしまった。
俺が五条先輩のこと大好きだって言うのは高専内では周知のされてしまったようで、だけれどまさか俺が本気で恋をするほどだとまでは知られていないようだった。

「うわあああ♡ 五条先輩! カッけぇ! 好き!」
俺が興奮して叫ぶとみんな呆れたような顔をするけど、五条先輩だけはちょっと照れ臭そうに、
「るせー!」
と叫んでどこかへ行ってしまう。
どれだけ彼の足が長かろうと本気で逃げられている訳でなし、その気になって追いかければ追いつけるだろうけどウザがられたくなくて追いかけない。
そうして俺のこと撥ね付けるようなその言い方にさえドキドキさせられて、俺はまた性懲りも無く五条先輩に絡みに行ってしまう。

五条先輩は、時々俺に体術の手合わせ稽古をしてくれる。
投げられて、吹っ飛ばされて、当て身喰らわされ、「はぁはぁ」と息を上げながら何度も何度も挑んで行くが、先輩は崩れることのない涼しい顔。
余りにも歯が立たな過ぎて少し落胆することもある俺だけど、
「まだまだ足りねェな、でもま、少しはマシになったんじゃねえの? 前に教えたクセ直ってる」
意地悪に笑われても、そんな風に声をかけて貰えるだけで舞い上がるくらいに嬉しくなる。
「そんなに褒めてねーぞ?」
五条先輩は顔を歪めて怒ったような表情を見せるけど、それだって嬉しい。

そして彼は俺のことを、他のどの後輩よりも可愛がってくれていた。一緒に食事をしてくれることもあれば、休みの日なんかに俺を訪ねて来てくれたりもする。
五条先輩が来てくれるから俺は毎週の部屋掃除を欠かさなかったし、冷凍庫の中にはいつもアイスクリームを用意していた。
少しでも居心地良く出来るようにしていれば、彼がこの部屋に長く滞在してくれるんじゃないかな? って期待して。
2人で居ても何をすると言うこともなかったから、それでも先輩の滞在時間は最長でも2時間くらい。少し時間を潰すようにして、誰かに呼び出されたり約束ががあるからと帰って行く。
呼び出すのは彼女さんなのかな? って思いもするけれど、俺には訊けなかった。



そんな日常が数週間過ぎて、ある日の俺は油断していたんだ。
「俺‪――‬五条先輩のこと大好き!」
いつものつもりで言ったのに、
「えっ?」
声を返されて、思わず俺は笑みを消してしまった。
そして顔が一気に熱くなって、それを先輩に見られてしまった!

これはガチな告白だと、彼は気づいたのだろう。
元より五条先輩には性別に対するボーダーなど無かったのだから、俺の言葉の中に潜む本気を見抜かれてしまえば疑うことなどないのだ。
「知ってる」
しかしそう返されて、小さく笑われた。

その笑みは「しょうがねーな」って感じだった。
きっと先輩はこんな告白なんて受け慣れているのだろう。すごくカッコいい人だから。そして彼には恋人が居て、五条先輩にとって俺はただの後輩。
知られていたのはいつからだろう? って思うけど、覚られた本気は俺の恋心で間違いない。先輩は鈍い訳ではないのだから。

「俺恋人いるし、付き合ってはやれねーけどな」
五条先輩は、手にしていた雑誌に視線を戻し言った。
拒絶ではなく、はっきりとした断り。
バクバクとうるさいほど心臓を震わせて、動揺している俺とは明らかに温度が違った。
五条先輩は極めて静かに、日常に戻ろうとしていた。俺は非日常に窒息すらしそうだった。
いや、先輩にとってこんなことは日常の一部なんだ。戻るまでもなく、ありふれた告白。

俺はヘタリと座り込んで「好きなんだ」と繰り返した。
「そりゃ好かれてンのは分かるし、悪い気はしねーけど……
五条先輩はもう一度雑誌から顔を上げて俺を見ると、
「どーしたいの? 虎杖」
少し困ったような顔で俺に尋ねた。

どうしたい……どうしたかったのだろう? 俺は。
そもそも告白なんてするつもりはなかった。いつものように、憧れと尊敬として受け止めてくれるだけで良かった。先輩には恋人が居るし、それが男でも女でも俺の想いが介入できるものではないと思ってた。
それまでだって五条先輩と自分が付き合えるとか思ったことはなかったし、そんな大それた望みは持っていなかった筈だ。

「俺は……
動揺に汗が吹き出した後、今度は混乱したまま呆然として、早く先輩の質問に答えなくてはと焦れた。
「俺は……
同じ言葉を繰り返して、彼を見つめた。五条先輩の唇を。
「キスがしたいっス」
そして気持ちのままにそう告げていた。

「そのくらいなら、いいけど」
五条先輩は何気ない頼まれごとでもされたかのように答えて、鼻に掛るような声で低く笑った。



そして、キス待ちした五条先輩に俺はキスさせてもらった。緊張するから目を閉じてって言ったら、青い目をそっと伏せるように閉じてくれた。
それでもめちゃくちゃ緊張して、興奮して、息が震えた。また笑われて、だけど勇気を出して先輩にキスをした。
それが俺のファーストキス。なのに俺から重ねた唇が、先輩の方から開かれた。そのままベロチューされて、びっくりして先輩のこと突き放してた。
ウケるよう笑う先輩をぼーぜんと見返しながら、俺は『もったいねぇ』って、突き放したこと後悔したけどもう遅かった。

「他のやつらには言うなよ?」
五条先輩は軽い口調で口止めして、
「ほら、もう部屋帰れ」
部屋を追い出されたのは、もう遅い時間だったからだ。



俺はまだドキドキとうるさい心臓抱えたまま、自分の部屋に戻ってから身悶えた。
やっちゃった……マジでやっちゃった、されたんだけど、五条先輩とベロチューしちゃった……ちょっと気持ち良かったし、ちんこ甘勃起しちゃってたの……気づかれたかな?

五条先輩が男に興味のない‪――‬ノンケってタイプだったなら、こんな期待なんてしなかったと思う。なまじバイだって言うから、もしかしたら、0.1%くらいでも俺が先輩の恋愛対象になれたらいいな、なんてどこかで期待を捨てきれなかったんだと思う。だからつい言っちゃったんだろう。告っちゃった。

でも先輩は俺のことなんて何とも思ってなくて、考えてみるってことすらしてくれそうもなくて、逆に言うとそれだからこそキスなんて出来たんだ。
誰にも言うなって釘を刺すことも忘れなかった。俺が調子に乗らないように? 彼女にバレないように? そのどっちもだと思う。

先輩にはどうって事ないじゃれあいだったのかも知れねーけど、俺にとっては違った。好きな人の唇に初めて触れた夜。しかもぬるりと挿し込まれたベロ、めちゃくちゃエロいし気持ち良かった。
思い出したらまたちんこ硬くなって来て、その後シコっちゃったのはしょうがないと思う。いつもより興奮すごくて、すぐにイッちゃった。





教室自体は標準サイズなのに、机とイスは3組しかないガランとした部屋。
今日は夏油先輩が任務で出ていて、家入先輩は医務室。五条先輩もさっき任務から帰ってきたところらしい。

授業を終えて寮へ戻ろうと思っていた俺は、ふと気付いた視線に呼ばれるようにして教室の窓を見上げてた。窓辺に立つ五条先輩を見つけて「おつかれ〜!!」って叫ぼうと思ったら、その前に手招きした五条先輩に気づいた。
どうしたんだろう? って思ったけど、特に考えることもなく再び校舎へ駆け込んだ俺は、階段も段飛ばして駆け上がり4年の教室へ向かった。
五条先輩はイスに座っていて、
「五条先輩、おつかれ! お帰りなさい!」
今日は初めて顔を見ることできたから、って嬉しくなる俺が言うのに、
「おー」
とか適当な声を返すと、またそこで手招きした。
「?」
呼ばれるまま近づく俺に、先輩は頬杖ついたまま片手を伸ばし、長い腕で俺の首根っこを抑えるよう引き寄せると‪――‬俺の唇へキスをした。

「せ、先輩ッ!?」
気づくと俺は腰抜かすよう床の上へ座り込み、楽しげに笑う五条先輩を見上げてた。
ドクッドクッとうるさく脈打つ胸に動揺しながら、いま触れたばかりの唇の感触を思い出す。
「なっ、何でッ!?」
上擦る声で訊く俺に、
「だってキスしたいって言ってたじゃん」
先輩は言うけれど、あれはあの場限りのことじゃないの!? って混乱する。
「したくねーの?」
俺が見上げる形になってるからか、先輩は煽るような角度で訊いてきた。
「うっ……、しっ……したい、デス」
「素直〜っ」
更に今度は明確に煽られ、悔しかったけど認めざるを得ない。

「からかわんでよ……俺フラれたよね?」
「フッたな」
軽い口調で答えられるの、先輩にとっちゃそれだけ軽いものだったと言われてるみたいで。キスされたの……今度は俺からじゃなしに五条先輩からキスしてくれたの、嬉しいのにめちゃくちゃ複雑で。
イスから降りてきた先輩が近くなるのに、俺は座り込んだまま動けずに目を閉じてた。今度もからかうこともなく、焦らすこともなくキスされて。
あわあわと要領の得ない声を悲鳴のよう漏らす俺を、
「悠仁」
囁くよう呼んだ先輩はそのまま床へ押し倒し、もう一度キスしてきた。

いつの間に挿し込まれたのか俺の後頭部は包まれるよう先輩の手に守られて、そのままベロを入れられ舐められるチューになった。今度は逃げなかった‪――‬というよりは、そもそも逃げ場がなくて。床と先輩の間に挟まれた状態でトロトロと舐められる。ゾクッゾクッと込み上げる震えが腰から背中へ這い上がり、一度離れた唇が「ハアッ」と色っぽい息を吐きまた舌を絡められる。
俺は両手を拳にギュッと握って、ただされるまま。息をするタイミングも分からないまま、どこに掴まったらいいかも分からないまま、溺れるようだった。
「せ……ぱい、」
やっと薄っすら目を開けて呼ぼうとしたら、
「んー?」
優しい声と一緒にチュッチュッと唇の先で音を立て、柔く噛まれ舐められる。俺の身体はぶるっと震えて、恐慌のあまり喉まで嗚咽に震えた。