ガラシャ
2021-12-29 16:51:53
1595文字
Public 渇愛原作軸
 

悪質アプリにご注意! 玲二×和也

アプリで危ないやつあったよな~と思いついた話です。原作の頃は携帯もない時代だったけど、現代でもしスマホがあったら、玲二はそれぐらいしてそうだな~と。

☆隠しアプリ編

 ――その日、和也は従兄弟である高志のマンションに訪れていた。嘗て和也がひとり暮らしをしていた安いアパートとは違い、セキュリティもしっかりとした部屋だ。
 内装も若い一人暮らしのお洒落な部屋といった感じだ。初めて通された時は、何となく落ち着かなかったが、今ではお気に入りのクッションを独占するぐらいには馴染んでしまった。
 高志の部屋に訪れた理由は、ちょっとした息抜きである。
 実は玲二が休みなのだが、何となく素直に帰って玲二がおきるのを待っているのは癪に障った。
惰眠を貪っている玲二は下手したら夕方近くまで眠るだろうし、夕食までに戻れば問題ないだろう。
 昼は和也が簡単に料理をして、ふたりで食べた後はぼんやりと情報番組を見る。ソファに座ったままの和也に、コーヒーを入れた高志はマグカップを手渡した。
「ありがと」
 高志も隣に座り、ふたりで何気なく見ていると、悪質アプリの話題となった。カップルがお互いの予定を知るために共有アプリとして活用できるのだが、実はそれには裏があり招待した側が相手のGPS機能を勝手に起動することができ、相手がどこにいるか知ることができるのだ。
 和也はその見覚えのあるアイコンに、自分のスマホを弄る。
「ん?どうした和也?」
 高志は慌てた様子の和也に声を掛けるが、和也が忙しなく触っているのに、手元を覗き込んだ。
「高志、これ
 和也の利用しているアプリの一つが、何と今テレビで悪質アプリとして話題に上がっているそれなのだ。
「和也、これいつから入ってる?」
「スマホに変えてからすぐだよ。玲二がお互いの予定を知ってた方がいいだろって
「あいつ
 高志は思わず脱力である。玲二が和也のスマホを当然のように弄っているのは高志も見たことがあるが、まさかここまでとは
 和也の行動を全て知っておきたいという玲二の独占力が垣間見える。
 いや、そうではないかと、高志は考え直す。玲二が実母から離れ、高見家にやってきたころから、玲二の視線は常に和也を捉えていたし、和也の交友関係も把握していた。
 高志から見れば、肉体関係を続けているということは、和也を縛る正当な理由を手に入れているとも見える。
 昏く重い執着はどうやったって、和也を逃さない。
 アプリを入れたのもその一環だろうが、和也にとっては迷惑だろう。
 その時、インターホンがなった。ふっと緊張感が途切れ、高志が立ち上がる。
「おふくろかな?」
 茶化すようにいうが、和也は青褪めたままだ。横目で見ながら、インターホンを確認すると、高志はため息をつく。
「和也、今GPS機能、onになってるだろ?」
「なってるってことは
『和也、迎えに来たぜ』
 無機質に再生される音声な筈なのに、そこには明らかな怒気が滲んでいる。
『俺が休みなの知ってて、他の奴のとこにいるなんて度胸があるじゃねえか』
 玲二が最近自覚したらしい嫉妬の矛先は、和也の周りすべてに対してだ。無論、従兄である高志に対しても同様である。
どんな小さな和也の行動さえも制限しようとする。
『高志。早くオートロック解除しろ』
「へいへい」
 高志が解除ボタンを押し、一旦、インターフォンが切れる。
俺、帰らなくてもいいよな?」
「いや、無理だろ
 和也の願いも空しく、高志は首を振る。
 はあと、大きくため息を吐いて、ボアブルゾンと愛用のリュックを背負う。足取り重く廊下を歩き、ドアを開けるとそこには立ちふさがるように立っている玲二がいた。
「帰るぜ、和也」
じゃあな、高志
「おう、またな」
 気落ちしている和也の肩を掴み、玲二はさっさとドアを閉める。高志を一瞥もしない。
 和也は可哀想だが、まだまだ玲二から向けられる想いは増えるだろうし、とどまることはないだろう。