けーだい
2024-07-10 00:37:58
803文字
Public
 

酩酊

ついった再録 23/11/11初出

どうしてこうなったんだっけ。
考えてはみたけれど、いまいち意識がふわふわして、よく思い出せなかった。思い出せないことは仕方がないから、考えるのをやめて腕の中の柔い生き物を抱き締める。暖かい。
「あの、リンク」
ゼルダの声が、耳元で響く。腰に来るその甘い声をずっと聞いていたいけれど、ゼルダは何かに困っているようだった。少しだけ身体を離して、顔を覗き込む。真っ赤だった。
「どうしたの?」
翠の瞳が綺麗で、ついつい顔を寄せてしまう。ゼルダがもっと困った顔をしたから、安心させたくて、その手を取って口付けた。
「何に困ってるの?」
「あ、の」
まだ言い澱んでいるから、じっと瞳を見つめる。言うまでこのままでいよう、と考えていると、ゼルダが躊躇うように口を開いた。
「え、と……この体勢は、ちょっと」
「ん?」
この体勢。ゼルダが俺の膝の上に座っている。それの何が「ちょっと」なのかわからなくて、首を捻った。彼女が泣きそうな顔になる。
嫌だ、と思った。
「泣かないで」
彼女の頬を撫でて、瞼に、頬に、唇に、口付ける。ちゅ、ちゅ、と何度も繰り返すと、ゼルダが悲鳴みたいな声で「待って」と言うから、口付けをやめてもう一度瞳を覗き込んだ。
「な、泣きませんから、大丈夫ですから」
そう言う彼女の顔はまだ困っていて、どう見ても大丈夫じゃなさそうだった。全く納得できなくて、強く腰を抱き寄せる。
「ね、ゼルダ。どうしたら幸せになってくれる?」
「え」
「ゼルダを幸せにしたい。どうしたらいい? 俺には何が出来る?」
ずっと思っていたことがするする口から出ていく。ゼルダに笑って欲しくて、幸せでいて欲しくて、そのためなら俺はなんだってできるのに、どうしたらいいかわからない。
「おしえて……
懇願するように、ちゅ、と口許にキスを落とす。ゼルダは茹だったみたいな顔をして、
「もうじゅうぶん幸せです……
と言った。