シオウ
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DEEP DEEP DEEP アナザーブルー !R18!

①久しぶりの性交が最高に気持ちいい大学生はるまこ。遠征から帰ってきたナナハルが絶倫。
②ナナハルがモブを演じるイメージプレイ。真琴くんに敬語を使わせたかった。
pixiv作品まとめ2

厳しくも華やかな世界の舞台。
果敢に挑む選手達が身に纏うスタイリッシュな揃いのジャージに、大きなスポーツバッグ。
長期の遠征を終えて帰ってきた遙を空港で迎える真琴の胸は誇らしさに弾んでいた。
選手団の中にいる遙は何だか頼もしく、普段よりずっと輝いて見える。
少しくたびれて男らしさを増したその顔が、真琴を見止めると優しく緩む。
けれどそれは二人にしかわからない、ごくわずかな変化だ。

「お疲れさま!移動も大変だったでしょ?」

有無も言わさず遙の肩からバッグを、手からキャリーを奪うと真琴は歩き出した。

「車で貴澄が待ってるから、行こ!」

「真琴、自分で持つからいい……

いかにもアスリートといった姿なのに、手ぶらは恰好がつかない。
ましてや恋人に荷物を持たせるなんて、男の沽券に……といったところは察してはもらえないようだ。
遙はいつも通りの溜息をついてのそのそと真琴の後を追った。
駐車場に出るとすぐに鴫野不動産の社用車が目に入る。
窓からのぞくビビットな髪色。
運転席の貴澄はそこにいるだけで周りの彩度をあげてしまうような男だ。
トランクに荷物を入れている真琴に促されて後部座席のドアを開けると、乾いた明るい声が迎える。

「ハル~~!おかえり!」

答える間もなく次々と言葉を浴びせかけられ、遙は沈黙するしかない。

「いや~、金メダリスト様の送迎ってことでさ、ちょっとスポンサー気取り?
我が社をアピールするチャンスかなぁって社用車で来ちゃった!ほら、写真とか撮られたりするじゃない?気が抜けないよねぇ!」

貴澄はわざとらしくバックミラーで髪型を整える仕草をしてみせる。
真琴が助手席に乗り込むと、車はゆっくりと駐車場を出た。
平日の昼間、首都高の流れはスムーズだ。

「ねぇ、真琴?七瀬選手を支える二人のイケメン!とかいって僕ら話題になっちゃうかもだよね!?」

「ふふっ、貴澄はカッコいいから注目されちゃうよね。きっと」

「また~~、真琴ってホントにさぁ……ところでこの後どうする?たまには3人でご飯なんてどう?」

遙の表情は変わらないが、静まり返った車内に何やら不穏な空気が漂う。
それを察して貴澄が吹き出した。

「アハハッ!冗談だってば!久しぶりにやっと会えた二人の邪魔するほど野暮じゃないって!」

「きっ、貴澄?別に邪魔なんてそんな……!ねぇ、ハル?」

慌てる真琴と無言の遙を見て、貴澄はますます愉快そうに笑った。

「ふふふッ!ホントに二人は仲良いよねぇ!」

その後も車内には貴澄のマシンガントークが響き続け、沈黙する間もなく遙のアパートに到着する。

「さあ着いたよ~。ハルはゆっくり休んで!真琴は僕と二人でご飯行く?」

「え、えっと……

再び貴澄の軽口が炸裂し、慌てる真琴とは対照的に、遙は真面目な顔で貴澄を見据える。

……貴澄」

「ごめん~、ハル怒らないで!二人を見てるとつい意地悪したくなっちゃ

その言葉を遮って、遙はポケットから小さな封筒を出すと貴澄に差し出す。

「いつも真琴が世話になってる。受け取ってくれ」

「え?これ、何……?」

意外な展開に、貴澄は差し出された封筒を素直に受け取ってしまった。

「少しだけど……心付け、みたいなものだ」

遙の言葉とほとんど同時に封筒の中身が現金であることを確認した貴澄がこらえきれずに吹き出す。

「アハハ……ッ!ハル、これってお店の人とかに渡すやつ!?しかも車出したお礼じゃなく真琴が世話になってるって……!フフフッ!あははは!!」

友人からこのタイミングで唐突に現金を渡されるとは……面白すぎて笑いが止まらない。
貴澄は真琴の肩に頭を預けてくつくつと笑い続けた。

「まこと……っ、フフッ、ハルは本当に良い旦那さんだねぇ!アハハ!」

精一杯の誠意を見せたつもりだったのに爆笑されてしまった遙はみるみる不機嫌な顔になっていく。

「本当にうるさい奴だな。真琴、行くぞ」

遙は車を降りると、すぐにトランクから荷物を出して立ち去ろうとする。

「ああ、ハルが行っちゃう!……貴澄、送ってくれてありがとうな!」

真琴も車を降り、遙を追いかける。
と、並んだ二人の背中に貴澄から大きな声がかけられた。

「ハル~!真琴からいつもお礼は貰ってるから!」

またね、と告げて車は二人を追い抜いていった。
相変わらず食えない奴だ、と遙は遠のいていく車を見つめる。
何となく気まずい沈黙が訪れて、横目でお互いに様子を見合う。

……貴澄にお礼って、いつも何してるんだ」

「え!?ご飯ご馳走したりとか……

貴澄が二人の関係をどこまでわかっているのか定かではない。
しかし、常に含みを持ったその言動に振り回されてしまう。
現金を渡すという突飛な行動も、遙にしてみれば感謝に見せかけた牽制のつもりだった。

「まあ、いい。それより……冷蔵庫に何もないから買ってくる。悪いけど荷物持って先に部屋行っててくれ」

「うん。バッグの中身、洗濯して片づけておくね!」

「そこのコンビニに行くだけだから、すぐ戻る」

真琴は鍵を受け取って部屋に向かう。
ふと、振り返って遙の後ろ姿を確認すると、頬が緩んだ。
やっぱり、あのジャージ姿の遙は逞しくてカッコイイ、と思う。
先程の貴澄へのズレた行為も、自分の為にしてくれたのなら嬉しい。
競泳選手。金メダリスト。メディアも注目する若手アスリートのアイコン。
どんな肩書を背負っても、自分の中では何ひとつ変わることのない遙の存在。
けれど最近は、それらの飾りが遙の魅力を一層引き立てている様な気がする。
自分は案外ミーハーなのかもと反省しつつも、やはり昔より離れている時間の方が多いことが影響しているのだと思った。
長い時間、会わなければ必ず何らかの変化がある。
その度にもっと遙のことを理解したいと思う。
その分、自分も成長したいと思う。
同時に、周りの状況がどんなに変わっても、自分だけは変わらずに遙を安心させてやりたい、とも思う。
何があっても遙を受け止め、守ってやれる……そんな存在になれたら。
想いをめぐらせながら、真琴は意気込んでキャリーの中身を引っ張り出す。
様々な生活品を所定の場所に戻してやり、服を洗濯機に放り込む、が。
洗剤の量、柔軟剤を入れるタイミング、洗濯ネットの存在……それらの全てを無視して遙にどやされるのはもう少し先の話だ。
玄関から音がすると、大きく膨らんだビニール袋を両手に抱えた遙が体でドアの隙間から入り込んできた。

「おかえり!たくさん買ってきたんだね。お腹空いてた?」

すぐに袋を受け取りドアを押さえてやる。

「いや、長くなるから……出来合いのもので済ませようと思って」

とりあえず全部冷蔵庫に入れてくれ、と言われたのでそれに従う。
遙がコンビニの食べ物を買うこと自体めずらしいのだが、疲れて料理をする気力などないのだろうと不憫に思う。
弁当にサンドウィッチ、おにぎり、プロテインバーにエナジードリンク。
大量消費されたカロリーを補うラインナップ。
しかしさすがにエナジードリンクとは意外だった。

「ハル、こういうドリンクってあまり体に良くないって聞くけど……

「ああ、俺も飲んだことないけど……ただの気休めだ」

……?」

先程からの遙の言動に疑問を感じつつも、もっと大切なことがある、と真琴は思い直す。

「じゃあ、体の状態も見たいし、調整も兼ねてマッサージしよっか!シャワー浴びてからにする?」

「いや、すぐ始めてくれ」

「部屋着に着替えたほうが楽じゃない?」

「あまりリラックスしすぎても良くない」

「そう?そのまま寝ちゃっても全然いいんだからね」

じゃあうつ伏せになってくださいね、と少し気取って促す。
言われるがままにベッドの上でうつ伏せになった遙の背中にそっと優しく触れて、体の状態を確かめる。

「ああ、やっぱり移動が長かったから固まってる。腰とか辛かったでしょ?」

まずは手の平でゆっくり表面の筋膜をほぐしてやり、少しずつ奥の筋肉を動かして硬さをとってから関節や腱の動きを見ていく。
穏やかな呼吸の音が聞こえて、遙の体が徐々に緩んでいくのがわかった。
高校の頃よりも一回り大きく、鍛え上げられたその身体に触れる度に、ほんの少しだけ緊張している自分がいる。
芸術品のような見た目はもとより、この身体には大勢の人の希望がつまっていて、人々の夢、そのもの。
神様から与えられた宝物みたいだ。
そんな遙の傍に長く居て、ましてや身体に触れられるのは自分だけなのだから。
丁寧に、慎重に、大切に……遙の為ならどんなことだって……

「次は仰向けになっていただきまーす」

込み上げてくる熱い気持ちを誤魔化すようにおどけて告げる。
ごろんと仰向けになった遙の肩に手を添えて、腕を頭のほうへゆっくりと倒す。

「痛みとか、こわばりとか感じない?」

問いかけてから、遙の表情に注目する。
何か違和感があれば必ず顔にでるはずだ。

「ああ、ほぐれたから気持ちいい」

言葉の通りの穏やかな表情を見ると、問題はない様だ。

「じゃあ、足の関節も動かしてみるね」

一安心して、視線を下半身に移す。
と、すぐに遙の股間の膨らみが目に入った。

「えっと、えっと……さ、触んないほうがいい、かな?」

……真琴、見すぎだ」

「そっ、そんな見てない!びっくりしただけで……!」

慌てふためいて弁明するが、遙は気にしていない様子でむくりと起き上がった。

「久しぶりに身体に触られたら……誰でもこうなるだろ」

「う、うん……ごめんね、オレ……

俯いて必死に視線を逸らす真琴に、遙が近づいて囁く。

……真琴は俺に触って興奮しなかったか?」

「おっ……!オレはそんなやましい気持ちでハルに触ってないよ!!」

「そうか……、じゃあこれからだな」

半ばしがみつくように遙に抱きしめられると、身長差で遙の髪が顎先に触れ、形のよい頭が眼下に見える。
黒いつやつやの真ん丸な頭が可愛く思えて、いつも真琴の胸は密かに高鳴っていた。
遙は胸に顔を目一杯押し付け、味わう様に深呼吸を繰り返している。
広い胸にこうして顔を埋めていると落ち着くらしい。
時には長い時間、動かず幸せそうにしているので、もしや自分はゆるキャラか何かだと思われているのではないかと不安がよぎる。
けれど、自分もそんな遙が猫のようで可愛いと思ってしまうのでお互い様なのかもしれない。
とはいえ、猫にするように頭でも撫でようものなら、子供扱いするなと機嫌を損ねた遙がすぐさま胸に悪戯してくるので下手な動きはできない。
真琴はいつもの様にじっと次の動きを待つ。
背中にまわされていた手が脇腹のラインを撫でながら下りてくると、それだけで全身が粟立つような快感に襲われた。
深く口付けられてからベッドに押し倒される。

……真琴、会いたかった」

飢えて熱を帯びた蒼い眼に見下ろされて、心臓が波打つ。
興奮に呼吸が浅くなって、すぐに頭がまわらなくなってくる。

……っ、オレも……ハルと……

はしたない言葉が口をついて出そうになって、そんな自分にも興奮してしまう。
何だかおかしい……僅かなこの距離さえもどかしく感じる。
今すぐ裸になって肌を寄せ合って、全身で遙を感じたい。
そう考えただけで、股間が疼いて両胸の先端が硬くなるのを感じた。
久しぶりにこうして遙を目の前にして初めて、自分の欲求不満状態に気付く。
いくら純情で貞淑な真琴とはいえ仕方ないことだ。
遙がいなければその熱が湧き上がることは滅多にないし、いつも忙しく疲れ果てて眠るだけの日々が続いていたのだから。
何日もあけて、生活に支障が出ない様におざなりな処理を行う。
それで何の問題もなかったのに。
再び口付けられて、舌を絡められる。
ぬるぬると熱い塊で口中を犯されて、頭の芯が痺れていく。
舌の動きに合わせて、びくびくと全身が震え、初めての感覚に真琴は怯えた。
キスだけでこんなに気持ちいいなんて、自分の身体はどうなってしまったのだろう。

「はっ……、ぁ……っ」

息継ぎの呼吸で上下する胸がTシャツと擦れて、それだけでたまらない快感を生み出す。
足をひろげられて間に入られると、遙が硬くなった陰茎を服の上から股間に押し付けてくる。
たとえ布越しでも、性器の擦れ合う感覚は刺激が強すぎて、ごりゅごりゅと硬いモノで敏感な部分を押しつぶされる度に腰が跳ねた。
が、舌を吸われた状態では声をあげることもできない。

「んぅ……っ、ン……っ!」

じわじわと下着が先走りに濡れていくのを感じて、真琴はますます興奮してしまう。
しかし、唐突に唇と体を離されて、一瞬何がなんだかわからなくなった。
遙は相変わらず焦燥を抱えたままの表情で、自らを落ち着かせるような深呼吸をひとつしてから言った。

……試してみたいことがあって」

……?」

真琴も呼吸を整えて遙に向き合う。
しかし、昂りはそう簡単におさまりそうにない。
腹の奥に熱を感じたまま、もじもじと耐える羽目になる。
そんな真琴の状態を知ってか知らずか、遙が淡々と続ける。

「最近はどんな競技の選手でも、試合前の性行為はパフォーマンスに影響するって言われてるだろ。特に自慰は良くないらしい」

確かにそれは昔からまことしやかに囁かれている説だ。
何となく背筋の伸びた真琴は一瞬で劣情が吹き飛んでしまった。

「チームに詳しい奴がいて、要は射精に物凄いエネルギーを使うから……アスリートにとって精液は黄金くらい価値のあるものなんだと」

「ふぅん……。何だか説得力あるね」

現時点で遙が何を言いたいのかはわからないが、その研究熱心な姿勢に真琴はひたすら感心した。

「それで、大昔のどこかの国ではそういう技があって、男が勃起を保ったまま精液を漏らさず、何人もの女を相手するのが常識だったらしい」

「へ、へぇ……そんなこと、できる人が……

一気に雲行きが怪しくなってきた……というか一連の遙の言動が意味を成してきたような気がする。

「一応、方法を聞いてきたから試してみたい」

「う、うん……?」

こうして、久しぶりの性行為は実験へと変貌してしまった。
真琴は裸にされ、その秘部はすぐにローションで慣らされて遙を受け入れる道具になる。

「ね、ハル、その……しゃせい、しない方がいいなら、今日はやめておいたほうがいいんじゃ……

最後の抵抗とばかりに精一杯の笑顔で伺ってみるとギロリと睨まれて吐き捨てられた。


……貴澄の言った通りだな。お前はホントに……いつか酷い目にあうぞ」

今更止められるか、と遙がのしかかってくる。

「な、なんで!?オレなんか悪いことして……!?」

言葉の続きをキスで止められるが、いまいちムードに欠ける。
しかし、遙がジャージのズボンを下げて、怒張した陰茎を露にすると、真琴はぎくりとした。

「ま、待って、ハル……、その、ジャージ、脱いでほしいな」

……なんでだよ。俺の裸、見たいか?」

「ち、ちがくて……、その、それ着てると、いつものハルじゃないみたいで緊張するから……!」

……なんだそれ」

いつもの苦し紛れの抵抗かと、遙は相手にしない。
秘部にぬるぬると陰茎の先端をこすりつけ、自身を刺激に慣らしているようだ。

「ホントに、待って……!脱いでよハルぅ……!」

真琴は遙の腕を掴んで必死に訴える。

「だって、それ着てると……ハルじゃなくて、七瀬、選手って感じなんだもん……

改めて言葉にするととてつもない羞恥と罪悪感がわき上がってきて、真琴は逃げ出したいような衝動に駆られる。

……実際にそうだろ。一応、代表選手だからな」

「そうだけど!っていうか、だから……!」

遙は呆れ顔だが、実は感心していた。
真琴は本当に察しが良いのか悪いのかわからない。
楽な部屋着にも着替えず、ジャージを脱ごうとしないのは確かに意図があってのことだ。
これから男として前人未到の(?)厳しく険しい戦いが始まる。
遙は試合に挑む選手が身にまとう鎧の様なこのウェアで気合いをいれているつもりだった。
真琴はそのただならぬオーラを察したのか、或いは、金メダリストとの極秘恋愛といった少女の妄想のようなシチュエーションに飲まれているのか、定かではない。
とにかく遙はこのジャージを脱ぐわけにはいかなかった。

……いいからもう大人しくしてろ」

そんなことより、と遙が目線を上にあげて考える仕草をする。

「5回……だったか。浅いところ突いて、6回目で深くするから。最初は物足りないかもしれないけど我慢してくれ」


正常位の状態になると、言葉の通り遙は浅い部分でゆっくりと抜き差しを繰り返す。
真琴はじわじわと下腹部に蓄積していく快感を感じながら、無意識に数をかぞえてしまう。
3回、4回、5回、浅く……次は。
ぐぷ、とゆっくり肉壁を掻き分けて奥がひらかれていく。
遙の下腹が密着するほど深く差し込まれて、真琴は自らの口を手の甲で押さえた。

「んン……っ!」

不意にお互いの胸が触れ合うと、遙が着たままのジャージからは外の匂いがして、ますます緊張してしまう。
先程、空港の中で見た男らしく逞しい姿。
国旗を背負った選手としての遙とこんなことをしているなんて、罰があたるんじゃないかと気が気ではない。
しかし、繰り返される規則的なピストンが生み出す緩やかな快感で、頭の中に靄がかかっていく。
必死に声を殺すが、膝裏を掴んでいる遙の手に力が入りすぎていて、多少の痛みを感じた。
それもそのはず、遙は顔をしかめ、かたく目を閉じて息を止めているようだ。
しばらく奥に入ったまま動きを停止した後、遙は水から上がった後のような激しい呼吸をし始めた。

「っ……はぁ……!は…………!」

肩を上下させ、ぜいぜいと息をする遙が心配になって、思わず声をかける。

……ハル、だいじょうぶ?」

「大丈夫じゃない……悪い、いったん離れる」

ずるりと勢いよく中から引き抜かれる、その僅かな快感さえも逃すまいと秘部が収縮しているよう感じて羞恥が込み上げてくるが、今は目の前の遙に集中しなければ。

「ずっと、一人でもしてなかったから……マジでやばい」

遙らしくない口調でどれほど辛いかを訴えられて、真琴はますます心配になった。
しかし今の言葉で何より心配なのは……

「一人でもしてなかった、って……遠征の間、ずっと!?」

「ああ。我慢すればするほど良いらしいからな」

まあ、でも……と遙が笑う。

「何回か真琴とセックスする夢見て、夢精したけど」

「な……っ!」

本当に遙はタチが悪い。
いつも澄ました美しい顔をして、平気で猥褻なことを言ってのける。
遠征の間、一度も自慰をしなかったというのも遙であればあり得る話だ。
普段から性欲どころか、水以外のものには微塵も欲を示さない人間なのだから。

「真琴も久しぶりだから感じやすくなってるだろ。……さっきキスだけでイきそうになってたし」

「そ、そんなこと……

ない、とは言えなかった。
確かに今日は異常に敏感になっている気がする。
先程から遙に卑猥な言葉で責め立てられて、身体の奥が熱い。
今までも長い間をあけてのセックスはあったが、今回ほど期間が空いたことはなかった。
それに加えて、遙の妙な試みに付き合わされるのだから、お互いに身体がおかしくなってしまうんじゃないかと不安になってくる。

「さっきみたいな動きで、射精しないように刺激を制御しつつ、出そうになったら息を止めて丹田に力を入れる。真琴は別に好きなだけイっていいけど……できればイくときは教えてくれると助かる」

「お、教えるって……恥ずかしいよぉ……!」

「本当の最後に一回だけの射精で済ませるつもりだ……真琴のせいで失敗したら許さないからな」



圧倒的なプレッシャーと共に行為が再開された。
にゅぷにゅぷと浅い挿入が決まった回数で繰り返された後、深いひと突きを奥に当てられる。
遙にしてみれば規則的に制御された動きは射精を耐えるのにいいのだろうが、こちらはそうはいかない。
浅い所にある前立腺をゆっくり擦られ、陰茎に伝わる快感を高められてから、急に奥へと逸らされる。
最初に遙が回数を宣言したのもよくなかった。
嫌でも意識してしまって、頭の中で数を数えてしまう。
最初はゆっくりだった遙の動きも徐々に速くなり、深いひと突きに勢いがついてきた。

……つぎ、深いの、きちゃう)
(だめ……、間隔が速く、なってて)

「ンく……っ、う……っ!」

中が徐々に痙攣しはじめたのを感じたのか遙が声をかけてくる。

「我慢しなくていい。ちゃんと伝えてからイけよ」

そんなことを言われても。
自分が達するタイミングを正確に把握できるものなのだろうか。
イく、と口走ることもあるが、あれはほとんど無意識なのに。
浅いところ、敏感な部分を連続で擦られる度に勃起した陰茎がビクンと震える。
奥への衝撃を受け止めて、中は悦ぶようにうねる。
いつもの様に強い快感が持続しているわけではないが、徐々にゆっくりと積み重なる甘い痺れが下腹部を満たしていく。
もっと味わいたい、と無意識に内腿に力が入ると、遙の深いピストンに芯を捉えられる。

「あぅ……っ!あ……っ!」

今までで一番強い疼き。
共鳴する様に秘部が収縮するのが自分でもわかった。

「はる……っ、イっ、ちゃ……!」

微かな声を絞り出すと、遙が避難とばかりに陰茎を引き抜いてしまう。
中で感じていた熱い塊がなくなった後も物欲しそうな収縮が続く。
力んだ足が伸びきって腰が浮くと、真琴の陰茎から勢いよく精液が溢れた。

「んっ、あ、ぅう……っ!!」

脳の中でばちばちと神経が焼き切れるような感覚。
頭は完全な空白で、キモチイイという言葉しか浮かんでこない。
自分にとってもかなり期間が空いての射精だったので、信じられないほど気持ちが良くてしばらくの間、呆けてしまう。

「やっぱり久しぶりだと気持ち良いだろ」

声をかけられて、思わずコクリと頷いてしまった。
我に返ってふと遙の下半身を見ると、自身は通常の状態に戻りかけていた。

「ハル……、えっと……

今日はやたらと遙の下半身の変化を気にする羽目になっている、と真琴は情けないような気持ちになった。

「さすがにずっと勃ちっぱなしってことはないから、萎えたら相手の痴態を見て何度でも復活させろ、だそうだ」

「ち、たい……?」

……何度でも?
いまいち単語の意味が理解できないが、すぐに思い知らされることになる。
遙が覆いかぶさって、胸の先端に吸い付く。
そこも長い間触れられずにいたので、いつもよりずっと敏感になっていて、ましてや先程イったばかりで疼きの残る身体では耐えられそうにない。

「や……っ、吸っちゃ、だめっ!」

それなら、と歯をたてて甘噛みされる。
さらに遙の手はいやらしく下腹を伝って、太腿を撫でると精液に塗れた男性器を避けて秘部に辿りつく。
ローションの溢れる入り口に、まず中指が、続いてすぐに薬指が侵入してくる。

「やだぁ……っ、なんで、ゆびっ」

硬く勃ちあがった乳首を好き勝手に舌で弄られて、ぐちょぐちょになった秘部に指を激しく出し入れされる。
身体が仰け反っていくのを止められない。

……お前の声、エロいから聞きたいと思って」

耳元で囁かれて顔が熱くなる。
思わず口を手で押さえて、声を殺した。

「そうやって声、我慢してるのもエロい」

「ん、うぅ……っ!」

もはやどうすればいいのかわからず、真琴は目をかたく瞑った。
先程の言葉の通り、痴態を遙に観察されるあまりの恥ずかしさにぎゅうっと全身に力が入る。
すると中で激しく動く指を締め付けてしまって、弱いところを押される形になってしまった。


「や、だ……ぁ、またイ、くっ!」

身体を丸めて固まったまま、びくびくと痙攣を繰り返す。
再び、精液が放たれて自らの腹を濡らした。
縮こまった身体のまま、荒い息を吐き出し、絶頂の余韻に浸る。
指だけで簡単にイってしまったのが恥ずかしくてたまらない。
しかも今は達することを知らせる必要はなかったのに……
ぼんやりと丸まったままの真琴を遙が解く。

「今ので完全に勃ったから、また始めるぞ」

「ふ、ぇ……?」

誇らしげにそそり立つ遙を見て、目に涙が滲む。
……またあれを繰り返されるなんて。

「ひ……っ、ィ……っ!」

ばちゅ、と水音が響く。
遙は慣れてきたのか、自身の快感が強まると息を止めて耐えているようだ。
もはや真琴には浅いも深いも関係がない。
それどころか、遙のリズムに合わせて的確に快感を捉えるようになってきた。
浅い抜き差しの時は、入り口をキュウキュウと締め付けて前立腺にあたるように。
遙の先端を強い圧力でしっかり咥えて勃起を保ってもらう。
深く貫かれる時は力を抜いて、思いきり奥へ受け入れる。
意識してやっているわけではなく、繰り返されるパターンに身体が勝手に適応してしまう。

(浅いとこ、ぬるぬるするの、きもちい、い)
(でも、また、つよいの、来ちゃうよぉ……
(だめ……、イくの、おしえなきゃ……


考える間もなく、腹の中で快感のカプセルが弾けてしまう。
射精を伴わない秘部の収縮。
かちかちと奥歯の音が鳴る様な震えが全身に伝ってたまらず大きな声をあげた。

「あ、うぅ……っ、うっ!!」

遙の溜息と、微かな怒りが伝わってくる。

「真琴……イってるの、バレてるぞ」

「ひ、ぅっ、ごめんなさ……っ」

遙は落ち着いた様子で、収縮する真琴の中からゆっくりと自身を引き抜く。

「だいぶ慣れてきた。コツを掴んだ気がする……けど、黙ってイったからお仕置きだな」

むすっとした遙に、熱く芯を持った両胸の先端を思いきりつねられる。
ぐにぃっと引っ張られてから勢いよく離される摩擦と衝撃に、やっと終りかけていた絶頂が戻ってきてしまい、真琴は弾かれた様に仰け反った。

「んっ、ひィ……っ!イ……っ!」

びちゃびちゃと粗相をしたかのような射精と共に、身体が大きく波打つ。
間を空けず何度も絶頂を繰り返して、脳内が完全に麻痺してしまう。
涙が溢れて何も見えない。
けれど、非情な遙の声が嫌でも耳に入る。

「勃ったから……また挿れる」

先程から、だらしなく開いたまま閉じることのない足。
甘く痺れ続けているナカにぬりゅぬりゅと肉棒が出入りを始めると、更に快感が上書きされていく。
締め付けないように、とは思ってもまだ奥が痙攣しているのだからどうしようもない。
すっかり遙の形にされた内部が、当然の様に悦んでしゃぶりついている。

「だめ……っ、もうわかんないぃっ、ずっとイってるからわかんないよぉっ!」

深いひと突きがどんどんと奥へ入り込んでいく。
浅いはずだったストロークはもう小刻みなピストンになっている。
下腹も、陰茎も、尻も、内腿も、成す術もなくただビクビクと痙攣して遙を受け止めるしかない。

「イってぅ……っ、もぉっ、イって

食いしばる力が無くなってくると、奥はますます開かれていく。
脱力した両足は無様に折りたたまれ、突き出された腰を恥じる気力もない。
無理矢理に両腕を頭の上で組まされて、時折、胸や腋に舌を這わされると情けない泣き声がもれてしまう。
遙の先端が腹の奥の行き止まりに当たり始めると、真琴はさらに喚いた。

「あッ!ひっ…………っい!」

拒絶は言葉にならず、頭をぶんぶんと振って無様な声をあげることしかできない。
どちゅっ、と行き止まりに打ち付けられてから、ぐりぐりと先端でこすられる。

「ぃ、あ゛ッ~~!」

このままではさらにその奥をこじ開けられてしまう。
怯えた真琴は防衛本能とでもいうべき反応で中を思いきり締め付けると、それが功を奏し
たのか遙は腰を引いた。

……っ!」

遙が思いきり食いしばって額に汗を浮かべた苦悶の表情は色気を滲ませていたが、その姿を見る余裕は真琴にはなかった。
いつもなら、性行為の疲労はお互いに同じくらいなはず。
これほどすぐに復活して、立て続けに挿入を繰り返されるなんて初めての経験だ。
しかもその合間には手や舌で全身を愛撫され、絶え間ない絶頂が続く。
行為の前に、遙が言っていたのは「何人も相手する為の」といった内容だったはずだ。
まさかこれを一人ですべて受け止めた人間はいないだろう。
普通の女性なら、それこそ気を失ってしまうかもしれない。
とてつもなく消耗してはいるが、なんとか行為に付き合うことができるのは、自分が遙と同じ恵まれた体力の若い男性だから。
そう考えると、遙を受け止めてやれるのは本当に自分だけなのかもしれない。
もっと、ちゃんと、頑張らないと……頭ではそう思っても、身体はぴくりとも動かなかった。


大きく深呼吸をしてから、遙は立ち上がる。
冷蔵庫を開けて、もぐもぐとおにぎりを頬張り、エナジードリンクで流し込む。
宣言の通り、射精を堪え、何度も自身を復活させて、真琴を満足させることができた。
これで自分も男として、アスリートとして一流だ。
いよいよ訪れるフィナーレ向けて、胸が高鳴った。
……その前に。

「真琴、喉乾いたろ」

まずはパートナーを労わらなければ。
我慢したのは自分だが、自身が何度も復活できたのは、まさにこの目の前の裸のおかげだ。
頭で頷いたものの、起き上がる気配のない真琴のために、エナジードリンクを口に含む。
ん、と声で呼びかけてそのまま口付け、液体を移してやると、真琴はごくごくと喉を鳴らして飲み込んだ。

「冷たくて、おいしい……

もっと、と瞳が訴える。
それに応えて再び口移しでエナジードリンクを飲ませてやると、力を取り戻したのか、真琴がのそりと起き上がる。

「何か、甘いの食べたい」

チョコ味のプロテインバーの封を切って渡す。
すると行儀よく両手で掴んでモソモソ食べ始めたので、なんだか小動物のようだと吹き出しそうになった。
真琴はきっともう二度としたくない気持ちだとは思うが……最高の瞬間のために、最後の協力が必要だ。

……そもそも、昔の奴らにとってセックスはエネルギーや気の交換みたいなものだったらしい。だから年をとった奴が、自分の気は漏らさずに若い女の気をたくさん貰うためにこの方法が編み出されたそうだ」

「え……なんかちょっと、酷い話じゃない……?」

「まあでも、何より相手を喜ばせることが前提だったんだろ」

それに、と遙は少し間を置く。

「相手からエネルギーを貰うっていうのは、なんかわかる気がする……俺も真琴に貰ってる、と思うから」

真琴の顔がみるみる赤くなっていく。

「そうだったら、嬉しい……オレも、ハルのおかげで、何でも頑張れるから」

はにかんだ笑顔に遙の胸がちくりと痛んだ。
本心を告げたことに間違いはないが、この後のセックスを正当化するための言葉を喜ぶ真琴が、哀れで愛おしい。

「それで……最後にもう一回だけ、いいか?無理なら諦めるから……

わざと大げさに表情を曇らせて告げると、真琴は明るい声で答えた。

「だいじょうぶ!ハル、たくさん我慢したから、きっと最後はすっごく気持ちいいよ」

無邪気な笑顔に体中が熱くなる。
ごくりと唾を飲み込んで、ジャージの上下を脱ぎ捨てた。
もうこの鎧は必要ない。
やっとありのままの姿で真琴とセックスできる。
いざ、と押し倒すと耳まで赤くした真琴が、視線を逸らして訴える。

「あのね……イく時、ぬかれるの寂しかったから、最後はちゃんと一緒にイこうね」

ハートに矢が刺さる、とはこの状態のことか。
胸が苦しくて、息ができない。
下半身に一気に熱が集まり、頭がくらくらする。
もはや自身は暴発寸前だ。

……俺が失神したら介抱してくれ」

「えぇ!?なんか怖くなってきたよぉ!」

身体も心もすべてを預けて、真琴に抱きしめられながら迎える、夢にまで見た絶頂。
本当に死ぬんじゃないかと思うくらい長いオーガズムと、とめどなく発射される精液。
脳細胞が死滅して頭が超絶に悪くなったような気がした。
何とか失神は回避したが眼には涙が浮び、情けない声を上げてしまった気がする。
それでもやはり、何度も射精した時よりは体が軽い。
真琴は真琴で一人でイきまくっていた時よりは穏やかな表情で、心なしか満足げだ。

「本当、なのかも……ハルので、いっぱいになったら、なんか、カラダ熱くて……すごい」

「起き上がれるなら、何か食べたほうがいいぞ」

「うん、一緒に食べよ……

おにぎりやパンを次々に平らげながら、身体に悪いと心配していたエナジードリンクを飲み干して、真琴は一息つく。

「我慢すれば気持ちいいってわかったから、もう当分やらなくていいね」

言葉の端々に怒りが滲んでいる気がする。
遙は怯みながらも強気な態度を崩さず告げた。

……次は真琴も我慢してみろ」

「怖いからやだよ!とにかく、もう当分の間はしないからな」

「じゃあ、誰から貰えばいいんだ……エネルギー」

むぐ、と真琴は喉を詰まらせる。

「知らない!ハルの馬鹿!」

ぎゃあぎゃあと言い合いを続けながら、気が付くと冷蔵庫の中身を二人で全て平らげてしまっていた。
消費したカロリーが補填されると、不思議なくらい体力が戻ってくる。
これなら試合前だろうが、練習中だろうが、パフォーマンスに支障はない。
……離れている間に空っぽになっていた心が満たされたのを、今、確かに感じる。
本当は、きっといつも真琴から貰っていたんだろう。
側にいるだけで、その笑顔を向けられるだけで、満ちていく温かなもの。
――たとえ離れて見えなくても、太陽の光は銀幕の裏側、分厚い曇り空の上でいつも輝いている。












アナザーブルー




「真琴が本気で嫌がってる所、見たい」

遙は行為の最中、真琴が嫌がるようなことは絶対にしない。
しかし真琴は大抵のことなら拒絶することなく受け入れてくれる。
このジレンマと、独り占めするには贅沢すぎる目の前の身体が限りなく欲望を刺激する。

「もし、知らない奴に無理矢理されたらって考えたことあるか?」

「え!?そんなの想像しただけで怖いし、気持ち悪いよ……

……想像することはできるんだな」

「そっ、それは言葉の弾みというか!」

「真琴は昔から想像力が豊かだったからな。楽しめそうだ」

「ちょっとハル!?オレの話聞いてる!?」

結局、降って湧いたような流れで妙なイメージプレイが始まってしまった。
今から遙は、無理矢理行為に及ぼうとする『真琴の全く知らない男』という設定らしい。
休日なのでお互いに私服姿で遙の部屋にいたのに、わざわざ制服に着替えさせられると、見慣れた姿が見えないように真琴の後ろにまわった遙が躊躇いがちに告げる。

「今から少し乱暴な言葉使ったりするかもしれないけど、本気にするなよ。あくまでそういう遊び、だからな」

「うぅ……乱暴なハルはやだなぁ……

「だから、俺じゃなくて、知らない奴だって言ってるだろ」

うなだれる真琴を小突いて呆れた声を出してから、遙はぶつぶつと続けた。

「お前、初めての相手が俺で……この先もずっと俺しか知らないで生きていくんだから。想像の中でくらい違う奴との経験も必要だろ」

予想外の言葉に真琴はフリーズした。
この先もずっと、遙だけ。
全く意識せずに言ったのかもしれないが、そんなことを言われたら……
遙の中ではそれが当然なのだと思うと、『ときめき』としか形容できない胸の高鳴りで体中が熱くなる。
先程までは全く乗り気ではなかったが、挑戦してみるかと思い直して、単純な自分が少し恥ずかしくなった。

……そ、そっか。ハルの言う通り、かもね」

嬉しさで顔がにやけてしまいそうになる。
遙が後ろにいてくれて良かったと胸を撫でおろした……のも束の間。

「真琴は、その男に逆らえないって設定だ。あと、年上だから敬語使えよ。真剣にな」

「わ、わかった……

細かな演技指導が入る。
……いよいよ始まってしまうのか。
緊張にゴクリと喉が鳴った。
不意に後ろから手が伸びてきて、頬に触れる。
顎先までを指先で優しく撫でられ、耳元を湿った熱いものが這いずる。
遙は悪戯っぽく唇で耳を食むようにしてから囁いた。

「やっと二人きりになれたな……たちばな」

予測していなかった刺激に身体が震える。
遙の謎の設定と棒読みの台詞には失笑だが、突然後ろから耳を責められ、いつもとは違う名前で呼ばれて頭が混乱した。
橘、と自分のことを呼ぶ相手を無意識に思い浮かべてしまう。


「や、やめてください……

冒頭で、嫌がるところが見たいと言われたのを思い出して拒絶の言葉を口にした。
次の瞬間、遙が微かに息を飲む音が聞こえたかと思うと、両手で尻を鷲掴みにされ、乱暴な動きでぐいっと割り開かれる。
制服の中で無防備に曝け出されているであろうソコに遙の股間が押し付けられた。

「あの幼なじみに……ココ、使わせてるんだろ」

羞恥に顔が一気に火照る。
一体どんな設定なのか……とりあえずは、やはり否定するべきだろう。

「違います……七瀬くんは、親友で……

見えはしないが、後ろで遙が満足げに笑っているのを感じる。
今のはなかなかいい演技だったのかもしれない。

「それなら赤い髪の方か。皆で仲良く使ってもらってるんだろ?橘はセックス大好きだもんな」

急に凛が出てきたかと思うと、さらに在りもしない設定を盛り込まれて真琴は唇を噛み締めた。
イメージプレイとはつまり言葉責めでもあるようだ。
遙の身体が離れ、制服の上から秘部に指が強く押し付けられる。

「誰のが一番イイんだ?教えろよ。後輩や他校の奴ら……何本もココに咥え込んでるんだろ」

後輩、という言葉に嫌でも渚や怜の顔が浮び、他校と言われれば鮫柄高校の面々も浮かび上がってくる。

「酷いこと言わないで、ください……

遙の言う通り、自分の豊かな想像力を恨んだ。
姿は見えず、後ろから猥褻な言葉ばかり投げかけられて、いつもとは違う乱暴な扱いをされる。
次々と繰り広げられる展開に、真琴は少しずつ妄想の世界に入り込んでいった。

「全部脱げ。ヤらしい身体見せてみろ」

……っ、なんで、こんなこと……

じわりと涙が込み上げてくる。
相変わらず遙は棒読みだが、感情のこもっていない突き放すようなそれが、本当に別人の様に感じてしまう。
躊躇いながらネクタイを外し、ゆっくりとシャツのボタンを外していると、突然ばちっと平手で尻を打たれる。

「やっ、ぅ……っ!?」

「トロいんだよ。さっさとしろ」

苛立ちを露わにされて、再び尻を打たれる。
ばちんっと派手な音がして、僅かな痛みと熱が拡がった。

「ご、ごめんなさい……っ、叩かないで!」

痛みを与えられると人は簡単に怯え、恐怖を感じる。
真琴はすぐに上着とズボンを脱ぎ捨て裸になった。
相手に背を向けたまま全裸で立ち尽くしているこの状態は限りなく心細い。
自分を守るものはもう何もない、と絶望に打ちひしがれてしまう。
遙の両手がまたもや後ろから伸びてきて、強い力で胸を鷲掴む。

「やっぱり、デカいのは良いな」

まるで女性にする様に乳房を揉みしだかれて、身体が硬直した。
あまりの恥ずかしさに俯くと、自分の肉付きの良い胸板が遙の手でむにむにと弄ばれているのが見えるが、手だけでは『遙の』とは言い難く、真琴は妙な気持ちになる。
やがてその手が、自分の弱い所……ピンク色の突起に狙いを定めたのがわかって、激しく焦った。

「あの……っ、あ、ぅ……っ!」

何か話しかけて阻止しようとしたが、手の平をするりと掠められただけで嬌声が上がってしまった。
敏感な部分をぐりぐりと指で回す様に押しつぶされて震える真琴に、次々と遙の言葉が襲い掛かる。

「ガキ共はヤりたい盛りだから、朝昼晩、休む暇もないだろ」

すでに真琴の脳内には、何人もの男に囲まれて精液塗れになっている自分の姿が浮んでいた。

……っ!違う、そんなこと、してな……い!」

泣き声のような否定の言葉に、後ろにいる遙の息遣いが荒くなったような気がする。

「嘘つけ。今から確かめてやるからな」

力なく下ろされている両腕を後ろへ引かれて、尻の辺りで手の平を組むように指示されると、自然と胸が突き出されるような恰好になった。
緊張からか、組んでいる両手に力が入ると、自らの動きが封じられる。
遙の手が再び胸へと伸びてきて先程の様に乳房を揉み、先端を摘まんで弄ぶ。

「っ……!ぅ……!」

もどかしいような、じれったいような快感が下腹で疼いて暴れまわる。
硬く腫れあがった先端を指の腹が掠める度に情けなく腰が引けてしまう。
筋肉の上に限りなく薄くついた脂肪を無理くりにぎゅうっと揉みしだかれ、先端を絞るように愛撫されて、妙な気持ちになってくる。
こうして、自分の胸を這う手だけを見ていると、それが誰なのか実感がない。
この手が例え遙のものでなくとも、こんな風に自分の身体は反応してしまうのだろうか。
遙は胸に執着するのは子供じみていると感じているらしく、それほど長く愛撫を続けることはなかったし、自分も胸で感じてしまうのは恥ずかしくて嫌だったので、すぐに離れる手に安心しきっていた。
しかし、今は知らない誰かという設定で、何を訴えても聞いてくれるはずがない。
無遠慮で執拗な愛撫が続き、足が震え出して、ますます腰が引けてきた。

「これはいつも弄られてる反応だな。こうやって両方吸われてるんだろ」

そう言って遙が両胸の先端を引っ張ると強烈な快感が背筋を伝わり、思わず悲鳴をあげてしまう。

「ぅあ……っ!!」

その後もくにゅくにゅと先端を弄ばれては、激しく擦られて、高められていく感覚に身悶えする。
下腹から秘部へと脈打つ淫らな痺れ。

「ん、く……っ!ンぅっ!」

はしたなく腰をよじらせて、胸を仰け反らせる。
これでは気持ち良い、と訴えているようなものだ。
再び、これが遙の手でなかったら、という思いが浮んでくる。
胸を悪戯されただけでこんな醜態を晒してしまうなら、この後に何をされても同意だと捉えられかねない。
むしろいやらしく誘っているようにしか見えないだろう。
あっけなく犯される自分の姿が想像できて、ますます全身から力が抜けていく。
崩れ堕ちそうな身体を支えようと足は開いていき、ガクガクと震えている。
耐えきれず屈むようにして遙の身体に尻を押しつけた。

「気持ち良すぎて立ってられないのか。胸だけでこんなになってたら、この後どうするんだ?」

遙の揶揄を否定はできない。
勃ちあがりかけた陰茎からトロトロと先走りが溢れて太腿の間を伝い、秘部はさらなる刺激を期待して収縮している。

「んっ、ふ、ぅ……

このまま座り込むのはあまりに情けないので後ろ手を離して、両膝につける。
ふぅふぅと息をしながら尻を突き出して自分の身体を必死に支えていると、背後から
再び声がする。

「おい。手、離して良いなんて言ってないだろ」

無防備に突き出した尻を思いきり平手で打たれ、衝撃で仰け反る。

「あ、ぅ……っ!」

音が派手なだけで痛みはほとんど感じられないのだが、打たれた部分がじんじんと熱を持つ。
乱暴に双丘を割り開かれて、ヒクついている秘部を悪戯に擦られた。

「物欲しそうだな。簡単に挿れてもらえると思うなよ」

恐怖と羞恥で言葉も出せずにいると、次の瞬間には視界が真っ暗になって、思考が追いつかない。
両耳に触れた手の感触から、何か布の様なモノで目隠しされたのだと気付いた。

「なんで……っ?こわい……!」

すぐに遙の手が優しく頭を撫でて、その腕が身体をしっかりと支えてくれた。

「ゆっくり……こっちだ」

混乱の中、その言葉に従うことしかできない。
手を引かれて、おずおずと踏み出すと遙が前へ回り込む気配がした。
そっと押されて後ずさると、冷たくて硬い、壁であろうものが背中に触れる。
身体を預けるものができたのはいいが、追い詰められてしまった、とも言えるだろう。
向かいあった状態では遙の姿が見えてしまうので、この処置が必要だったのかと納得したものの、何も見えない状態にとてつもない恐怖が込み上げた。
思わず名前を呼んで、手を伸ばしたい衝動をぐっとこらえる。

「あのっ、お願いですから、もうやめてください……

叶うはずのない淡い期待を抱いて呟いてみた。
この状態のまま、何をされるのかわからないのは本当に怖い。

「お友達は良くて、俺は駄目なのか」

相変わらず遙の棒読み演技は続いている。

「そうじゃなくて、本当にこんなこと、誰とも……!」

「橘は嘘つきだな。良い子ぶっても無駄だ」

先程の立ったままの情けない痴態が脳裏によみがえってきて、口をつぐんだ。
が、肩に腕をかけられて最後の抵抗とばかりに声をあげる。

「本当に駄目、です……お願いだから……っ」

真琴の怯えた様子を見て、遙は昂りを抑えきれなかった。
貪るように口付け舌を絡ませると、拒否する腕が躊躇いがちに胸を押し返そうとする。
唇を離すと、目の前の真琴は汚らわしいものにでも触れたかの様に手の甲で口元を隠している。
目隠しのアイマスクを付けていてもはっきりとわかる歪んだ顔。
自分ではない他の誰か……が真琴にこんなことをしているのなら。
ほんの少し考えただけで、全身の血液が沸々とするのを感じるが。
今の口付けこそ嫌がって見せたものの、先程の胸への軽い愛撫で晒した醜態を無かったことにはできない。
……真琴は俺以外の誰かに触られてもあんな風に感じて、誘う様に悶えるのだろうか。
少し痛みを与えられただけで、怯えて言いなりになってしまうのか。
微かな苛立ちと失望をぶつけるように、目の前で震える身体の喉元にがじ、と嚙みついてみたが……本当はわかっている。
真琴がその気になれば、遙の身体など一瞬で引き剥がすことができるだろう。
本気で拒絶すれば相手がどんな奴だろうと無事では済まないはずだ。
今まで真琴のうっかりで破壊された品々が思い浮んで遙は神妙な面持ちになった。
どんな状況でもほんの少しの抵抗も見せないのは、その相手が他ならぬ遙だからだ。
本当は触られたくない部分も、見せたくない姿も。
簡単に拒絶できる力を持っていながら、遙の指一本すら止めようとはしない。
それが何よりも真琴からの想いを物語っている。
……世界で唯一、俺だけに捧げられているもの。
今だってこうして目隠しで酷い扱いを受けて、怖くてたまらないはずなのに。
少しの間、感慨に耽ってからすぐに目の前のお楽しみへ釘付けになる。
誘う様に赤く色付いた胸の先の突起。
豊満としか形容のできない胸板。
これはもはや乳房だろう、と遙は再び両手で揉みしだきはじめた。

「やっ……うぅ……!」

真琴が背中を丸めて逃れようとしたので、その両腕を今度は頭の後ろで組ませる。
一層、張りの出た胸に満足してから、ふと露わになった両脇に目が行く。
こんなところをまじまじと観察できるのも、真琴からの視線を目隠しでシャットアウトしているからだ。
あの捨てられた子犬の目で見つめられては、いつも思う存分に欲望をぶつけることはできない。
すべすべと僅かに盛り上がった腋のその小さな丘が何だか卑猥に見えてくる。
思わず手の平で撫でると真琴から妙な声が上がった。

「ひゃ、わ……ぁっ!」

間抜けな悲鳴に吹き出しそうになるのを堪える。
やはり、腋の下はくすぐったいのだろう。
構わずに今度は両手ですりすりと撫でつけてみた。
水泳部らしく完全に処理されていて滑らかな感触が心地良い。

「ふ、ひゃっ!」

真琴はさらに間抜けな声を上げて悶えている。
頭の後ろで組んだ腕を下ろさないように必死だ。
しかしよく見ると、先程よりも乳首とその周りの小さなピンク色の円がふっくらしてきている様な気がする。
どういうことなのか、けしからんと遙は片方の胸に吸い付く。

「んあぅ……っ!」

真琴は今度は確実に性感を得て、鼻にかかった喘ぎ声を出すと、再び背中を丸めて逃れようとするので、顔の横に上げられた二の腕、某女子マネージャーなら上腕二頭筋と呼ぶ部分に体重をかけて壁に押し付けると、そのだらしない姿勢を矯正してやった。
唇を離して問いかける。

「腋の下まで気持ちいいのか?」

「違っ、くすぐった……あっ、あっ!」

弁解が終る前に再び乳房に唇を這わせる。

「そこばっかりっ、ヤだぁ

これほど胸に愛撫が集中するのは初めての経験だろう。
真琴はほとんど素に戻って訴えてくる。
しかし遙は真琴のこの豊かな丸い胸を、実はどうしようもなく気に入っていて、前々からチャンスを伺っていたのだ。
こうして真琴からの視線がなければ思いきり好き放題にできる。
さらには立った状態で身長差の位置関係が都合よく働いてくれる。
長年待ちわびた機会を思う存分に楽しまなければ、と遙は喜び勇んだ。
弾力のある胸に額や頬を押し付けると、何とも言えない満足感がわき上がる。
先端の突起を弄ぶ度に、真琴から出るイヤらしい声が耳に響いて遙の脳を刺激した。
硬い芯を舌で舐め上げ、口に含み夢中で味わっていると、訳も分からず興奮してくる。
すでに羞恥を感じる余裕もなく蕩けた声で喘ぎまくっている真琴の膝が曲がってきたので、支えるように尻に手をまわし、今度はそこを揉みしだきながら、自分の股間を押し付ける。
壁に預けた上半身がずるりと下がってきて、ちょうどグズグズになっている真琴の陰茎がいい位置で当たるのでこれならお互いに気持ち良くなれそうだと、遙は自分の下着を下ろした。
剥き出しになった互いの陰茎がぬるぬると擦れる感触。
遙は真琴の尻をむんずと掴んで上下に揺する。
硬く熱くなっている真琴のモノに、自分の裏筋が圧迫されて擦れるとたまらなく気持ちいい。
やがて自ら擦り付けなくても、乳首を吸われ続けている真琴の腰の方が快感で小刻みに動くようになってきたのでこれは楽だと身をまかせた。

「もぉっ!やめてっ!吸うの、だめっ」
「ぬるぬるして、こすれるのもっ、やだ!」

真琴は必死になって叫んだ。
これ以上続けられると大変なことになる。
もはや自分を保っていられる自信が無かった。
視界を奪われ、恐怖と羞恥で感覚が暴走している身体に容赦なく責め苦が続く。
硬く尖って、無防備に晒された敏感な部分をグニィっと押しつぶされて、くにゅくにゅと回されて。
ぢゅう、と吸い付かれる度に、ぎちぎちと挟まれる度に、カリカリと引掻かれる度に。
強い電流のような快感が下腹と陰茎へ流れていく。
両足に力が入ると、その流れは堰き止められ一部分に溜まって渦を巻く。
その重い振動に下半身は震え、痙攣し始める。
両腕を頭の後ろに組んだガニ股のスクワットの様な状態で情けなく腰を前後に振り、自分が絶頂を求めているのだと思い知らされる。

「アぁうっ、ふ、ぅう゛っ!」

言葉にならない求めに応じる様に、遙が陰茎を押し付ける腰を速めた。
細やかな痙攣がずっと下腹で続くのと同時に、溜まっていた流れが微かに少しずつ解放されていく感覚。

「んくぅっ!ンぁっ、あぁっ!」

けれどそれは束の間のもので、また胸の先から降りてくる強烈な快感が陰茎の奥とでもいうべきところで激しく振動し始める。
浅い、表面的なオーガズム……いわゆる軽くイっている状態がもうずっと続いているのだが、真琴は気付いていないようだ。
遙も真琴の状態を察しているわけではないのか、ちゅぱちゅぱとイヤらしい音を立てて胸を吸い続けている。
夢中になって先端を含み、舌を動かし続けるのを止めないのは、キスの時のような淡い快感を口の中で得ているからなのかもしれない。
しかし真琴に与えられる快感はそんなものの比ではないだろう。
まるでマッサージでもしているかの様に、リズム良く吸い上げては舐められ、が繰り返されて絶頂が近づいては遠のいていく。
コリコリと激しく擦られ続けると、再び下腹が細かく痙攣を続け、甘イキが止まらなくなる。

「ふぅっ、んんっ、ぉっ!」

どんなに情けない姿、はしたない声でも、この快感を和らげてくれるなら。
真琴は仰け反ってひたすらに腰をカクカクと動かした。
……もう何がどうなってもいい。
この底なし沼のような快感から逃れたい。

顎が上向くほど食いしばった真琴を見て、限界を悟った遙が声をかける。

「何だ……胸弄られたくらいで。立ったままイクつもりか?」

呆れた様な遙の口調に、ほとんど理性の残っていない真琴が答えた。

「イ……っ、イ゛きま、すっ!」

自らの言葉と共に、すべてから解放された真琴が絶頂を迎える。
凝縮された痙攣が一気に全身を駆け巡る激しいオーガズム。
びゅくびゅくと少量ずつ何度も放たれる真琴の精液が遙の陰茎を熱く濡らした。

「ん……っ、あ……

静かな雪崩のように真琴の身体は床へと崩れる。

「凄かったな……真琴」

うっかり演技を忘れて名前を呼んでしまったが、どうせ聞こえてはいないだろう。
ぺたりと床に座り込んだ、所謂『女の子座り』の状態の真琴の腕を引いて無理矢理立たせる。

「ほら、自分だけイってどうする。ちゃんと俺の相手しろよ」

ふぅふぅと肩で息をして、絶頂の余韻に震える身体をフラつかせ、目隠しのまま、内腿に自らの精液を伝わせて、ヨロヨロと歩き出す真琴は何とも哀れだ。
恐らく頭は全くまわっていないだろう。
何をするのか決まり切った、次なるステージ……とは大げさだが、遙のベッドへと招かれるままに従う。
襲い掛かる快感を何度も受け入れたその身体には疲労が見えて、もはや力なく仰向けで大人しくしている。

「こんな状態で、あいつらの相手はできてるのか?ハメられるだけのオモチャになってるんじゃないだろうな」

「え……、ぇ……?」

真琴がわずかに首をもたげた。
これから何をされるかしっかりわからせてやらないと。
と、両足を思いきり開かせる。
まだ微かに痙攣している下腹と、情けなく垂れ下がった陰茎。
その下で誘う様に濡れている秘部にぷちゅぷちゅと指を浅く抜き差しすると、真琴は身体を強張らせた。

「いっ、挿れるのは、やだっ、やめてっ!」

「これのどこが駄目なんだよ。いい加減にしろ」

真琴の猛烈な拒否反応を見て、いよいよ興奮が頂点に達する。

「こんな簡単にヤれるならもっと早く犯せば良かったな」

胸への愛撫で絶頂を繰り返した真琴の入り口はすっかり柔らかくなってしまっていたが、それでも熱い塊の侵入を残された力で必死に拒む。
しかし、遙の陰茎がみっちりと奥まで収まった瞬間に、突然、安堵したかの様に脱力していく。
真琴は自分の身体の反応に一瞬戸惑ってから、それを自覚して耳まで赤くなる。
遙もすぐにその変化の理由に気付いてしまって、身体が熱くなった。
……繋がった途端に相手がわかって、無意識に安心したのだろう。
こんな状態で、これ以上、非道な演技を続けられる訳がない。
遙は溜息をついて、真琴の顔からアイマスクを剥ぎ取る。

「真琴、お前……

「ハル……っ!」

目の前の見慣れた姿に、恐怖から解放された涙目の真琴がしがみつく。
が、繋がったままのソコからじわりと快感が溢れ出してきてお互いに息を飲んだ。

「もぉっ、恥ずかしいし、怖かったんだからなっ」

真琴は言葉と共に遙の首の後ろに両手をまわして強く抱きしめる素振りで、密かに遙の動きを制しようと目論んでいる。
しかしそんなことは当然のごとく、遙にはお見通しだった。

「俺は楽しかった」

台詞の棒読みを続ける様に言い放って、ぐっと腰を進める。
油断していた真琴は声を抑えきれなかった。

「あぅっ!は、ハル、ちょっとっ」

制止の言葉を封じる為に口付けられ、遙を押さえつけていた腕が緩んでしまう。
その隙に、遙の陰茎がゆっくりと引き抜かれ、完全に抜ける手前で再び抉るように深く入ってくる。

「はっ、うぅ……っ!」

キツい快感の衝撃に、腕は完全に開かれ、更なる衝撃を予測した真琴は頭の横で枕をぎゅうっと掴んだ。
予測通り、遙のピストンは激しさを増していき、受け止める度に情けない声が上がってしまう。

「アっ!んぅ……っ!ん、ンっ……!」

どちゅっ、どちゅっ、と卑猥な水音がして、これでもかと奥を責め立てられて、真琴はすぐに絶頂へと追い詰められていく。

「毎回これだけ突いてやってれば、俺のわかって当然だよな」

肩で息をしながら自嘲する遙の笑みは妖艶で、真琴は心臓がおかしくなりそうだった。
その言葉から、先程のことも含めて自分の何もかもを見透かされている気がする。

「もぉっ、ハルの馬鹿ぁっ、やだぁっ!」

確かに自分はあの時、繋がった瞬間に遙だとわかってしまって、力が抜けてしまったのだ。嫌がる演技をしなければならなかったのに、それが全くできなかった。
……だって、嫌なわけがない。
こんな風に、全身で遙の熱を感じて、想いをぶつけられて。
受け止めきれないほどの快感を与えられるのはいつも恥ずかしくて仕方がないけれど、
同じ様に遙も気持ち良くなってくれているのなら、何とか我慢できる。

っ、もう嫌がる演技なんて、しなくていい」

意地悪く笑う遙の息遣いが荒い。
対照的に強く押し当てられた腰の動きが緩慢になってくる。
真琴の中はまるでそう躾けられているかのように、遙の先端が奥に当たった瞬間、ぢゅうっと吸いついて激しく収縮する。
自ら締め付けておきながらその感覚に戸惑っていると、次の瞬間に絶頂が訪れる。

「あぅっ……!ん、アぁあ……っ!」

遙に貫かれたまま、腰がビクビクと浮ききって止まらない。
震える陰茎からはもう精液は出てこなかった。
仰け反る身体を押さえつける様に、遙が奥で射精し、己の精を塗りこめる様にしつこく腰を進めてくる。
捻じ込まれた陰茎をさらにぐりぐりと最奥に当てられ、大量の白濁をかけられ、マーキングされているようだ。

「他のヤツとなんて、絶対に許さないからな」

腹の中にとてつもない熱を感じながら、ぼんやりと遙の言葉を聞いた。
こっちにも言いたいことが山ほどあるが、絶頂の余韻で声も出せない。
ちかちかと目の前が光って、遙が今、どんな表情なのか見えないのがとても残念に感じた。
まだ繋がったままの全身で、感じる甘い疼き。
いつも、もっと欲しいと伝えられずに、意識を手放してしまう。




床に放り投げられた制服を回収し畳んでやると、私服に戻った真琴に渡す。

「遊びとはいえ、酷いことして悪かった」

終ってみれば色々と恥ずかしさが込み上げてきて、遙は目を合わせられずに謝った。
真琴は一応は謝罪を受け入れてくれたようで、照れながら微笑む。

「でも、ハルはいつもオレにすごく、優しくしてくれてたんだなぁって」

それがわかったから良かった、と言われて遙は自分の耳を疑った。
欲望の捌け口にされて、凌辱の限りを尽くされながら、全く、どこまでお人好しなのだろう。

「あのね、ハル」

目の前の天使が、なおも続ける。

「オレはこの先もずっと、その……ハルだけだから。ハルも同じ、だよね?」

「当たり前だろ。真琴以外に興味ない」

カブり気味の即答に真琴は大いに照れている。

「今日みたいにハルがしたいこと何でもするから、いつでも言ってね。……ずっとオレだけだと、飽きちゃうかもしれないし」

もじもじと赤くなって顔を背ける真琴に、遙は驚愕する。
無自覚に、一切の悪気もなく、どこまで人を煽れば気が済むのか。
こんな真琴の姿を見るのは自分だけでいい。
けれど……他の誰かにも、見せびらかしたいような。
何をしても受け入れられてしまうからこそ、その対極まで求めてしまう。
優越感と、同じくらいの物足りなさ。
自分の心の中の天秤がぐらぐらと揺れる。
深呼吸して、平静を保ってから答えを返す。

……次は真琴が何か考えてみろよ」

「えぇ!?オレはハルみたいに変な趣味ないからいいよぉ……何見たらああいうの思いつくの?本当はエッチな本とか結構読んでるの?あ、もしかしてケータイで」

真琴は思いのほか人の心を抉るスキルも持ち合わせているようだ。
その通りではあるが変態扱いのインタビューは聞くに耐えない。

「うるさい。じゃあ次は縛るからな」

「し、縛るの!?ヤだよぉ!なんでそんな怖いことばっかり!?」

何故と聞かれてもわからない。
けれど間違いなく、そうさせているのは真琴なのに。
青と緑色。
異なる色のはずが、混ざってしまうと判別できなくなる。
あまりにも自然に馴染んで、近い色だから。