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マロビ
2024-07-14 15:15:26
2442文字
Public
リョ三
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お邪魔します
【SD/リョ+三(CP要素なし)】
インターハイの打ち上げで焼き肉屋から中抜けするリョと三。
三→赤と勘違いするリョ。
三は言葉で謝るのか、謝らないのか問題を考えた時の謝らないパターンの話。
お邪魔します
「っと、ダンナ?」
宮城は焼肉店のトイレを出た時、ちょうど扉の外にいた赤木にぶつかりそうになり一歩後ろに引いた。
赤木は三井に肩を貸し、もう片方の肩に荷物をかけている。
その向かう先が店の出口だと察して驚いた。
「えっ、もう帰るんすか」
「おう、このバカを送っていく。あとのことは木暮に頼んだが、ハメを外すんじゃないぞ」
インターハイが終わり、打ち上げとして焼肉屋に来てから二時間ばかりたつ。それでもトイレへの席を外す前まではまだ宴もたけなわな様子だった。
三井が項垂れてふらついてる様子な上に、それを担いでわざわざ先に店を出るっていうのはまさか
……
。
「まさか、飲んじゃったんすか」
「
……
わからん。気づいたら寝ていた」
わからないと言いながら、元から厳しい赤木の顔がさらに厳しくなっている。
打ち上げでハメを外して飲酒するというのはあるあるだ。それも元不良の三井だ。
だから赤木が後輩に迷惑がかかるのを懸念して連れ出そうとしているんだろう。
「あの、ダンナは戻ってくださいよ。オレが三井サン送っていくんで。あの問題児軍団を相手に木暮さんだけじゃ手に負えないっす。それにダンナが抜けたらみんな寂しがるだろうし。特に桜木とかね」
「寂しがるものか、あのバカは。羽が伸ばせるとでも思ってるんじゃないか」
「もうこんな機会も少ないんだしさ、ダンナは残ってくださいよ。オレの荷物を持ってきてもらえますか」
「
……
すまんな」
ふらついている三井の腕を取って肩を貸した時、アレ? と思った。
足元がふらついている割に体重をかけてこないし重くない。それなりに体格差があるのに。
それにアルコールの匂いもしない。
二人分の荷物を持ち、店の外に出た。
肩を借りながら項垂れたままの三井を見る。
「三井サン、ホントは酔ってないでしょ」
ピクッと三井の腕が緊張して、そのままスルッと肩から外された。
「
……
気づいてたんかよ」
「オレ鼻がいいんすよ。でもアルコールの匂い全然しないしねーから。なに? なんか帰りたい事情でもあったんすか」
黙り込んだ三井がフッと笑った。
「バレちまったらしょーがねえ。本当は赤木が良かったんだけどな、まさかお前にお持ち帰りされるとは」
「はあ!?」
三井に「こい」と腕を引かれて、流しのタクシーを捕まえると車内へ押し込まれた。
「近くの海岸まで」
三井の声が聞こえた。
夜に海岸? なんで? まさか海岸沿いのホテルに連れ込まれる?
ソワソワと落ち着かなくなったが、逃げる言い訳を考える間もなくすぐに海岸へ着いた。湘南は海が近い。
先に降りた三井に続いてタクシーを降りると、強い潮の匂いが鼻腔を突く。
空も海も真っ黒だ。月も出ていない。街灯の光を反射して波打ち際はわずかに白くひかり、波が旗のように揺れながら寄せては返していた。
「夜の海って怖えな
……
。で、なんで海岸? 帰るんじゃなかったの」
「
……
どこでもいい、人のいねえとこに行きたかったんだよ」
「ちょっ!? 怖いんだけど? まさかオレ、海に沈められる!?」
「ちげーよ、バカ」
道路と砂浜をわけるコンクリート作りの堤防に腕を預けて海を見る横顔は、何を考えているのかわからない。
その表情が
憂
うれ
いにも見えて、さっきのやりとりが気になってきた。
なんで三井サンが酔ったふりしてダンナと抜け出そうとしてんの? まさかこの二人、そういう関係なんじゃ
……
。いや、ダンナにそんな様子はなかったけど。
「なんで酔ったフリなんてしたんすか。ダンナは気づいてなさそうだし、アンタのこと呆れてたよ」
「
……
赤木と二人で話したいことがあったんだよ」
二人きりで話したいこと
……
ってまさか、告白?
「オレ、邪魔した?」
「いや、これでよかったんだ。アイツには
……
いまさらだし、叱られそうな気ィしてきたし」
「三井サン
……
?」
インターハイが終わって一区切りついたタイミングで、部を引退する赤木に言いたいこと。
それが何かピンときて、思わず笑いが込み上げた。
「アンタらしくねぇ
……
」
「あ?」
「やっぱ、邪魔して良かったっすね。三井サンがダンナに言いたいこと、わかりました」
海から風が吹きつけ、三井の髪が柔らかく揺れた。部に戻ってくる時に刈り上げた三井の髪はいつの間にかこんなに伸びていた。
「ダンナに謝る気だったんでしょ。いっぱいやらかしたもんね。みんなを心配させて、待たせてさ」
長かった髪を禊のように切ってきた三井。傷だらけの顔をそのままに、付きものが落ちたようなスッキリとした表情の三井と体育館の外で会ったことを思い出す。
はっきりと言葉で謝られたことはない。三井はずっと態度で示してきた。
「でもいらねーっすよ、そんなの。だって三井サンは戻ってきたし、山王戦で一番得点してるアンタの貢献はスタッツでも明らかなんだから。そんな三井サンに謝らせたら男がすたる。だからいまさら謝んなって赤木のダンナも思ってますね。次期キャプテンのオレが言うんだから間違いないっす!」
「
……
ははっ! そーだな。おめーが言うなら、そーだろうなぁ」
大口を開けて笑った三井のクシャクシャの顔に少しホッとした。
「それにこういうのって、『今までごめん』より、『いつもありがとう』のほうが嬉しいもんすよ」
「なんだ? 母の日に言うようなセリフだな」
「センスがなくてスンマセンね」
ムッと口をへの字にする。そんな顔をみた三井がまた少し笑って「思い出した」とこっちを真っ直ぐにみた。
「宮城にも話したいことがあったんだよな」
真っ直ぐにこっちをみる三井の目の中。街灯の光が星のようにキラキラと光っていた。
「ずっとオレにパスしてくれて、ありがとな」
その笑顔に中学生の三井の面影をみた。
ただ純粋にバスケが好きだった少年は、今もずっと三井の中にいる。
END
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