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溶けかけ。
2024-07-22 22:15:08
1655文字
Public
ほぼ日刊
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僕は猫である、名前はフリーナ
社畜(予定)ヌヴィレットと飼い猫フリーナのお話。
現パロイメージですが最後はファンタジーな終わり方してます。
僕は猫である、名前はフリーナ。
僕の飼い主さんはヌヴィレットという人間
……
なのかな? 耳が僕と同じように尖っているから僕の仲間の可能性もある。
「フリーナ殿
……
もう宅配便はいないから出てきなさい」
ヌヴィレットが僕に手を伸ばす。
「たくはいびん」が何かは分からないけど、あのピンポンという音が僕は大の苦手なんだ。大きくてびっくりするし、知らない人が来る合図だからヌヴィレットが僕を構ってくれなくなってしまう。それがすごく寂しい。
「フリーナ殿
……
痛っ
……
」
ゴン、という鈍い音の後にヌヴィレットが頭を擦る。僕からしたら居心地の良いこの場所も彼には狭いらしく、よく頭をぶつけている。
「はあ
……
捕まえた。そんなに爪を立てずとも何もしないから大人しくしていなさい」
ヌヴィレットの手のひらに収まるくらいの大きさの僕はいともたやすく捕まって、安全地帯から出されてしまう。
「にゃー!にゃー!」
(やめてよ! 知らない人は怖いよ!)
「誰もいない。私だけであろう?」
ヌヴィレットが僕を抱き上げて、部屋の中をぐるっと一周する。その間、彼はずっと僕のことを撫でていてくれた。
「落ち着いたようで何よりだ
……
む。もっと撫でて欲しいと?
……
善処しよう」
大きな手が僕の頭から背中にかけてを撫でる。これをされるとつい、喉をゴロゴロと鳴らしてしまうのだ。
「機嫌が良くなったようで何よりだ
……
」
ヌヴィレットがソファに横になる。僕を撫でながらうとうとし始める彼の指を甘噛む。
「しっかりベッドに行って寝ろと言いたいのだろう
……
? 少しだけ休ませてくれ
……
」
「にゃー!んにゃー!」
(そう言ってこの間はここで寝ただろう? そんなの僕が許さないぞ!)
しばらくの間していた抗議が通じたのか、彼が諦めたようにのそりとソファから起き上がる。
「はあ
……
フリーナ殿には敵わないな
……
」
「にゃん!にゃ!」
「ああ、君のおかげだとも」
僕を撫でる彼は諦めたようにネクタイを緩め始める。ふふん、今日も僕が勝ったね。ヌヴィレットは僕がいないとだめなんだから!
「
……
」
「フリーナ殿
……
その浮気した夫を見るような目は止めて欲しい」
「にゃっ!」
ぷい、とそっぽを向いた愛猫に思わずため息が出る。いや、他所の猫を撫でて来た私が悪いのはよく分かっているのだが。
「仕方がない
……
」
風呂の残り湯をはらい、ワイシャツの袖を捲る。スポンジに洗剤をつけてゴシゴシと力を入れて洗い、シャワーで流す。栓をして、お湯を入れたら後は待つだけだ。
「さて
……
これで準備はいいだろう
……
」
脱衣所の方へ体を向ければ、風呂場の前でフリーナがこちらの様子を伺っていた。私が近寄れば、脱兎の如く逃げ出してしまうのだが。
「心配してくれているのだろうな
……
」
猫という生き物は元来、水が苦手な生き物だ。彼女は子猫の頃から風呂に入れていたこともあり苦手意識は薄い方ではあるが、本能的な部分は変わらないのだろう。
「これでいいだろうか?」
風呂上がり、ソファにいたフリーナの顔の近くに手のひらを握った状態で差し出す。彼女はすんすんと鼻をひくつかせると私の腕にすり寄った。
撫でてやればゴロゴロと喉を鳴らす姿は愛らしく、日々の疲れを癒してくれる。
「にゃあ!にゃ!」
(キミは僕の飼い主さんなんだから、ほかの子を撫でないでくれ!)
「ああ。私は君のものだ。次はしないから許してくれないか?」
「にゃ!」
(今回だけだからね!)
アラームの音で今日も一日が始まる。
「おはよう、フリーナ殿
……
」
腕の重みを愛猫のものだと思い声をかければ、一糸纏わぬ姿をした知らない少女が眠っていた。
少女は私の呼びかけにゆっくりと瞼を上げると、深度の違う蒼玉を瞬かせ、寝起き特有の間延びした声でこう言った。
「おはよー
……
ヌヴィレット」
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