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MN*B
2024-06-21 02:32:22
10686文字
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二次創作単発:pixivバックアップ
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鏡像に口づけを【ツイステ×残像に口紅を】
ツイステ×残像に口紅を 二次創作 メタフィクション ファンフィクション 好き×好き=布教したい、の心得。
世界からちょっとずつ『音(おん)』が消えていくお話。このツイステ二次創作小説は『残像に口紅を/筒井康隆 著』のオマージュ作品です。
監督生の描写有り、デフォルト名ユウを使用、性別不詳。本編6章を読み終わる前に書き始めた小説なので、時間軸の設定も大体その辺りです。(ふわっふわな説明)
書きかけof書きかけです。メモ書き状態の部分もあります。プロットは粗方できていますが、如何せん難しい題材なので挫折気味です。なので、今回の企画に投稿してみました。
会話文のみの部分や、消えた音を表記していない部分などがある、粗削りな小説です。そういう部分や改行が多いところはまだ書けてないってことです…。あまりにも書けてなくて、間に起こったことを省いている部分もあります。
自分が読みたいから書いてますが、書きたいと思った方がいらっしゃれば、ぜひ…読ませて頂きたく……。
(書き手の他作品を読んでいて、呪術を期待していたかもしれない読者の方へ)
軽率にオマージュ作品をほかにも並行して書いてます。予定ではヴァレンタインにも別ジャンルで投稿するかと思われます。呪術じゃなくて申し訳ない…。
書いているシリーズの番外編とか、バッドエンド夏油夢短編とか、獄門疆の中で展開されたギャルゲ風デスゲで悪戦苦闘する五条先生とか、そういうネタはあるんですが…書き上げられてません。
#ツイステ二次創作 #残像に口紅を #未完かきかけギャラリー #メタフィクション
2023年2月1日 20:32
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ツイステッドワンダーランドから言葉が消えていく
すでに世界から「あ」が失われている
賢者の島、最北端。切り立った崖のような場所の上に建てられた学園、ナイトレイブンカレッジ。その敷地内の一画には、オンボロ寮と呼ばれる建物が辛うじて建っていた。
人も住めないと言われていたそこには、ゴーストだけが長らく居座っていた。だが、今では別の住人も住みついている。
異世界からの来訪者、通称『監督生』のユウ。そして、魔獣のグリム。この二人(一人と一匹)は、二人で一人の生徒として、ナイトレイブンカレッジに通っていた。
今は夜。流れてきた雲でたまに月の光が遮られるような、そんな夜。
ユウはオンボロ寮の自室で眠っていた。傍ではグリムも寝言を洩らしながら眠っている。
静かで穏やかな時間。そこへ無粋な羽音が届いた。
その音によって、ユウは心地よい
微睡
まどろ
みからムズムズと目を覚ます。
薄暗い室内。窓から差し込むのは、燐光のような月の光と、それによって浮き出た黒い影
……
大きな人影だ。
それに気がついたユウは「うわっ」と声を出した。寝起きで少しばかり掠れた声だった。
コンコンコン、と窓枠が叩かれる。それと共に影もユラユラと蠢き、窓ガラスと古びた窓掛け越しに微かな金色が煌めく。
「私です、監督生さん」
「
……
学園長?」
ユウが起きてベッドから出ると、その動きでベッドが弛み、グリムが「ふな
……
」と呟いて寝返りを打った。
ユウは寝起きでフラつきながら、ゆっくりと窓際へ向かう。
彼ならば魔法で鍵すら難なく越えられるだろうに、律儀に外で待っているのは一応の礼儀としてだろうか。
窓の外に作られたバルコニー。屋根のないそこに、いつもの恰好をした
――
襟先が折れた立ち襟のシャツに黒いベスト。肩に羽根の付いた上着。スリムなスラックス。ハットを被り、顔には怪しげな仮面をして、その手にはステッキを持っている
――
学園長が立っていた。
マントのように羽織られた上着、その襟元の軽薄なブルー。それが彼の顔の白さを際立たせている。しかしそれを含めても、いつもより顔色が悪いようだ。
そんな学園長は酷く動揺した様子で話をし出す。
「お休みのところ申し訳ないですが、緊急事態です」
「どうしたんですか、こんな夜中に
……
」
「簡潔に言いますとですね、ええ。
――
この世界から言葉が失われたようなんです」
ユウは思った。「自分はもしかして寝ぼけて夢でもみているのではないか?」と。もしくは寝ぼけているのが学園長か。
寝起きで回っていない思考と呂律で、ユウは尋ねる。
「それって
……
どういう意味ですか?」
「どういう意味って、“君”ねぇ
……
危機感ってものがチョット足りてないんじゃないです?」
微かな違和感。
「妖精の
悪戯
イタズラ
によって、この世界に改変が加えられているんです。大抵の人は気付くこともできないでしょう」
「
……
イタズラ? 世界に?」
話が飲み込めず、ユウはオウム返しのように尋ねる。そして、ウロウロと視線を周りへ走らせた。
ユウが学園長の姿越しに外を一瞥するも、一見して何も変わった様子はない。見える風景は月が照らすいつも通りの夜空で、聞こえるのは黒々とした木々の
騒
ざわ
めき。遠くのほうで梟が鳴いている。
言いたいことはわかりますよ
……
と、学園長は不服そうに喋り出した。
「ま、その。建前上はそういうことになっています」
歯切れ悪く、勿体ぶった言い方だ。そんな彼の態度に、どういうことだろう?と、ユウは不信感に眉をひそめる。
学園長はわざとらしく顔を傾け、口元に手を添えた。
「由々しき事態ですが、これはそう
……
『虚構』ということです」
「虚構、ですか」
「はい。ここで何が起ころうとも、実際のゲーム
――
失礼
――
“世界”には何ら影響はない訳ですし、言っちゃえばすべて妄想でしょう?」
それを聞いたユウは、「なんてことを言うんだ」と、顔を
顰
しか
めた。
彼の発言は言ってはならないことだった。なぜならそれは『メタ発言』で、この小説は至って真面目な小説のはずだからだ。決してギャグやコメディーといったジャンルではない。
彼のその発言は、監督生としては度し難いことだった。
「例えば、オンボロ寮にバルコニーが“本当に”存在しているかどうかは『ここだけのお話』で、明確に“存在していない”とされていたとしても、ここでは“存在している”。だけど『
他
ほか
』では違うでしょうし、描写されていないだけかもしれません」
「ここはそういう場所で、今日はそういう時、そういう日。という訳です」
「学園長、メタいです」
重ねられていく発言に監督生は耐えきれず、遂にツッコミをいれてしまった。
ここは小説に描写されずにカットされないかな、むしろしてくれないと困るな。なんてことを監督生は思った。
「いいんですよ。今だけ、今日だけ、今回だけは」
「こぉんな発言も、今日は許されているんです。これは『メタフィクション』の小説らしいので!」
「某小説に感銘を受け
……
そのせいでこんな世界が生まれ、私たちが中々に酷い目に
……
いえ、その予定なだけですが」
不穏なことを呟く学園長。監督生からの視線に気がついた彼は、それをかき消すようにニッコリと笑ってみせた。
「詳しくは原作をお買い求めになるか、ググって
――
いえ、ミラって下さい!」
「私、世界観を大切にするので!」と、学園長は両手を広げてみせた。
もうすでに遅いような気がする。そう思った監督生だったが、これでは話が進まないと考え、意識を切り替えた。
「では学園長。詳しいことを、“世界観を大切にして”、話して頂いてもよろしいでしょうか?」
懇切丁寧な言い回しで皮肉ったユウ。それを学園長は物ともせず、笑顔で「いいでしょう! 私、優しいので」と
宣
のたま
った。
「今日一日、また零時を回るまで。着々と言葉、『
音
おん
』が消えていく現象に
苛
さいな
まれるんですよ、この世界は」
その言葉で、ユウは部屋に置いている時計へ目をやった。時計は0時15分を少し回ったところを指している。日付が変わって早々に、学園長はここへやってきたのだろう。
「すでに大きな影響が及んでいます」
「私の名前も失われ、苗字だけになってしまっていますし。それに生徒だって幾人も消えて、いくつか寮すらなくなっていたりも
……
」
ユウは「そんな馬鹿な
……
」と思った。なんなら口からも出ていた。
その思いのままに、ユウは彼の名前をフルネームで思い出そうとする。
……
学園長。クロウリー、クロウリー
……
何・クロウリーだっけ?
んんん?っと首を傾げたユウ。心なしか、その額に焦燥が滲む。
しかし。だがしかし。学生が自分の通っている学校の校長の名前、それもフルネームを覚えていることなんてそうない。その類いなのだと、ユウはそう自分へ言い聞かせた。
「この現象の法則、ルールをお伝えしておきます」
「私は名前だけなので無事です。しかし、その人を言い表す言葉が
……
名前・苗字共々消えてしまえば、その人は消えてしまいます」
「いいですか、監督生さん。消えているものは意識されたり、描写されたとき、消えてしまいます。と言っても一応は、言葉が失われた時点で消えている、ということになっていますが」
「つまり私が説明すればするほど描写されてしまい、この世界から消えているものが
詳
つまび
らかになっているということです! 消えてしまっているのに! うぅん、悲しいですねぇ
……
」
おいおいおい
……
。わざとらしく泣き真似をする学園長。
「泣けるうちに泣いておかないと、いずれ泣くこともできなくなってしまうでしょう? ちなみに、この世界の名称だって、すでに失われていますよ」
「ルールですが
……
例えば、私の名前“クロウリー”の場合。『音』単位で基本的には消えていきますから、つまり
……
“くろうりぃ”なので、『い』が消えれば私も消えてしまいます。そうならないことを祈りますが、ええ」
「消えた音が母音に含まれていても消えませんが、伸ばし音は含まれる。ということです」
「清音、濁音、半濁音。これらはすべて別の音として数えます。消えていく音、所謂“代表音”は69個だとか」
「似た発音についてもですが、これは基本的に同時に消えてしまうようです」
学園長は、なかなか大変ですねぇ。と、他人事のように言った。
余計なことを言うなとばかりに監督生が睨めば、学園長は小さく肩をすくめた。
「例えば、『ブ』が消えるときは『ヴ』も消える予定で、『バ』のときは
……
なんでしたかね?
……
もしかして、すでに消えてます?」
間
ま
の抜けた声を彼は出した。しかしすぐに、わざとらしく咳払いをする。
「ゴホン。えぇっと
……
つまり、一蓮托生で消されてしまうんだとか。『え』と発音が“え”の『へ』、『わ』と発音が“わ”のときの『は』も、ほぼ同時に消えてしまうようです」
「ですが。もし同時に消えなかったのなら、例えば『ヴ』がなくなったとしても、それを『ブ』と表記できるのならセーフです。『バイオリン』なんかが確か、そうですが
……
しかし、なんでしょう? 所謂『ヴ』のほうは、すでに失われている言葉が含まれているのか
……
なんと言うのか、とんと思い浮かばないんです」
学園長は肩を落とし、寂しげに乾いた笑みを浮かべた。だが、それもすぐに得意げな笑みへすり替わる。
「この世界の言語が英語なのか、それとも日本語なのか
……
気になった方もいるのでは? しかし、気にしないでくださいね。この小説は日本語で書かれているので、この世界もその言葉のルールに
則
のっと
っています。元ネタも日本語ですし、英語基準だとこの設定って成り立たないですから」
監督生に
有無
うむ
を言わせず、学園長はバサリと腕を振るう。
「虚構を楽しんで。では!」
黒い羽根が数枚、宙を舞う。
言おうとした苦言も宙に浮き、監督生は茫然とする。
バルコニーに一人残されたユウは、仕方なしに空を眺めた。
ほぼ丸に見える月が、雲の上から下界を照らしていた。
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