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カッパ巻き大車輪
2024-06-24 11:18:00
1885文字
Public
小説
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スネ6♀の小説
例の部屋に閉じ込められた閣下と621ちゃんの話。
健全!
目覚めると、そこは壁も床も一面真っ白な部屋だった。
咄嗟に記憶を辿るも、ここに至るまでが全く思い出せない。
警戒しながら上半身を起こし、目が痛い程に明るい空間に眉を寄せる。
ぐるりと見渡すと、見知った少女が背後で横たわっていた。
「
……
ッ、レイヴン!」
立ち上がることも忘れ、その小さな体に飛びつく。
肩を掴み揺さぶると、ぐずる様な小さな声が聞こえた。
眠っているだけだと分かり、安堵の息をつく。
改めて周囲を窺うと、先程までは無かった文字が壁に浮かび上がっていた。
「〝セックスしないと出られない部屋〟
……
?」
なんだ、この低脳極まる文言は。
思わず頬が引き攣るのを感じながら言葉を失っていると、目覚めた少女がゆっくりと起き上がった。
「んー
……
スネイル?」
寝起きでぼんやりとしたレイヴンは事態を理解しておらず、ただ不思議そうにこちらの名前を呼んだ。
状況を整理する為に、二人で文字の書かれた壁の前に立つ。
「セックス、しないと、出られない、部屋」
少女が口に出して読み上げる。
改めて人の口から聞いても、理解し難い内容だった。
書いてあること自体は単純なのだ。
しかし、意図が全く理解できない。
どうやってここに運び込まれた?誰が何の為に?そもそも、条件が出されているという事は、誰かが達成状況を監視しているということか?ならば、どこの誰とも知れない者が見ている前で性行為をしろと?
そもそも、この状況自体がタチの悪い夢か何かなのではないか。最近は特に仕事が立て込んでいて、レイヴンとこうして顔を合わせるのも随分と久しぶりだ。
……
自分でも気付いていない隠れた願望が見せた、夢の可能性すらある。
少女に気付かれないように、己の頬を軽くつねってみる。
残念なことに、夢ではないらしい。
あれこれと思案している間に、新たな文字が浮かび上がった。
〜セックスしないと出られない部屋〜
①この部屋から出るには、閉じ込められた男女でセックスをしなければならない。
②この部屋は現実世界と空間・時間ともに隔離されており、この部屋にいる間は現実世界での時間は流れない。
③例外は存在せず、セックスをしない限りこの部屋からは出られない。
ゴトンッ
背後で何かが落ちる音に、振り向き様に少女を背に隠す。
どういう仕組みか、何も無かった筈の空間にベッドが現れていた。ご丁寧にダブルベッドが。
〝セックスしないと出られない部屋〟とやらが、いよいよ真実味を帯びてきた。
まあ、相手がレイヴンならば問題はないのだ。
そういう関係であるし、そういう事もとっくにしている関係である。
考えようによっては、なかなか会えずにいた相手を遠慮なく抱けるのだから、願ったり叶ったりではないか。
さっさとヤることをヤってしまえばいい。
そんな事を考えていると、上着の裾が控えめに引かれた。
振り返ると、頬を染めた少女が何か言いたげに視線を彷徨わせている。
相手もその気なら存外早く脱出できそうだな、とその体に触れようとして、俯いた少女がぽつりと呟いた。
「セックスしないと出られなくて、その間は時間も止まってる
……
だよね?」
腕時計に目を遣る。
秒針はぴくりともしていなかった。
「そのようですね」
「
……
じゃあ、」
顔を上げた少女は、喜びを隠せない様子で言い募る。
「じゃあ、しないでいたら、お仕事の迷惑にならないで、もうちょっとだけ
……
一緒にいられる?」
期待に上擦る声色で告げられ、目を見開く。
提示された条件は、裏を返せばそうとも言えるだろう。
何の為に、とは思わなかった。
仕事に追われる自分に、少女が言えずにいたであろう事を考えれば。
手を引いて、ベッドに並び腰掛ける。
至近距離で見つめ合っても、穏やかな空気は変わらなかった。
「寂しかったのですか?」
「
……
うん」
笑いながら二人、向かい合ってベッドに倒れ込む。
縋り付いてくる体は熱く、それは待ち望んでいた熱だった。
「ずっと、会いたかったの」
しかし今は、心を掻き乱すよりも隙間に染み渡るようだった。
一緒にいたい。それだけを望む少女を抱き寄せる。
「あのね、この前の通信で話してたことだけど、」
嬉しそうに笑うレイヴンは、伝えたいことがたくさんあるのだと焦ったように口を開いた。
背中を摩り落ち着かせながら、ちらりと腕時計を見る。
止まったままの秒針に、焦る必要はないと色付いた頬を撫でてやった。
……
こちらは巻き込まれたのだか、利用してやるくらい良いだろう。
〝セックスしない間は、出なくてもいい部屋〟とやらを。
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