バラ肉
2024-07-21 21:21:53
6271文字
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お触り厳禁(ロビスグ)

K.様(@yozorano_ura )のバニーガールのスグルとオマケのロビスグ絵を見ていたらいても立っても居られず……。
かなり自分設定で書いてます。

アイドル超人として企画された撮影会に呼ばれなかったスグル。カメラマンの与作さんに何とかバニーガール姿で交渉するも色仕掛けは通用せず失敗。
残念な結果に歯噛みしつつ、着替えのために参加する超人達の部屋に勝手に入った結果。。。

正義超人は人気者だ。

名が知れた超人ともなれば、子供達とのふれあいイベントを始め、自国の国営TVへの出演、各国とのエキシビジョンマッチへのゲスト参加、チャリティー活動の広告塔……etcと、本来のレスラーとしての活動以外にも引っ張りだこだ。
それはかつてダメ超人と言われたキン肉マンことスグルも同様ーーなのだが、極たまに例外があり。



「やいやい! どうして私を誘わんのじゃ!? キン肉星の王で、日本の正義超人の頂点で、誰よりもエンターティナーの私を! 一人差し置いて! あんたはおかしいと思わんのかい、与作さん!」
「いんや、全然」
「全然って……そ、そんな……っ。与作さんと私の仲ではないかぁ?」
「すまんな〜、キン肉マン。ワシも上から写真を撮るなら映えるやつを頼むって言われとってのお」
「ばえ? はぁ? それこそ私のどこが皆んなと劣ると言うんじゃ!」
「お、王子っ。そこを突かれると痛いですよ〜」

そう言って鼻息荒くするスグルは、カメラを首に下げた与作さんに心底憤っていた。後ろから首に抱きつくミートがいなければきっと乱闘騒ぎになっていたことだろう。



***



事の発端は7月初旬。
日本の気象庁が発表した「今年の夏は異常な猛暑がくる」という注意と、『今年は熱中症への注意喚起の宣伝としてアイドル超人達を起用する』との公表は、瞬く間に日本全土を激震させた。

嬉しい! ポスター出るなら私もらいに行こうかしら?
グッズ化希望!
海外の友達に自慢しちゃお♡
CMあるなら一生見る!

そんなファン達の反応に、自称アイドル超人の筆頭であるスグルは「がはは!人気者はツラいの〜」なんて高笑いをしていたものだ。

しかし待てど暮らせどオファーは来ず。電話の前で正座すること数日。良い加減イライラし始めたところに、ジリリリッとけたたましい通知音に慌てて受話器を取ったスグルは、しかし聞こえてきた声にガックリと肩を下ろした。

『HEY、キン肉マン! 元気してるか?』

軽い挨拶は、名乗らずとも誰かわかる。

「なーんじゃテリーマンか。……で、私に何の用かの?」

かかってきた電話が親友テリーマンとわかるや否や、気合がしおしおと萎んでいく。
目当ての連絡でないならどうでもいい。
電話台を指でトントン叩く仕草は見るからにやさぐれていた。
『おいおい、どうしたってんだ?』
そんな態度に、電話の向こうのテリーが訝しげに思っても仕方ない。とはいえ、テリーもテリーでスグルの気分屋は嫌と言うほど知っている。今回の態度も【いつものこと】と割り切ったのか。

『全く、随分な態度だな。まあいい。そんなわけで明日はジャパンのスタジオでポスターの撮影をするから、終わったらそっちに行っても良いかい?』

そう続けたテリーマンの言葉に、スグルの目が点になる。

「へっ? さ、撮影……じゃと?」
『ああ、ジャパンの政府からオファーをもらってね。おや? ナツコさんから、ニュースで発表してたよーと聞いていたが、知らなかったのか?』
テレビ大好きなお前らしくない。

意外そうな相手の態度に、スグルは受話器を持つ手をブルブル振るわせた。

まさか自分が除け者にされて企画が進行しているなんて!

彼にとってまさに青天の霹靂。たまたま写真撮影の打診だけが抜かっていたーーと考えるには、発表から今日に至る日数を考えても流石に無理がある。
いくら待っても来ないはずだ。そもそも参加メンバーに選ばれていなかったのだから。ああ、はれて原因がわかってよかった!
……なんて悠長に受け入れるほど、キン肉スグルは物分かりが良い男ではなかった。むしろその逆。彼の怒髪天をついたのは言うまでもないだろう。

『おーい、どうしたんだー? キン肉マン〜』

「テリー……ちょっと詳しく話を聞かせてもらうぞ」

ドスの効いた低い声で通話を再開させたスグルは、そのままテリーから撮影スタジオの場所を聞きあげるなら、その勢いでミートを伴って乗り込みーー冒頭の与作さんとの言い合いに戻る。




「悪いがワシは単なる雇われカメラマン。すまんな、キン肉マン」
すがりつくスグルに対し、きっぱり拒否する与作さんの意思は随分と固いようだ。流石に国からの依頼となれば、気のいい彼も安易に「はい」とは言えないらしい。だが、スグルとて何も勢いだけで生きている訳ではない。
「なんでいなんでい! アイドル超人がなんぼのもんじゃい! 私なんかバニーちゃんにもなっちゃうもんね♡ 涼しげでよいじゃろ? な、ミート!」
「はい、王子!」
バッ!と服を脱ぎ捨てた二人は、なんと服の下にバニーガールの衣装を身につけているではないか。最後の仕上げにとウサ耳を装着すれば、上目遣いでパチパチ流し目を送るのも忘れない。

「どうどう、与作しゃん? これだったら撮りたくなるでしょ、うふっ♡」

トドメとばかりにウィンクを投げてやる。
しかし、その姿を見た与作さんはスグルの色仕掛けに赤くなるどころか顔色を真っ青に染めていた。

「ゲェーッ! ダメダメ! それこそ最近厳しいコンプライアンスとやらに引っかかちまう! ああ、恐ろしいおそろしい……というわけで、早く出ていく!」

「きゃいん!」
「お、王子ー!」

結果、コンプライアンスに怯える彼から乱暴に尻を蹴りあげられたスグルは、そのまスタジオから追い出される羽目となったのだった。



***



「あいてて。全く、私の魅力に堕ちないなんて与作さんもすっかり枯れちゃって!」

そう言って蹴られた尻を撫でながら、スグルは先ほど脱ぎ捨てた服の埃を叩いていた。

ちなみに彼が今いるのは、今回の出演者用として準備されていた控室の一室だ。
誰に当てられた部屋かまでは見なかったが、どうせ仲間の超人の誰かであることに変わりはない。

(着替えの前に、出演できない腹いせがてら、用意してある茶菓子でも食ってやるか)

『僕はトイレで着替えますから、王子も早く出てきてくださいよ』
控室に入る前、ミートには早く退室するように釘を刺されたものの、スグルの腹の虫はまだ治っていないらしい。

「お、私の好きな寅屋のどら焼きまであるじゃん。全く、いいご身分じゃの〜」

遠慮もなくテーブルに置いてあるどら焼きに手を伸ばし、包装を破り捨て、茶色の生地にかぶりつくーーそのタイミングで、ガチャっとドアが開いた。

「んぐ?」



……ん。これは、一体どういうことだ。キン肉マン」



ドアの向こうに立っていたのは、正義超人の仲間であるロビンマスクその人であった。
どうやらここは彼の控室だったようだ。

「しかも、その格好は……

「え? 格好? ……おわっ、み、見ちゃいや〜ん!」

指摘されて、ようやく自分があられもない格好でいる事を思い出したのか。スグルは慌てて胸元を両手で隠した。
エンターティナーとして、ふざける前提でこうした破廉恥な格好を見せるならまだしも、何の前振りも説明もしてない相手の目に晒すのは流石に居た堪れないのか。
ましてや相手はあのロビンマスクだ。ノリの軽いテリーやブロッケンとは訳が違う。
マスクの下の瞳がギラッと光った気がして、スグルの心臓もドキッと跳ねる。

(これはヤバい、かも?)

頭の中で危険信号がうるさいほど鳴り響く。
ジリジリと後ろに下がる体は実に正直ものだ。しかし、そんな相手に対してイギリスの不沈艦は容赦をしない。
ツカツカツカッ!と高い靴音を鳴らして真っ直ぐスグルの目の前まで進んだロビンは、近付くなりその顎を掴んで目線を合わせる。

「ろ、ろび」
「どういうつもりだ、キン肉マン」

浴びせられる低い声に、無意識に体が震える。

「どうもこうも、別に私は……その、今日の撮影で……

流石にカメラマンに取り入るためにバニーガールの格好をしたとは言いづらいのか。しどろもどろに呟く唇は言い訳がましく尖り、まるで子供のようだ。
幼い表情と裏腹に、はち切れんばかりの筋肉を包むいやらしい衣装。おまけに身長の関係で臀部で揺れる白いフワフワのしっぽも丸見えとくれば、否応なしに欲望を擽る。
ゴクリッ。
きっちりボタンを留められた襟元の上で、太い喉が大袈裟に唾を飲む。

「ほう。つまりこれは……今日の撮影の報酬ということか?」
「なっ……!」

あまりにも酷い戯言に言葉をなくすスグルを尻目に、マスクの下の口元は見えないのをいいことに歪に歪んでいた。

「ち、違うに決まっとるだろ! ばかもん!」

なんとか反論をするものの、恥ずかしさに潤んだ瞳で睨んだところで意味はない。むしろ、相手がその必死な表情に気を良くする人間であれば尚更だ。

「こんな格好をして、部屋で待っていたのに? フフッ、誘っている以外、どう受け取れと?」

太い指が、晒された尻たぶにいやらしく這う。

「ば、何を言っとるんじゃ! バカロビン! 勝手にさわって」
「カマトトぶるんじゃない、キン肉マン。……こんな格好のお前を見て、私が平静で居られるとでも?」

震える声を無視して、ロビンはスグルの体に己の下半身を押し付ける。スーツでわかりにくいが、ゴリッと腹に当たる彼の股間は、見ずとも分かるほどにいきり立っていた。

「ほら、わかるだろ?」
「〜〜!?」

笑いを滲ませた揶揄に、スグルの喉から声にならない悲鳴が上がる。
確かに、二人は決して清いだけの関係ではない。彼等の肌と肌と重ねるボディランゲージは、リング以外の場所でも有効だった。
だからこそ、その勃起したものの逞しさを思い出し、頬が燃えるように熱くなる。

「何を考えておるんじゃ……
……そんなの、お前のことに決まっているさ」
「なっ!?」

兜の中で響く殺し文句に、スグルはたじろぐしかない。遠慮なく尻を揉む太い指が、グッと悪戯に股間を押す太ももが、小さな面積に包まれた息子を刺激し、芯を持たせる。

「ぃやッ!」

じわりと目尻に涙が滲む。
震えるテノールの声の愛らしさは、いくつになっても変わらない。

「かわいいな……私の小鳥(ナイチンゲール)」
「ハアッ?」

英国紳士とは名ばかりのくせして、どうしてこうも歯の浮くような台詞を自分に言うのか。

「ッだから、そう言うことはッ、んむッ」

やめてくれ、そう顔を上げたスグルは、途端に口を塞がれた。

ぬるっ。

「んんッ、ふぁ、んッ……

いつの間に鋼鉄のマスクを持ち上げていたのか。口内に分厚い舌が潜り込み、軟体動物のように動き回る。熱く、弾力のあるそれは持ち主同様、思いやりに欠けていて。

「んぁッ、やっ、んんぅ〜ッ」

嫌がるように胸を押す手にも動じる様子はない。むしろ、マスクを持ち上げるのと反対の手で逃さないように腰をグッと寄せる。

「ンッ……チュッ、んんッ」

リップ音のサービスも忘れず、ロビンは自らを興奮させた代償とばかりにスグルの唇を味わう。布越しなのが残念ではあるものの、引っ込んだ舌を無理矢理重ね合う感覚は快感と共に支配欲を満たしていく。
(愛いやつめ……
そうして舌をチュウッと痛いほど吸った瞬間、ビクンッとスグルの腰が揺れたのを見逃すはずもなく。

「ふぁ……ッ」

力が抜けた体を解放してやれば、唾液が互いの舌を繋げ、そしてプツッと切れる。と、同時にスグルもその場に座り込んでしまった。

「うっ、うっ、最悪じゃあ……

半泣きで呟く声は、己の濡れた股間部の気持ち悪さのせいか。それともキスだけで達ってしまった情けなさからか。否、きっと両方だろう。
巧みな舌技にとろけ切った瞳は、普段の青よりもやや濃い。恨みがましそうに見上げる顔は完全に茹っていた。

(こんな場所で、なんていう顔をしているんだ)
これがスーパーヒーローだとは。

そうした張本人のくせに、ロビンは普段の彼からは信じられない色気ににんまり目を細めると、目線を合わせるようにその場にしゃがむ。

……今夜、出て来れるか?」

それは明らかな情事の誘いだった。
この、痛いほどに大きくなったペニスの責任は取ってもらわないといけない。
語りかける赤い目は雄弁だ。

(きっと、断ればこのままここで犯されてしまう)

こんな、いつ、誰が来るとも知れない場所で。それだけは避けたかった。何より、この兎のコスチュームで愛されるのが怖かった。

(だって前にバッファローマンのやつが言ってたんじゃ。兎は意外にエッチな生き物だと……

ただでさえ翻弄されてばかりの自分が、さらに狂わされてしまうなんて。想像するだけで、どこまで醜態を演じるか分からない恐ろしさに鳥肌が立つ。
ならば、出す答えは決まっている。

……っ」

コクンッと小さく頷くスグルに、ロビンは満足そうにため息を吐いた。

「賢い選択だ……

思わずこぼれた言葉は、自分が主導権を握っていることを信じてやまない彼らしい。あまりにも横暴な態度への悔しさに、下唇を噛んだ、その時だ。



トントンッ

「王子〜、まだ着替えてるんですかぁ?、」


ドアをノックする音と共に聞こえるミートの声に、スグルは大仰に肩を揺らした。
可愛いセコンドを廊下に残していたことをすっかり忘れていたのだろう。
もしこのままドアを開け、今の状況を見られたら。最悪な未来を想像してサッと血の気が引く。
しかし、

「すまない、ミートくん。キン肉マンは私と話をしていてな……悪いが、もう少し待ってくれるかい」

と、すかさず返事をするロビンに、スグルは思わずその顔に視線をやった。

(フォローしてくれたのか?)

パチパチと瞬きする目に答える代わりに、ウィンクが送られる。

「あれ、ロビンマスクさん? もう来てたんですか! あちゃー。王子ったら、だから早くしてって言ったじゃないですか! すみません、ロビンマスクさん。ほら、王子も! ロビーで待ってるので早く出てきてくださいね」

慌てて謝るミートは、部屋の主が居たことに驚いたのか。調子が悪そうに謝ると、「もう〜」とボヤきながら部屋から離れていったのだろう。
遠くなる足音にホッとするのも束の間。

「お楽しみは、また夜だな。さあて、何をしてもらおうか……
「ゲッ! ま、まさかそれが目的……ロビン、お前と言うやつは……!」

肩をポンッと叩かれたスグルは、そこで漸く自分が彼に大きな貸しを作ったことに気がついたらしい。だが、既に時遅く。
マスクの下の目がにやりと歪むのを見た彼は、たまらず頭を掻きむしりたい気分だった。
(嵌められた!)
とはいえ、後悔しても後の祭り。

「このままだと着替えの邪魔になるからな。紳士として、ここはお前に譲ってやろう」

恩着せがましく頭を撫でる男の優しさは、まるで本物の悪魔のように傲慢だった。
これが悪行超人ではなく生粋の正義超人なのだから、ラージナンバーズ達に蔑みも多少は仕方ないのかもしれない。
宣言通り退室するロビンに対し、一人になったスグルは半泣きのままドアを睨むと、盛大に叫んでいた。


「あれのどこが紳士だと言うんじゃ!!」


そして、パンッ!と扉に向けてウサ耳を投げつける彼は、数分後。
『テリーになんといって断るか』と、頭を抱える羽目になるだった。