原牧
2020-09-20 22:25:31
476文字
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駆け引き(付き合ってない帝幻)

漫画描こうと思ってたけど煮詰めすぎてしまったので供養

夜の渋谷を幻太郎と歩く。
近道なんですよ、と細い道を抜けていく。トラックの出入りする場所であろう裏口のパイプ椅子でタバコをふかすバーテンの姿をした若者達を横切って、狭いクラブの入り口の黒人が手招くのを避けて、閉店したお洒落な家具屋の脇を抜けて、焼肉屋を横切って、なあ、幻太郎どこへ行くんだ、と聞くと、何処にも、いえ、何処へでも。と彼は返す。ラーメン屋の隣のストロングゼロばかり並んだ自販機で、幻太郎がひとつふたつとボタンを押した。はい。あなたの分。なに?今日のお前、怖い。なんですか、いつもの貴方ならマジ?ラッキー!と騒いでいるのに。散歩ですよ、散歩。プシッと音を立てて栓があく。貴方したことないんですか夜の散歩。ああ、徘徊はしてますね、貴方の場合。ペラペラしゃべり続けるこいつの横顔を俺は見惚れながら、え、お、う、としか返せない。風が頬を掠めていく。こいつの唇はよく動く。俺、こっちだから。家なんて無いくせに。良いんですよ、遠慮なんて。今日は、いい。そうですか。幻太郎はニンマリと笑う。逆光で瞳だけがてらてらと揺らいでいた。
今日は、俺の負け。