千聖
2024-07-07 14:06:29
4240文字
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デート


今日は待ちに待った4人での海水浴&水族館で遊ぶ日である。
昨日までショーを行っていたが今日はオフ!この日のためにショーを頑張ったと言ってもいい。別にショーが嫌とかそういうことではなく、頑張った後のご褒美はやっぱり嬉しいものだ。

ここは水族館の裏が海なので海で遊んだ後に水族館へ行くという流れの人が多いことで有名な施設である。
そして司と類はお付き合いをしているものの仲間と過ごせる日々もとても大事にしているし、寧々とえむも2人の交際を認めており特に気にすることはなかった。

「さてお前達、海に入る前はきちんと準備運動だぞ!」
「「「はーい」」」
水着に着替えた4人はいっちにぃと軽く体をほぐしていく。
水着と言っても日焼け対策や過度な露出を控えるためにラッシュガードを全員着用している。
なんなら司と類はこの日の為にお揃いの水着を買っていた。

4人ともスタイル抜群、顔よしなので少々周りからは浮いて見える。
周りからはWデート?なんて噂もされていた。
デートであることは変わりないが男女ではなく男男であるし、女の子同士は親友?姉妹?に近いポジションであり恋愛感情はないのであった。

「司くん!ビーチバレーはいつするの??早くびゅんばん!ってしたいよぉぉ」
待ち切れないのかボールを抱えてその場で飛び跳ねる。
「む?そうだなぁみんなが良ければ先にするか?海に入ったあとだと疲れてしまうだろうし」
「そうだね。軽い運動にもなるし良いんじゃないかな」
「バランス考えてあんた達はペアにならないでよ」
「当然だ!」

こうしてビーチバレーからすることに。
チーム分けは先にえむと類、寧々と司にわかれ、その後えむと寧々が交代ということになった。

特に罰ゲームなどは設定していなかったがこれはこれで楽しく、4人ともなんだかんだ本気になって遊んでしまった。
しかし後半の省エネ組は動きが最低限の割にかなり際どいところに落としたりと司達は振り回されていく。けれど体力バカ2人はその翻弄した動きですら笑顔で取りに行くのだからなんだかおかしくなってしまった。

その後は海に潜ってみたり、波に揺られてみたりと各々海を満喫していた。

司とえむはビーチバレーの疲れがあるのかある程度泳いだら浮き輪にもたれてぷかぷかと浮かんでいた。そして司の近くにはベッタリとくっつく類の姿。

「司くん疲れちゃった?」
「ん〜少しすこしだけ
波の揺れが心地よいのか、類の声が心地よいのかうつらうつらと司は夢と現実の狭間行き来していた。

「落ちないように支えててあげるから」
この浮き輪は人ひとりが寝られるような横長の浮き輪の為司はその上に乗り上がり、類はその浮き輪ごと流されないようにしっかりと握っていた。

えむはというと寧々に連れられて陸に上がっておりパラソルの下で飲み物を飲んでいた。

流石に長時間寝かせる訳にも行かず、とりあえず10分ほど寝かせておいて波打ち際辺りまで浮き輪ごと運んだ後に司を起こす。

「ん〜??はっ!!!つい寝てしまった!!」
「おはよう。と言っても10分くらいだよ」
「あぁ、すまないな。2人は
キョロキョロと辺りを見回していたら2人は近くの海の家にあったのかかき氷を食べていた。

「こら!お前たち!ランチ前に何食べてるんだ!」
「うわっお母さんじゃん
「司くんも食べるー?イチゴ味だよ!!」
「食べんわ!大体午後に水族館限定のアイスを食べるのではなかったのか?」
「それも食べるよ!」
「ダメだ!海に入って体も冷えているしそんなに冷たいものばかり食べたら胃に負担がかかるだろう!」
「ちょっ、まじのお母さんなんだけど
寧々はさっきから司をお母さん呼ばわりしてげんなりとした顔でかき氷を食べて進めるし、えむは舌赤くなった?ねぇ?赤い?と可愛らしく舌を出して聞いてくるしで、ツッコミが追いつかないので類が赤くなってるよと優しく教えてあげていた。そして、

「まぁまぁ、たまにはいいじゃないか。それに午後のアイスは2人で1つにしたらどうだい?結構大きいと書いてあったし」
「うん!分かった!じゃあ寧々ちゃん半分こしようねぇ」
「う、うん

お母さん司をなんとか宥めながら昼食を食べに行くためにもシャワーを浴びて着替えに向かう。

女の子達はお揃いのマリン柄のワンピース。えむは服に合わせた帽子を被っていた。
類と司は水着だけでなく私服もお揃いらしい。
「どう見ても類のセンスじゃない」
「寧々酷くないかい?」
「そうだな!この服は俺がいいなと思って決めたというより咲希が似合いそうと勧めてくれたんだ」
「あぁ確かに司の趣味って感じでもないよね」
シンプルな白シャツに青いラインが入っているだけでチノパンもシンプルなものだった。
しかし首元にはわざと見せているのかお互いが贈りあった指輪が通ったネックレスがあった。

軽くお昼を食べたら水族館に早速入ろうとえむなんかはワクワクが抑えきれないほど目をキラキラさせて入口で早くー!と叫ぶ。
「チケットは皆持ってるな。えーとパンフレットにはイルカのショーが14時半とあるから類。この時間にこの場所に集合だな」
とパンフレットのショーがあるエリアを指して類と確認をする。

後ろ2人はどういうこと?と首を傾げていたら、
「じゃあまた後でね」
と類はバイバイと手を振って水族館の奥へと進んでいってしまった。

「ちょ、ちょっと!司!類行っちゃったけど!?」
「そうだな?」
「司くん!早く追いかけないと!!」
「なぜだ!?」
慌てる2人に司は狼狽える様に返事を返す。

「あたしたちのこと心配してるなら気にしなくていいんだよ!」
「ちょっ、ちょっと待て。2人とも。何か勘違いしてないか?」
「勘違い?」
「俺は、というか俺たちは基本的にどこに行ってもこういう形なんだ。最初は各々好きなものをみて、あとから見て欲しいところや気に入ったところに案内して貰ってみるって形なんだ」
「それデートなの?」
「デートの形はよく知らんが、特殊な方だとは思っている。けれど、俺は類についていっても楽しめんし、類も俺に合わせると楽しめないからな。そんなのお互い楽しくないだろう?」

さぁ、俺も見て回るかと呟やき、お前らはどうするんだ?と聞かれたのでとりあえず一緒に見て回ることにした。

司の見て回るは一般人と変わらず気になったものや順番通りに眺めるだけの至って普通の回り方だった。
ひとつのフロアを自由に見て回り、出口で合流して見るという形だったり、フォトスポットは寧々とえむの写真を撮ったりと3人で見て回ってる姿はカップルと言うより兄妹のように見えた。
ましてや司自身も恋人に向けるものではなく後輩、仲間に向ける表情と声なのだから尚更だろう。

逆に類はというと興味あるものの所へ一直線。そして5分〜10分はそこに立ち止まってしまうのだから一緒にいるものからすればつまらないだろ。しかもまだ会話があればマシだが、一人で考え事をしてしまうのだから尚更つまらない。

時間を忘れてしまわないようにいつも類は時間を決めてアラームをかけている。なので合流時間におくれたことがないのが唯一の救いでもある。


「結構見所があったな。そろそろイルカショーをみにいくか?」
「そうだね!類くんもういるかなぁ?」
「あいつ時間忘れてたりしないの?」
「ないな。きちんとアラームをかけているしむしろ早めに集合場所にいるぞ?おっ、先に席を取っているそうだ!」
司はスマホを見ながら皆に伝える。

ちらほらと人が埋まりつつあるものの司は一目散に類の待っている席へと歩みを進める。
事前に連絡をとっていたから分かっているのか、単純に類しか目に入ってないのかそれは分からないが傍に行くと「類!」と嬉しそうな声で呼ぶ。

「やぁ、司くん。楽しめたかい?」
「あぁ。なかなか有意義だったぞ。類こそ気になるものはあったか?」
「もちろんだとも!後で一緒に来て欲しいんだけれどクラゲのコーナーも魅力的だったし。オオサンショウウオは不思議かつ惹かれてしまうよね。あれだけ動かないのになぜ敵に狙われない。いや、大きいからこそ襲えないのかそれにしても不思議で仕方ないよね!」
「あぁ。そうだな。後でまた見に行こう」
司はナチュラルに類の隣に座ってウンウン相槌を付きながら類の話を聞く。
最早親子にしかみえない。
話を聞いて欲しい子供とそれを慈しむ顔で聞き入れるお母さん


えむと寧々は司とは反対側の空いている所に座った。
「類くんすっごくキラキラお目目だね」
えむが珍しくヒソヒソ声で寧々に言う。
「あんな幼なじみしらない
寧々は隣に座っている幼なじみにげんなりとした顔を向けた。

「ねぇ、司くん
「なっ!!」
「ショーの間だけいいだろう?」
ショーの間だけだからな
類は司の手を取って恋人繋ぎをする。
司は恥ずかしそうにけれど振りほどくことなく頬を赤く染めながら手に力を込める。

ショーはとても面白く、終わったあとは類の言っていた所へ2人で向かうことに。
寧々とえむにどうするかきいたら先にカフェに行ってデザートを食べておくと言うのでここからは本当に2人きりのデートとなってしまった。

「司くん
「類ショーの間だけじゃなかったのか?」
「室内は暗めだしいいじゃないか。2人きりなんだよ?」
それにいつもは合流してからは沢山くっついているしとブツブツと文句を言うので仕方なく司は手を握ったまま類の行きたい方へと向かう。

「別に俺だって手を繋ぎたくないわけではないが。今日は2人もいるからあまり腑抜けた顔をしたくないだけだ」
「そうだったんだね。なら尚更今は僕しかいないんだから僕にだけ見せる顔をしておくれよ」
「ん。類どこが見所なんだ?いつもみたいに教えてくれ」
「そうだね!あそこの魚がみえるかい!?あれがこうなってああで
司は甘えモードに切り替えた途端に繋ぐ手に力を込め、ほんの少し空いてた2人の隙間を埋めるようにピッタリとくっついて小さな水槽を2人で覗き込んだ。まるで2人きりの世界のような不思議な感覚で、こんな時間がずっと続けばいいなと思いながら類の話に耳を傾けていた。