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ガラシャ
2022-06-08 23:35:49
2861文字
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libido
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libido 2-1
もし、明人と和也が本当の兄弟なら、紫の上計画のような育て方をするのかな…。掌中の珠の如く育て、たまにに他の男たちに見せびらかす感じで育てるのかな…。普通の兄弟よりは、親密な関係に持ち込もうとするのかな~と思い書きました。
――
木曜日の夜は、異母兄である森島明人と食事をすることになっている。和也が大学に通い始めた頃からの習慣であった。
外食することもあれば、和也が居候している明人所有のマンションで、和也が作ることもあった。たまには家庭料理が食べたいと言って、手の込んだものをリクエストしてくるのが異母兄という人間だった。
今日は桂ビルの明人のプライベートルームで食事を取っていた。
高倉別荘では賄いで和食を中心に、平日の昼間は大学で食べることもあるが、基本的には弁当を作ったり、夕食は自炊をしている。外食をする機会があるのは一週間のうち、木曜日の夕食だけだった。
異母兄が用意する食事は洋食が多い。最近は明人が気に入っているという高級フレンチのシェフが特別に用立ててくれたものだ。
フレンチといいながらも、味噌や醤油を隠し味に使っているらしく、味になじみがある。
「先週は高倉別荘に帰っていないようだな」
空調が聞いているとはいえ、日中は熱中病注意報が出るほどの気温だ。そんな中でも、明人は涼しげな顔でサマースーツを着こなしている。
和也自身も、今日はカーディガンを羽織っていた。首筋に色濃く残る痕を隠すために。
「おじいさんの言い付けで、本家にいたので」
「そうか、じいさんは元気だったか?」
「元気でしたよ。相変わらず、食も酒も豪快で
…
あ、でも、最近、膝が痛むといって杖を使っておられました」
和也より体格の良い祖父であるが、年には勝てないようである。
「それは、心配だな」
「そう思うなら、たまには顔を見せてあげたらどうですか?」
「可愛げのない孫が見舞うより、お前が側にいた方がじいさんも楽しいだろう」
「そんなことありません。おじいさんは異母兄さんの手腕は、いつも見事だと言ってますよ」
祖父の豪胆さは、明人が一番色濃く引き継いでいるのではないだろうか。クール・ビューティーと称されるその美貌の奥で、森島家の血が滾っている。
「本家の様子はどうだった?」
「それは、いつもと変わらず
…
」
本家の人々の冷たい視線を訪れる度、感じている。10年前、森島克典が気まぐれで引き取った和也を認めていないとその視線が告げていた。
本家に和也が訪れても歓迎してくれるのは、祖父だけだ。あれやこれやと豪華な食事を用意され、本家で泊まることもあるが、和也にとっては居心地が良い場所ではなった。
和也を森島家の人間として認めているのは、祖父と目の前の異母兄だけだろう。
異母兄弟といっても6歳という歳の差もあり、世間の兄弟のように過ごしたわけではない。和也が引き取られて初めて森島家本宅に連れてこられた時、明人は都内の有名私立校に通っていたが、和也から見れば明人は出会った時からすでに大人であった。
「そうか。
――
で、レイジへのもてなしは、他の従業員に任せたのか?」
「ええ。何か不都合がありましたか?」
そういえば、直接ふたりで、話題にしたことはなった。6月の初旬に初めてあの男が高倉別荘に訪れて、2カ月近く経つ。話題にしなかったのは、和也自身がそれを避けていたのかもしれない。
「
――
異母兄
にい
さんに聞きたいことがあるのですが」
「なんだ?」
「なんであの男を態々、高倉別荘に寄越したんですか?別にうちでなくても、良かったのでは?」
素直な疑問だった。明人の紹介と聞いた時は、何か裏があるのかもしれないと思っていたのだ。
「お前も知っているだろう?レイジは何にも誰にも熱くならない。そんな男を懐柔するのに俺としては、奥の手を使ったまでだ。読み通り、高倉別荘には毎週末訪れているのだろう?
――
何か、気に入らないのか?」
明人は和也が肉体関係を迫られているなど、思ってはいないだろう。
――
3回目の夜は二度と思い出したくないほどに、散々だった。内風呂で犯されて気を失った後も、ベッドに連れていかれて、また犯された。男の激情が受け止められず、朦朧とした意識の中で、感度もキスをされ、体中に舌が這わされたことを覚えている。
何を口走ったか、どんな痴態を晒していたのか
…
思い出すだけで震えてしまう。
それをぐっと抑えたせいか、口元が歪んだ。和也らしくない卑屈めいた笑いに、明人はワインを飲むのをやめて、和也を直視した。
「和也、強力なパトロンを得るのも、高倉別荘を盛り立てる手段だろう?」
諭すように、和也と視線を合わせる。
「それが、レイジなんですか?異母兄さんのお眼鏡にかなったのがあの男だと
…
」
「お前が冴子さんの後を継いだとき、彼がビジネスパートナーであれば心強いだろう?」
「
…
そんなに長く関係を続けなきゃいけないんですか?」
和也からすれば、今すぐにでも断ち切ってしまいたい縁だ。玲二と肉体関係があると誰にもしられたくない。
明人が望むように、関係を長く続けるということは、和也自らがその関係を望まなくてはいけないということだ。
「和也、人の縁とは不思議なもので、自分の与りしらぬところで繋がっているものだ。お前はどうも、そういったものを苦手としているが、そうもいくまい。自分の得となる人間を傍におきなさい。それがお前のためにもなる」
今でも十分に苦痛であるのに、これ以上の苦しみは背負いたくなかった。
和也の表情が昏いものになるのを見て取った明人は、目を眇める。高倉別荘の女将である篠宮冴子の報告では、レイジがいたく高倉別荘を気に入り、毎回、部屋係に和也を指名しているという。
一夜の相手として、高倉別荘の近くの温泉街のホステスでも呼ぶかと思っていたが、晩酌の相手も和也が務めており、深夜まで自室に戻ってくることはないと聞いていた。だが和也の表情を見る限りは、親密な仲とは言い難いようだ。
「まあ、お前が気に入らないのならばどうしようもないが。
――
しかし、お前のお陰で、レイジをダークマターのホストとして雇うことができた。礼を言うよ」
「別に、異母兄さんに礼を言われるまでもありません。
…
俺は部屋係として、高見様と接しただけなので
…
」
玲二の目的は未だ分からない。だが確かにそこには、肉欲以上の何かを求められていた。
「そうか。では、行こうか?」
明人は立ち上がり、和也に手を差し伸べた。明人は初めて会った時もこうして和也に手を差し伸べた。
差し出された手を和也は取る。重なった掌は、冷たい。見た目の華やかさに反する硬い掌は和也よりも大きく、力は強い。
何の因果か、凶悪な人でなしであったという父親の血を分けた兄弟
…
血の絆などどいうものは、何の糧にもならない。互いにそれをわかっている筈なのに、切ることのできない縁が二人にはあった。
※※
他の吉原作品の傾向をみれば、お兄ちゃんは弟を溺愛する傾向があるので、このふたりもこんな感じで。
森島のじいさんは存在はちょこちょこ出しますが、libido全般にわたって登場することはないです。キャラが掴めてなさすぎるので
…
。
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