2024-07-22 09:26:45
2964文字
Public 作品解説・制作後記
 

「にんぎょひめ」蛇足解説


Q.恋愛感情あるかどうか曖昧にしたってあるけど結局みんなどういう思惑で動いてたわけ?

A.
キエン:あのひとのことはお気に入りだしけんだまが好きだしモルテは友達!私が気に入ったあなたがあなたじゃなくなるまでそばにいるよ。博愛と少しの執着。
モルテ:キエンは友達。友達ならちょっとくらい頼みも聞いてやるし、遠くに行って欲しくないのは当然だろ?あのひとのことはなんか気に食わない。意外と世話焼き。報われないタイプのツンデレ。
あのひと:海というか、人間の都合に囚われないものが好き。キエンにあらゆる種類の好意を向けていたが半分も伝わってないし伝えてない。一人で死にたい気持ちと誰かにそばにいてほしい気持ちの板挟み。ただの人間。

 というわけで、人外メンタルなキエンさんを書きた〜い!という動機で書いた節があります。
今年のキエン誕にて公式設定が更新された衝動のまま書き上げました。キエンさんが人間ではないと明言されてニッコリしてるオタクがここにいるらしいな
 短時間でパッションのみでSS書こうとすると、こういう会話文だけの形式で書きがちなんですけど、だんだん地の文欲しくなるな……。様式一貫しろ
 場面転換時にはさむ***←これを泡のAAに変えるなど小細工を弄しています。


キエン:人魚姫 地上のものに惹かれる 好きなひとを殺そうとしたけどできなかった 泡になって消えて風になる
モルテ:魔女、人魚姫の親族 人魚姫に目的達成のための手段を与えて導く 人魚姫を生かそうとするが死なせてしまう
人間:王子 人魚姫を見染めてそばに置く 人魚姫の目的にはついぞ気づかない

 こうしてみると、王子と結婚する人間の姫ポジがいない人魚姫ですね。
「にんぎょひめ」というタイトルも童話の人魚姫を当然意識してますが、にんぎょひめ≠人魚姫みたいな関係をイメージしてます。
 ひらがななのはキエンさんのプロフィール準拠でもあるし、『ひめ』は『姫』かもしれないし『秘め(秘密・嘘)』かもしれない……みたいなアレソレ

 人魚姫の設定では、人魚は死んだら泡になって消えるが人間は死後魂となって天国に行く、とされており、キエンもあのひととは死んだ後は違うところに行くから永遠に一緒にはいられないと感じてました。


 キエンとあのひとの約束の全容は『自分が死んだ後は、遺灰を海に撒いて欲しい』でした。その後キエンが海に遺体ごと飛び込んだのはキエンの思惑で、目的は心中ではなく海の底までついて行くことでした。その副産物として、泡になって消え新たな『キエン』に生まれ変わる現象が付与されています。
また、キエンの言う『かいしゃく』の約束は実際はキエンの勘違いで、あのひとはキエンに自分を殺すよう頼んではいませんでした。ただ、例えに介錯を出してしまったのが、キエンに勘違いさせた一因かもしれない。

 モルテもキエンも人外なので、人間たちほど死を重く悲しく受け止めないのですが、モルテのそれは人を喰う故に割り切って慣れてるわけで、それに対してキエンは心から胸を痛めるけど『終わり』とは捉えない、みたいな違いがあります。
 キエンとあのひとに巻き込まれたモルテとしては『海に行く』としか聞いてない上に、中途半端に人間性がある故に今目の前で存在しているキエンこそが唯一のキエンと思っていたので……だいぶかわいそうなことに……(それでも一陣の風に何らかを感じ取ってはいた)
 坂本、いくらモルテが根明でちょっとやそっとじゃ病まないからってモルテを精神的に追い詰めてばかりでは???多分今後もやる 申し訳ない 坂本を檻から出すな

 モルテがどういうわけかあのひとを気に食わないように、あのひとはあのひとでモルテのことを「なんだこいつ……バカで乱暴で妙に俗っぽくて何でこんなやつがキエンと……」とか思ってそう。う〜ん三角関係!
 モルテからのつまみ食いも、キエンが許してなければブチギレてそう……。海に還りたいのになんで貴様の腹に還らなきゃいけないんだコラとか思ってそう。


 三角関係というシチュエーションは往々にして三人のうち一人が当て馬化したり余りがちという業を抱えており、推しが割を食ってモヤ……としてるオタクをよく見かけました。
 坂本は、カップリングの片割れが人を殺したのをもう片方が手伝う死体埋めというシチュエーションも一種の三角関係だと思っており、カップリング二人に対して死体が当て馬と化しがちなところに色々と思うところがありました。(死体になる前は自分の人生を生きていたはずなので)
 だからどうせ死ぬなら、死後になにかしら得るものがあってほしいな〜というエゴでこういう話になった。気がする。
 あのひとは心中は望んではなかった……とはいえ、死出の旅にキエンがついてきてくれたこと自体は素直に嬉しく思ってるかもしれないです。


 それはそれとしてまさか夢主と緋色ちゃん差し置いてキエンがモルテにキスするとは思わないじゃん(何目線?)でもなんか「まぁキエンならいいか……」みたいな気持ちになってる(何目線???)(一応言っとくと、フォア飛とか冥婚漫画とは別世界線ですよ)
 アレはキエンとしては飛び込みを止めようとするモルテを怯ませようと咄嗟にやったのと、冒頭でほっぺた掴まれた意趣返しでしかないのでキエン→モルテの恋愛感情を証明するものではないです。なくてキスできんのか〜こわ……

 モルテはキエンのことをけんだまのことしか頭にないアホだと思っていたので、強く慕う人間がいたり嘘をつかれたり自分に理解できない理論で物事を考えてたりするのに直面して内心ずっと「は?????」ってなってました。愚か
 キエンさんはアホそうに見えるけど実際は人並みに聡明で、人外価値観と言語の壁フィルターを通して出力した結果とぼけて見えるだけ説をここに打ち立てます。


 今まではモルテの奇行にツッコミを入れる辛辣な常識人キエンさんばかり書いてましたが、この小説で新たな一面を描けたのではないかと自負しております。具体的な種族が明かされてない人外キャラはスペック盛って神格化しがちである
 お気に入りのあなたに最後までついていくキャラ性のイメージは、UTAU音源とそのマスターの関係から来ています。

 あのひとの話あんましてないな?もうちょい増やすか……
 あのひとはキエンと出会う前から病気が進行しており、回復する気配もなく余命宣告を受けてる状態でした。本人の生きる意思もあまりなく海への投身自殺を考えていたところ、ある海辺でキエンと偶然知り合って生活が一変しました。
 頼れる家族や友人もいないところで、自分より頼りなさげなキエンとの生活は、保護者としての責任感もあってそれなりに充実していました。だから、自殺する意思も揺らいでいたと思います。それでも病気は治らなかったわけですが……

 プロフィール面に関しては、男性で30代くらいを想定しています。雰囲気だけは浮世離れした人間です。
 仕事……在宅でやれそうなのをいくつかやって食いつないでそう。このSSのキエンは働けてるイメージがないから、多分猫みたいなものとして扱われてたんだと思う。