とかく「可愛い」と言われることが多かった。男として生まれたリンクとしては、そう評されるのは大変に複雑な心地である。ただあまりにそう評されるものだから、自分の容姿は「そういうもの」なのだと受け入れざるを得なかった。
しかし、受け入れてさえしまえば、この容姿はなるほど便利だった。小柄な身体は敵の本拠地に潜り込むのに向いているし、顔の造形は女の格好をして男から物品を頂戴するのに役に立った。リンクにとって「可愛さ」は武器のひとつになった。
とはいえ、である。
「リンクはどちらかと言えば、可愛い方ですよね」
己が姫にまでそう言われるのは、さすがに面白くない。
もちろん、彼女に悪気がないことはリンクも理解している。容姿だけではなく、普段の振る舞いも含めてそう言っているだろうことも分かっていた。
リンクはゼルダと同居するにあたって、己の男の部分を隠すよう務めてきた。だから自分に対する彼女の評が「色気がある」とかいうより「可愛い」になるのは当然だとも思う。けれど、だからといってその発言を素直に受け入れる気には、到底なれなかった。
ふぅん、と一言漏らして、彼は立ち上がった。焚き火を囲うように置かれた丸太の長椅子を移動する。そうして、普段であれば絶対に座らない位置、ゼルダの隣に腰を下ろした。
近い。
女としての本能か、ゼルダは咄嗟に身を強ばらせる。だが、もう遅かった。丸太に右手をついて、更に距離を縮めてくるリンクに、ゼルダは初めて恐怖した。そうして、いつも彼がどれだけ注意を払って自分に接していたのかを理解する。無邪気に彼に近づいていた自分は彼によって守られていたのだと、ゼルダはこの時はじめて、はっきりと自覚した。
間近に迫った彼はその深い青色の瞳で、真っ直ぐにゼルダを見つめている。逸らすこともできず、逃げることも許されない。
リンクの瞳は「捕食者」のそれだった。
「……そう?」
初めて男の顔を見せたリンクに、ゼルダはただ、首を横に振るばかりだった。
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