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雪貴
2024-07-12 00:46:27
1206文字
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MHR
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結局は似た者同士ということ
ウツハンもどきのような何か
ハンターの性別は不問
「教官の目が欲しい」
ハンター就任のお祝いに、何か欲しいものは無いかと訊ねられた。
装備の強化に必要な素材も欲しいし、それ以前にお金も足りないし、あとは美味しいものもたらふく食べたい。とはいえ、いくらなんでも厚かましいにも程がある。
長い付き合いで性格も行動も読まれているから、隠したところで意味はないと思うけれど、あまりの物欲食欲旺盛ぶりを恩師に正直に言えるわけもなく。
しかしせっかくの厚意を無碍にも出来ず、さてどうしたものかなと教官の顔を見て。思わず。
「俺の、目?」
案の定、教官はぽかんとした顔をした。
深い意味は無い
……
と言えば、正直言って嘘になる。
見守る優しい眼差しも、喜びに潤む眼球も、鋭く射抜く眼光も。光の加減で満月のように輝く琥珀色の瞳が綺麗だと何度となく思ったのは事実だ。
別に、物理的に欲しいわけじゃない。自分にそんな猟奇趣味は無い。そもそも教官の体の一部として機能しているから良いのであって、それを自分が手にしたところで
……
と、いったい己は何を弁明しているのやら?
こういう時、口下手な自分を恨む。教官が困っているだろうに、口が滑ったとか何か適当に誤魔化すことすら出来やしない。
目出度い日なのになんて物騒な発言を
……
とりあえず謝罪しておこうと息を吸ったところで、
「いいよ」
────予想外の言葉に、吸った空気をごくりと飲み込んだ。
最初に変なことを言ったのは自分だけれど、輪をかけておかしいことを言ってのける教官に言葉を失くす。
「任務もあるし、今すぐにはあげられないけどね。でも君になら
……
目でも腕でも脚でも腸でも、俺が持てるものならなんでもあげるよ」
かわいい愛弟子のお願いならね、と言葉を結んだ教官に、心の中で盛大に「何を言ってるんですか?!」と叫んだ。
時には優しく時には厳しく、愛情を注いで育ててくれたことにはとても感謝しているし頭が上がらないけれど、この人は時々少し
……
いや、かなり変だと思い知らされてしまう。
いつものはつらつとした笑顔で、まるで冗談のように語られたけれど、いつか本当に自分に『すべて』をくれそうな気がするから末恐ろしい。
怖気に打ち勝ち、やっとのことで「そこまでは要りません
……
」と声を絞り出した自分を褒めてやりたい。
「ウツシ教官、お話が
……
」
「はーい! ごめんね、愛弟子。またあとで!」
「あ、はい
……
」
絶妙な頃合で教官がミノトさんに呼ばれたのをこれ幸いと、そそくさとその場を離れる。お祝いはまた後日、と言葉を濁して。
集会所から外へ出て、桜の花舞うあたたかい並木道を重い足取りで進む。
ただこれからも見守って欲しいという純粋な気持ちと僅かな思慕だったのに、教官の言葉にどっかりと乗った重い重い感情で、心の均衡が揺らぐ。
────期待してしまう自分自身が、一番末恐ろしい。
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