けーだい
2024-07-10 00:58:19
847文字
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後始末

初出24/2/6

投げた剣は敵の右肩に突き刺さった。左から来る敵をしゃがんで避け、胸ぐらを掴んで背負うように投げ飛ばす。その身体が右手から来る新手にぶつかるのを見もせず、肩を抑えて呻く男へと跳ぶように迫ると反撃が来る前に肩の剣を掴み、胴を斜めに振り抜いた。
飛沫が弧を描く。しかし次の瞬間には駆け出していた。伸びていた男達の起き上がる気配がする。追っ手はまだ来るだろう。
走りながらポーチに手を突っ込み、手探りでケムリダケを掴むとそのまま後ろに投げ落とす。後方の呻き、咳き込む声を聞きながら、正面の塀に飛び乗った。すぐ様側の木の葉に飛び移り、広がる葉の先から弓を構える。
(四人)
煙の中からはこちらが見えないが、こちらからも煙の中の敵はいささか見にくい。けれど手足の次によく動くのが頭だと理解していれば、狙うのは容易かった。
放つ。人間の倒れる音がして、煙の中に男達の動揺が立ち込めた。間髪入れずに二発撃ち込み、そのまま静かになった男達へ向かって、跳ぶ。
とん、と軽く着地し、宙で抜いた剣を差し向けると、残された男は戦意を失ったと示すように右手の剣を放り出した。
「訊きたいことがあるんだけど、いいかな」
面を被った男からは表情が読めない。けれど男は自分の周りに転がる男たちの頭から矢が生えているのを見て、怯えているようだった。手が、震えている。
「教えてくれたら悪いようにはしないから」
溜息混じりにそう告げると「なんだ」と返事が来る。ようやく本来の目的に辿り着けた。
「あの悪趣味な偽物は、誰の差し金?」
男は一瞬息を詰めた。その反応が答えのようなものではあったが、念には念を入れるべきだと思った。言わぬなら刺す、という意志を込めて切っ先を喉に押し当てる。
……コーガ様だ!」
耐えかねたように男が叫ぶのを、ああやっぱり、という顔で見ていた。
「そう。ありがとう」
突き刺し、濁った呻きを漏らして男の身体がびくんと跳ねた。引き抜いて振り払う。血溜まりの中で生きているものは、リンクただ独りだった。