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haru_haru0704
2024-07-22 21:02:09
1367文字
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飴玉3つ分の優しさ
カカロ×忌炎 全年齢
※マフィア×闇医者パロ
チッ、と舌打ちする。
今日は下手を打った。
左の上腕からどくどくと血が流れ出るのを感じながら、夜の路地裏を走る。
*
「散弾銃で撃たれた。腕の中に弾が残ってるから、取ってくれ」
「散弾銃の弾は小さいから、特別価格だ」
「何でもいい。やってくれ」
闇医者である忌炎に左腕を見せる。
忌炎は手袋をはめ、銃創に遠慮なく触れた。途端に激痛が走る。
「っ・・・!」
なんとか悲鳴を嚙み殺し、忌炎を睨みつける。
彼はどこか愉快そうな顔をしていた。
こいつ、わざとやったな。
「弾は2個だな。じゃあそこに座って」
忌炎に促され、椅子に腰かける。
腕を置くための台に左腕をのせると、さっそく処置が始まった。
「できる限り優しくやってくれよ、闇医者殿」
「善処しよう。保証はしないが」
忌炎はピンセットを手に取り、傷口へと突っ込んだ。
「ぐ、っ・・・!」
「浅いところにあるから、すぐ取れるだろう」
そうは言っても、傷口を無遠慮にかき回されればとんでもなく痛い。
彼が麻酔なしで処置を行うのは、俺への嫌がらせ半分、処置開始までの時間節約が半分なのだろう。
忌炎は、明らかに俺のことを嫌っている。
それでも、彼に処置を頼む理由がある。
「・・・・・・」
「・・・あまり顔を見ないでくれ。気が散る」
「もし施術ミスしたら、一晩俺の言うことを聞いてもらおうか」
そう言うと、忌炎はじろりと睨んできた。
・・・そう、俺が彼に処置を頼む理由は、この顔だ。
反抗的な顔が美しいと、そう思ったのだ。
だから、彼が風俗に売られそうになっているところに割って入り、闇医者になる道を提案した。
「施術ミスなどしない。ほら、1個目が取れた」
「頼もしいな」
「思ってもないことを」
忌炎は吐き捨てるように言う。
医療技術を信頼しているのは本当なのだが、彼は嫌味と捉えたようだ。
「信頼していない医者のところになんか行くわけないだろう。お前が思っているより、闇医者ってのはたくさんいるんだ。その中からお前を選んでる」
「・・・それはどうも」
忌炎はむすっとしたまま答えた。
ここまで褒めてやっているというのに、強情な奴だ。
*
「これで治療は終わりだ。早く出ていけ」
不機嫌そうに言い放つ忌炎の顔を見ていたら、不意に暴力的な衝動に駆られた。
近くの壁に向かって彼を突き飛ばし、顔の真横に手をつく。
「上得意様に向かって、随分と生意気な口を利くじゃないか」
「っ・・・」
忌炎は怯えた様子だったが、それでも懸命にこちらを睨んでいた。
ああ、やはり、『いい』な。
「・・・はは、冗談だ。そう睨むな」
「冗談で人を突き飛ばすな。背中が痛い」
「口が減らないな、忌炎。俺だからこの程度で済むんだぞ。命が惜しいなら、他の奴にはやるな」
「・・・わかった」
忌炎は渋々頷いた。
そうだ、それでいい。客に喧嘩を売って死体になったところなんて、見たくはない。
「じゃあ、俺は帰る。早く出て行けと言われたからな」
「あ・・・待て、カカロ」
「ん?」
振り向くと、忌炎は飴玉をいくつか持っていた。
「これ、鉄分補給用の飴だ。持っていってくれ」
***
飴玉を舐めながら、アジトに向かう。
たまには怪我をするのも悪くない。
ビルの隙間からちらりと見えた月が、今日はなんだか美しく見えた。
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