カッパ巻き大車輪
2024-07-19 21:02:58
708文字
Public 小説
 

スネ6♀の小説

悪びれず安眠妨害してくる621ちゃんと、思いがけず据え膳を得る閣下の話。

 
 
ふと、気配を感じて目を開ける。
至近距離でこちらを見下ろす、緋色の瞳と目が合った。
……何をしてるんです」
「見てた」
……何を」
「スネイルが寝てるの」
そう告げたレイヴンは、悪びれなくにっこりと笑った。
その愛らしくも憎らしい振る舞いにため息をつき、目の前の体を強く引き寄せる。
「わっ……もう、なにするの!」
胸元に抱き込まれた少女は、さも被害者のような顔をして抗議の声を上げている。
「それはこちらの台詞です。人の眠りを妨げるような真似をして」
「そんなことしてないよ。見てただけ」
「見つめられていたら、寝にくいでしょう」
「そんなことないよ。私は平気」
……貴女は、一度寝たら滅多に起きないですからね」
そして、たまに起きたかと思えばこれである。
もう一度ため息をつきながら、さっさと寝かしつけてしまおうと頭を撫でてやる。
しかし、当のレイヴンはすっかり目が冴えてしまったらしい。
「眠くなくなっちゃった、かまって」
頭を押さえ込むこちらの手を跳ね除け、顔を上げた少女は平然とそう宣った。
この私を起こした上に、眠れないから構えとはいい度胸である。
その余りにも恐れ知らずな振る舞いに苦笑し、少し懲らしめてやろうと体勢を入れ替え、ベッドに組み敷いてやる。
両手をシーツに縫い止められたレイヴンは、きょとりと目を丸くした。
「何です、構って欲しかったのでしょう?」
そういう意味じゃない、とキャンキャン吠えるとばかり思っていた少女は、薄く頬を染め緩々と視線を逸した。
……ぅん」
小さく呟かれた返事に、今度はこちらが目を丸くする番だった。

夜中に起こされただけの価値はあったようだ。