雪貴
2024-07-19 05:23:28
319文字
Public RotR
 

淵源楽土

高←主♂の短いの 高に葬られる命がなんだか無性に羨ましくなってしまった刀

 黒曜の双眸は石火の篝を受け爛々と耀かがやき、まなじりあけに染めている。凛々しく上がった眉尻と挑発的に笑んだ口許が、如実に男の愉快な様を表していた。目を眩ませては瞬時に懐へと飛び込む姿に、この男の一筋縄ではいかぬ所業が見て取れる。
 男の濡羽色のくしがはらりと落ちて、気焔揺らめく眼光が僅かに翳った。その猛猛しい眼差しを余すこと無く見せて欲しいというのに、勿体無い。
 勢い舞う蓮の花弁がまるで幽世かくりよへと繋がる簾のようで、その先で倒れ伏す嘗ての命に、結局お前は男の手にかかることも無く現世うつしよに立つより無いのだと、まざまざと見せ付けられているようで、嗚呼、どうにも。────どうにも口惜しいと、思ってしまった。