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ガラシャ
2022-10-23 20:07:33
3514文字
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渇愛原作軸
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和也育成ゲーム ~ FIRST game
2007年に個人サイトで掲載したお話です。懐かしい~。時系列としては、玲二のプロポーズ大作戦のシリーズとなります。
時代も違い、文章の書き方も違うとは思いますが、どうかお楽しみにいただければ。
――
玲二に趣味が出来た。と言ったら、皆さま驚かれるだろうか。
きっと驚かれるであろう、なんせあの和也一筋で後の事はどうでもいいと本気で思っている玲二である。
その和也とも関係が一段落し、まさに夢の新婚ラブラブ生活を送っていた。
愛妻家として、日々甘えまくっている
…
もしくは迷惑がられている玲二だが、その趣味も結局は和也に繋がる。
しかし、和也は与り知らぬことなので余裕のできた玲二が始めた、ちょっとした息抜きとでも言っておこう。
きっかけは、暇つぶしに自室でネットサーフィンをしていた事から始まった。
『あなたも現代の光源氏に
…
。そんなオンラインゲームが誕生!』
現代の源氏物語
…
歌い文句としてはなかなかそそられるものがあるが、玲二は古代文学に興味はない。
知り得ている知識といえば、光源氏という男は、ロリコン、マザコン、ついでに好色で死ぬまでその限りを尽くしていたといったところだろうか。
女性と手玉に取るという点で、既に現代の光源氏である玲二だが、暇だからとそのサイトへアクセスをした。
『あなたは、源氏物語の紫の上をご存知でしょうか?』
確か紫の上といえば、光源氏の生涯の妻ではなかっただろうか。
『紫の上は、光源氏に幼い頃から育てられついには、光源氏の妻となった女性です。想い人を小さな頃から育て上げ、自分好みにする。そんな、欲望はありませんか?その欲望を叶えるゲームです!』
「アホらし」
いいつつ、詳しい説明を読むと、いわゆる人間育成ゲームであるらしい。
サイトが用意してある人物でも良いのだが、データによっては自分の思い通りに人間が作れるというものであった。
玲二は単なる暇つぶしのつもりであった。
というより、この男の性格上・冷笑する為というか
…
。
玲二は飼い主
…
つまりは自分のデータを打ち込み、育成する人間のデータとして和也の生年月日や血液型、容姿の特徴などを打ち込んだのだった。
『しばらくお待ち下さい』
すると画面が入れ替わり、玲二専用のページが出来た。簡素な部屋で、TVとベッド、本棚くらいしかない部屋であった。
しかしいじっている間に、何とか、モノトーン調の部屋ができ上がった。
そのゲームは、ゲームをやっているうちにアイテムを集め、内装なども変えられるらしい。
『お待たせしました。あなたのご希望の子どもです』
表示が出る。 光が画面を満たし、一瞬だけ画面が白くなった。
そして次ぎの瞬間には、その部屋の真ん中のちょこんと2・3歳くらいの子どもが背を向けていたのだ。
『この子は、あなたが養育し、立派にしていく義務があります。コミュニケーションや、身の回りの世話をしてあげてください。では、お楽しみ下さいませm(__)m』
最後は意外と真面目な事を云い、画面から表示は消えた。
すると、部屋に真ん中の子どもがゆっくりと振り返ったのだった。
『だあれ?』
玲二はその子どもの容姿に彼らしくなく絶句する。
亡くなった父と義母の部屋にあるアルバムにあった、和也の幼い頃そのままだったのだ。
その和也そっくりの子どもは、まだ、舌足らずで本当にあどけないといった感じがあった。
『ねえ、だあれ?』
その子ども、ちび和也とでも名付けよう。ちび和也が玲二に問い描けた。
すると画面がでて来て、
『【和也】があなたに問い掛けています。なんと呼ばせますか?
①パパ
②お兄ちゃん
③ご主人様
④あなた
⑤玲二』
と選択肢が用意されていたのであった。
③と④の選択肢に首を傾げるが、中々に美味しい呼び方ではある。
④など、今まさに玲二が望んでいる新婚さんには必要不可欠な言葉ではないか。
だがしかし、冷静に考えると、幾ら和也そっくりな子どもでも和也ではないのだから、避けるべきだろう。
①と②は最初から論外、クリックはしなかった。
玲二は、まだ本格的にするわけではないと⑤を選ぶ。
するとちび和也は、
『れいじ』
と首を傾げ、納得したように何度も舌足らずに『れいじ』と呼びかけたのであった。
その舌足らずに思わず、ぐっときてしまったのは、容姿が和也に似ているせいだろうか。
愛らしい容姿と充分いえる子どもだった。
髪はさらさらに細く、気の強そうなアーモンド形の目はぱっちりとしているし、子どもらしい柔らかそうな輪郭で、唇だってぷっくりしている。
年齢を考えると、母親一人の愛情を独り占めしていた時代なのだろう。
このゲームの製作者に児童心理学の専門家でもいるのだろうかと思ってしまうくらい、ちび和也の子どもらしい仕草に玲二は溜め息を付く。
何はともあれ、こんな和也そっくりの子どもが出来てしまっては、玲二も無視は出来なかった。
そしてこの日から、趣味らしいものが出来たのであった。
――
最初は面倒臭いと想っていた玲二だが、日を追うごとに懐いてくるちび和也を疎かすることが出来なくなってしまった。
なので、朝起きればまず、パソコンを開けちび和也のご機嫌を伺うのだ。
世話をするのは当たり前だが、場合によっては病気でなく亡くなってしまうこともあるらしい。
情報BBSなどを見て、少し学習した。
なので、飼い主は、それなりの責任を持たなくてはならない。
元々玲二という男に育児能力がないのは周知の事実だが、それを抜きにしてもちび和也は手の掛らない子どもであった。
ぐずることも、わがままを云うことも殆どなく、本当に玲二を困らせる事の無い子どもだ。
例えば、お腹がすいたことに気付くと、ご飯マークを押し、部屋の中に食事が運ばれてくる。すると、どんなに楽しく遊んでいても、和也はちゃんとお片づけをし、
『いただきます』
と手を合わせ、上手に箸を持ち
…
という完璧な行動をとるのだ。
つい、情報BBSなどで読んだ、
『うちの子、お片づけしないのよ。だからそういう時は、ちゃんと叱るわ』
を実践しなければならないのかと思っていたのだが、その必要は全くなかった。
小さいながらもプライドを持っている様で、これはもう和也という人格が出来あがり、介入する余地がないのではないかと玲二は思ったのだが、やはりちび和也は子どもであった。
その日、遊びから帰ってきたちび和也は様子が可笑しかった。
部屋
…
この頃は、部屋の改装を換え、ホテルのような高級感漂う部屋になっていた
…
の隅に座り、玲二の呼びかけに反応しないのだ。
「何があった?」
そう玲二が、打ち込んでみてもうんともすんともしない。
「嫌なことでもあったのか?誰かと喧嘩したのか?」
取り敢えずは飼い主らしく問い掛けるが、ちび和也は蹲ったままだった。
このネットゲームには触れるという機能があった。玲二がマウスを使い、画面のちび和也の頭に触れると、ちび和也は上目遣いで見上げてくる。
『だっこ、して』
玲二は軽く三秒ほど固まる。
たかが抱っこ、されど抱っこ。
いまだ現実の和也に、『抱いて』といわれた事のない玲二は、柄にもなく動揺してしまった。
「
…
仕方ねえな」
何が仕方ないのか解らないが、取りあえず、画面にある抱っこマークを圧して見る。
すると、一応玲二らしい男の背中が現れ、ちび和也を抱き上げたのだ。
ちび和也は、玲二らしい男に抱き上げられ、ぎゅっとしがみ付く。
そしてぽつりと呟いたのだ。
『きょう、こうえんで、おまえにはおかあさんがいないっていわれた』
あ?俺は父親だったのか?と玲二は訝るが、父親というポジションらしい。
母親がシングルマザーだったあの気の強い和也も、小さい頃は同じような事を云われただろうなと思いつつ、玲二は続きを聞く(見る?)。
『でも、おれにはれいじがいるから、いい』
まったくもって可愛いものである。
あの和也とは思えぬほど素直で、なんと庇護欲をそそられることか。思わず、なでなでボタンを押し、ちび和也の髪を梳く。
『あのね、れいじ』
ちび和也は玲二に抱きしめられたまま、ふいに顔を上げ、ちゅっと、ゲーム上の玲二の頬に口付ける。
『だいすき!』
そういって再び、玲二の腕の中に蹲り、幸せそうにうっとりと眼を閉じる。
ちび和也4歳。
まだまだ、玲二の腕を必要とする子どもであった。
「これが、現実だったら、な
…
」
画面上でべったりと甘えるちび和也が、普段の気の強い和也と重なり、その違いに玲二は密かに溜め息を漏らした。
∞∞∞∞
この時代、育成ゲームとは流行していた記憶が
…
。
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