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涼華
2024-06-27 23:27:24
2022文字
Public
支部掲載済み
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寒がりの寂しがり
ダングレ未満、寒がりグレおじと同衾(健全)するはなし
「寒いから、暖めて欲しい」
そう、控えめに言葉をこぼして彼は目を逸らした。
一般的な平熱よりも体温が低いらしい彼は時折こうやって私に声をかけてくる。それは本当に寒くて眠れない日だったり、人格やE.G.Oの後遺症が酷く落ち着かない日だったり様々だ。最近では単に甘えたいだけって日もある。今日の勤務内容と彼の今の様子を鑑みればこれは後者だろう。
甘え下手の恋人が勇気を出して声をかけてくれたんだ。断る理由なんてない。
〈もちろんいいよ。ホットミルクとホットココア、どっちがいい?〉
「
………
ココア」
〈了解〉
所在なさげに彷徨う彼の左手と手を繋いでバス内に用意された簡単なキッチンに向かう。温度のない指先から手のひらまで暖めてあげようとすりすりと擦り合わせていたら徐々に手が温まるのと同時に彼の顔が林檎みたいに真っ赤になっていた。
照れているのか、それとも気持ちよかったのか。訊ねたらきっとしばらく口を聞いてもらえなくなるのでこのことには触れずにおく。
慣れた手つきで牛乳を温めて、それをあらかじめ少量の湯で溶いておいたココアと混ぜる。彼はすん、と鼻を鳴らしてふにゃりと表情を緩めた。
〈これで足りそう?〉
「
………
いや。まだ、寒いままだよ」
甘えたいのだから寒さは大して関係はないのだろうけど、理由がないと甘えられない彼にはこの質問は必要なものだ。ゆっくりとココアを飲みきって、ほう、と息を吐いた恋人は縋るように私を見た。
〈じゃあ、部屋に戻ろう〉
「
…………
うん、」
流し台でコップを洗って乾かしておき、そわそわ落ち着かない様子の彼の手を引いてまた廊下を歩く。途中誰かに鉢合わせたら、なんて考えているのだろうか。私の背中に隠れようと身を縮める姿が愛らしい。
まあ、そんな彼の不安は杞憂に終わり舞台はふたたび私の自室。こうやって彼を甘やかし始めた頃から何故かサイズがワンランク大きくなったベッドに横になってぽんぽん、と隣を叩いて並ぶように促す。
〈君がそんなに寒がるんだから、右腕も大人しくしてるだろうよ〉
「
…
そう、だな」
ぎしり、と2人分の体重を載せたベッドが軋んだ。
〈眼鏡入れは机の上ね〉
「ああ、いつもありがとうな」
〈いいのいいの。私が好きでやってるんだからさ〉
恋人が眼鏡を置いたのを確認して明かりを常夜灯に変える。真っ暗闇だと過去を思い出して上手く眠れないらしい。大人しく私の隣に落ち着いた恋人は遠慮がちに左手を伸ばしてこようとするので右手でそれを絡め取り、そのまま空いた左腕で彼を抱き寄せ毛布をかけた。
〈これで少しはマシになるかな?〉
「
…
ちょっとは」
温かな飲み物を飲んでもなお温度の足りない身体はひやりと冷たい。夏場ならきっと気持ちいいんだろうな、なんて思ったことがあるけれど、夏は夏で上手く体温を下げられなくて調子が悪くなるんだとか。
まあ、今は体調改善よりも私との触れ合いの方が彼には必要らしい。すりすりと繋いだ私の右手に頬を擦り寄せ、ちう、と愛らしい口づけまでしてみせた。最近ばたついていて、こういった時間を取ることが難しかったからな。私も結構寂しかったし。
「あったかい
………
、」
〈それはよかった〉
「
…
もう少し、こう、してても
…………
」
〈いくらでも付き合うよ。でも途中で寝落ちちゃったらごめんね〉
「
………
そうなったら朝まで身動き取れないじゃないか」
〈うん、そうなっちゃうね〉
不器用な彼のために言い訳を、理由を重ねていく。隣に居ていい理由を与えていく。
寒かったから私で暖をとって、途中で私が寝落ちたから仕方がなく朝まで眠った。これで誰にも文句を言われない、とか考えているんだろうな。
私達の関係なんて親しい人達が見れば丸わかりなのにね。恋人同士が一緒に眠るくらい、よくあることなのに。
〈ね、もっとくっついて。まだ寒いでしょう?〉
「
…
うん、今日はいつもより寒いんだ」
いつか、もう少し素直に甘えられる日が来たならば、彼の温度も少しは上がり、寒い、という言葉を発することも減るのだろう。まあ、上がった分理由なくくっつくことは増えるんだろうけど。
抱え込んだ腕の中、頭まで毛布を被り穏やかな呼吸を繰り返すいとしいひとの頭をそっと撫でた。
グレゴール
いつぞやの低体温世界線とは別
変温寄りなので体温調整が苦手で寒い時期は稀にダンテのベッドに潜り込むことがある
甘えることも苦手なので上手く同衾(健全)のお誘いが出来ず淹れてもらったホットココアの温度を思い出しながら夜を過ごすこともある
そのうち勤務外では素直に甘えるようになる
お付き合いしはじめで同衾(健全)しかしてない
ダンテ
控えめな恋人のアプローチを読み取ろうと必死
もっと甘えて欲しいしイチャイチャしたいけど無理には進めたくない自制心オリハルコン
早く同衾(意味深)したい
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