カッパ巻き大車輪
2024-06-28 21:39:21
1168文字
Public 小説
 

ウォル+621♀の小説

ウォルターはちょっとヤンチャなオシャレが出来るイケオジという幻覚に基づいたウォル+6的話。
621ちゃんにとっての良い男基準はウォ義父さんだと良いな…(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

 
 
それは偶然だった。
先を歩くウォルターに追いつこうと走り寄った際に、立ち止まり振り返った彼の纏うスーツに見慣れぬ色を垣間見たのは。
「急がなくていいぞ、621……621?」
ゆったりと向きを変えて待つウォルターに近づき、先程見た物の正体を探る。
近しい間柄ゆえの無遠慮な距離感で、スーツの裾を掴む。
ウォルターが止めないのを良いことに、そのままめくり上げた。
……わあ!」
それは、きれいな赤だった。
鮮やかだけど、どこか深みのある赤は、上手く言えないけれどウォルターに相応しい色に思えた。
「見つかってしまったか」
そう言ったウォルターは、悪戯がバレたかのように笑った。
「これ、きれい。どうして内側だけ色が違うの?」
「差し色というんだが、まあ遊び心だな」
あそびごころ。耳慣れない単語を口の中で転がしながら、もう一度スーツの裾をめくる。
……少し、若作りし過ぎだろうか」
表地の落ち着いた色合いと裏地の赤、その対比をまじまじと見つめていると、頭上から少し困ったような声がする。
「これ、好き」
見上げながらそう告げると、ウォルターは僅かに眉を下げ微笑んだ。

それから暫く後のある日。
最近仕事を回してくれている企業にウォルターが出向くというので着いて行く事にしたのだが、珍しく先に準備が済んだので待っていた時だった。
スーツの上着を羽織ったウォルターは、最後に卓上に並ぶいくつかの布に目を向けている。
一緒になって覗き込み、それが何か分かった。
「ポケットから出てるやつ」
「そう、ポケットチーフだな」
ウォルターはどれにするか迷っているようなので、選んであげようと意気込んで卓上を見る。
夜と朝の間みたいな色。ルビコンではあまり見られない、風に揺れる葉っぱの色。
そして。
……これ、これがいいっ」
一つを指差すと、ウォルターは小さく唸りながら腕を組んだ。
「ビジネスの場には、少々派手だな」
「だめなの?」
 
 
「駄目という事はないが……どうしてそれを選んだんだ?」
「だって、ウォルターに合ってるしそれに、」
ポケットチーフを手に取り、頬のそばに寄せる。
「ほら」
僅かに目を見開いたウォルターは、降参だというように笑いながら組んでいた腕を解いた。
いつもの様子を思い出しながら、胸元のポケットにチーフを挿す。
見様見真似だから、きっと正しく出来ていないのだろうけど、ウォルターは気にした様子もなく完成までを見守っている。
やがてそれなりの見栄えになったポケットチーフを見下ろし一撫でしたウォルターは、そのまま私の頭も緩く撫でた。
その日は企業に向かう間も、赴いた先で並び立って歩く間も、ついその胸元を覗き込んでしまった。
私の瞳と同じ色をした、ウォルターにとても似合いの赤いポケットチーフを。