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MN*B
2024-06-21 02:10:13
5396文字
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二次創作単発:pixivバックアップ
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伊地知さんの限界ご飯。 ― 虎杖と一緒! ―
ノベライズ版一巻ネタ。伊地知さんと虎杖が、伊地知さんのマンションで昼食をとる話。
Not CPのつもりで書いてます。ちょっとタイトル詐欺、限界じゃないです。
この話では入れませんでしたが、青じそもいれると美味しいです。というか、冷蔵庫にある野菜とツナ缶をぶちこめば、大体食べられるものが出来上がるんでオススメです。
夏場はこれを食べておけば、栄養摂ってる気がするんで…。今年はキュウリ高いんで、あんまり作ってないですが。
作るときの注意点は、最初に味をぶち込みすぎないよう気をつけるくらいですかね。ツナ缶の油はきってもきらなくてもどっちでもいいです。
この"限界ご飯"の話、実はシリーズなんですが…ほかは別に書き上げてもなく、山もなければオチもない話なので、下書きのまま放置してます。今作も去年から書いてたのをやっと書き上げた感じですね。個人的時系列としては三作品目です。前に一部紹介してます。→【 novel/16436230 】
他には、おにぎり作る伊地知さんだったり、チャーハン作る伊地知さんだったり…完全に趣味ですね。ほかの小説書いてるときに行き詰まったら、とりあえず伊地知さん書いてました。
#呪術廻戦 #二次創作 #伊地知潔高 #虎杖悠仁
2022年8月20日 19:15
8月下旬。エアコンの効いた部屋の、その窓の向こうには青い空が広がっていた。
それを横目に、私はひたすらパソコンと睨み合い、書類を捌いている。
そんな私の下へやって来たのは、それなりの音を立てる掃除機に、それを操る人物
…
虎杖くん。
「ごめーん伊地知さん! ついでに足元通りまーす!!」
掃除機に掻き消えないように、大きく声を張る虎杖くん。私は返事をして、作業の手を止めず、椅子に座ったまま足を軽く宙に浮かせる。
その足元をザーッと通り過ぎていく掃除機。
…
数十秒ほどでそれは終わった。
私は足を下ろして、また作業に専念する。
五条さんが遠方へ出張することになり、その間虎杖くんを私のところで預かっている。
……
のは、いいのだが。彼はあまりにも退屈しがちな質のようで。することがなさすぎて、なぜか家事をするようになった。
彼曰く、「お世話になりっぱなしだし、こんくらいした方がいいかなーって」とのこと。
彼をここに匿うのも仕事のうちであり、それに言葉に出せたとはいえ負い目もある。ゆえに、そういったことは気にせず過ごしてくれていいのだが
……
しかし、暇を潰すための物が少ないのも、また事実で。それで彼の気が紛れるのなら、止める理由もないのだった。
この部屋にかけられている掃除機の音をBGMに、しばらくの間、黙々と作業を進める。その音に紛れて、彼が何かを歌っているのだろう声も耳に入った。
……
数日とはいえ、彼がいる生活にいつの間にか慣れた自分がいたのだった。
…
集中しているうちに、午前はすっかり終わってしまって、午後になってから少し過ぎてしまっていた。
それにふと気がつき
…
思わずガタリと音を立てながら、椅子から立ち上がる。
昼食!
…
虎杖くんはどうしただろうか!?
薄暗くなってからならともかく
…
昼間は外を出歩けない状況に、今の彼はあるのだ。
冷蔵庫にある程度の食料はあるが、彼が昼食をちゃんと摂ったのかは確認しなければ。それが彼を預かっている私の、大人としての責務だったし、至極単純に、食べていなければ心配でもあった。
もし食べていなければ問題だ。なんなら大問題と言っても大げさではないかも。なんてったって虎杖くんは育ち盛りの男子高校生。昼食抜きはキツいはず。
私は顔から少しばかりズレた眼鏡を押し上げて、焦りを抑えつつ自室を出た。
リビングのほうへ慌てて向かう。すると、何か作業をしているらしき物音が聞こえてきた。
……
併設してあるキッチンに、彼の立ち姿が見える。
私の足音に気がついたのだろう虎杖くんが、こちらを振り返った。
「お、伊地知さーん。ちょっと遅くなったけど、昼飯にしよー」
あっ!勝手に冷蔵庫の中身とか使ってます!!と、元気よく報告される。
そんな彼の振る舞いに肩の力が抜け、思わず顔をほころばせながら、私は「構いませんよ」と応えた。
実際その通りで、ある程度自由にしていいと事前に言ってあったし、何も問題はない。彼としても、作業をしている私の邪魔をしては悪いからと声をかけなかっただけなのだろう。自炊能力があるタイプの子なので、むしろホッとしているくらいだ。
「あっつ~! やっぱクーラーつけてても、火ぃ使うとアチぃね!」
そう話す虎杖くんの前には、火にかけられた大鍋。そして、まな板の上に切り分けられた野菜が並んでいるのが見えた。
「何を作ってるんですか?」
私は気になって彼の横に行き、準備されているそれらを眺める。
キュウリは千切り、トマトは角切り。それと、ニンジンをピーラーで薄く削ってあるもの。あと
…
梅干しから種を抜いて、その梅肉を叩いてあるようだ。
「そーめん。でも、具沢山な感じ?ってか変わり種的な?」
今から麺を救出するんで退避を!
……
虎杖くんは額の高さまで片手を上げると、冗談めかして、そう通達してくる。
その言葉は、私が眼鏡をかけているがゆえに出たものなんだろう。
それに従って私は数歩遠ざかり、そこから彼のことを見守ることにした。
シンクに置かれたザルへ鍋の中身があけられる。湯気がモクモクと立ち上がるなか、勢いよく流れる水にさらされる素麺。水によって粗熱がとれたのを見計らってから、虎杖くんは手を入れて麺のもみ洗いを始めた。
私はこれまでに何度か彼が料理するところを見ているが、やはり手慣れているなぁと感じるのだった。
素麺を洗い終わった虎杖くんは、それの水気を切ると器に盛りつけていく。
素麺を盛ると、そこへゴマ油を回しかけ、菜箸で混ぜて馴染ませる。そして、その上に切った野菜を乗せていく。
次に、油をきっているらしいツナ缶を具材として継ぎ足し始めた。器一つにつき一缶
…
つまり、一人一缶分が投入される。
それで具材はすべて器に盛り付け終わったようだ。ふっと顔をあげた虎杖くんが、「あっ」と声を出す。
「そうだ、伊地知さん。麵つゆってある?」
「ありますよ。開封済みのものはないので、今開けますね」
貯蔵庫にしている棚から目当ての物を取り出し、虎杖くんに渡した。すると、受け取った彼から感謝の言葉が述べられて、なんだか不思議な気分になる。
誰かが料理をしている横で手伝うだなんてこと、一体いつぶりのことだろうか。残念ながら、私に料理を作ってくれるような相手もいないし。正月明けに実家へ帰ったときぶりかもしれない。
虎杖くんの傍らには、冷蔵庫から事前に探し出されていたのだろう、白だしのボトルもあった。そこから
…
これまた盛大に、麺つゆと白だしが回しかけられていく。
その手つきに澱みはなく、作業に慣れているのか、はたまた性格なのか。どちらもかもしれない。
彼のことを何の気なしに見ながら、私はそういったことをつらつらと考えていた。
「よし、できた!」
その声で私はハッとして、ふけっていた思考から覚める。
用がなくなったであろうボトルたちを冷蔵庫へとしまう。虎杖くんは使った道具を手早く纏めて、それらをシンクの隅のほうに寄せた。
「さっそく食べよー!!」
達成感にか、食事への喜びにか
…
声を弾ませた虎杖くんが、出来上がった昼食を私に差し出してくる。
底の深いどんぶりに、これでもかと盛られた麺と具材。素麺という割に色合いはカラフルで、麺つゆで食べるだけよりも一味違うのが見て取れる。
……
私はそれを恐々と受け取った。
「食べ応えがありそうですね
…
」
麺だけでも一人三束分はあるだろう。その量に気後れして、食べきれるだろうか
…
と、少し不安になる。
何せ、自分ももうすぐ三十路と呼ばれる年齢でして。
だがそれを表情に出さないようにしながら、どんぶりをテーブルに運んだ。
二人でテーブルにつき、向かい合わせになる。そして二人とも手を合わせ、ついでに声も揃う。
「いただきまーす!」「いただきます」
言い終えた途端に、虎杖くんは凄まじい勢いで食べ始めた。
お腹が減っていたのもあるだろうが、これは若さに寄るものだろう。少し羨ましい。
私がそんなことを思っていれば
……
虎杖くんが不思議そうな顔をして、こちらを見てくる。
「
ん
う
?
伊地知さん
いひじふぁん
、
食べないの
たへひゃいの
?」
っと、見ているだけでなく私も食べなくては。
我に返り、彼に笑いかけながら、箸とどんぶりを持った。
「良い食べっぷりだなぁと、つい見ちゃってました。あはは」
改めて食事に向き直り、箸をつけた。
食べ始めると、意外にもスルスルと入っていく。
麺の茹で加減もいいし、野菜の歯ごたえがあるお陰か、ただの素面と比べて飽きることもない。ふと香るごま油に、のど越しも良い。
モグモグと食べ進めていれば、虎杖くんは何気なく閑談をし始める。
「これさ、麺をうどんとか、冷や麦にしても美味いんだよね。パスタにしてもイケんよ?」
「そうなんですか」
彼は頬張ったまま、うんと頷いた。
「パスタの場合は、ゴマ油をオリーブオイルにして。入れる野菜を、キュウリとニンジンじゃなくて、レタスとスライス玉ねぎにすると洋風っぽくなるよ。バター足しても美味しい
……
あ、洋風のときは梅干しナシね」
流れるように味変レシピが飛び出してくる。
それに感心しつつ相槌を打ち、舌鼓も打つ。
「へぇ
…
味付けは変えないんですか」
「うん。なんでも意外と、麺つゆと白だしでイケんだよね。ないなら片方だけでもいいんだけど、混ぜたほうが美味しいと思うよ」
そんで麺の水気を切りすぎないほうがイイ感じになって旨いんだ。
…
そう話した彼は、へへっと笑みをこぼす。
そんな彼を見た私も、なんだか微笑ましくなりながら、うんうんと頷く。
「下手に塩気を足すより、出汁でうま味を足すといいって言いますもんね」
たまに混じっている梅干しが、ちょっとした塩気にもなっているのもある。まさに良い塩梅だ。
「あとあと
…
温玉入れてもいいんだけどさ、作るのサボっちゃった。お湯沸かす鍋かける2は、さすがにな~って」
「それは確かに。
…
ああそれと、ありがとうございます。これ美味しいです」
お疲れ様です
…
と、思わず箸を持ったまま頭を軽く下げる。
いやいや気にしないでよ~!と、虎杖くんは屈託のない笑顔を浮かべた。
顔を上げた私は、そんな彼を眺めながら、さらに会話を広げていく。
「私はうどんが好きなんですが、こういった食べ方はあまりしたことないですね」
「そっか~。やっぱお出汁で食べんの?」
「はい。疲れてるときなんかは特に、あったかいお汁が染みわたるんですよ
…
」
「あはは! 伊地知さん、それオジサンっぽいね!」
お、おじさん
…
。
その単語に少なからずショックを受けてしまう。思わず、箸を持つ手も止めてしまった。
そんな私に気がついたのか、それとも気がつかないままでか、虎杖くんは眉根を下げた顔をする。
「というか伊地知さんって、ちょい夏バテ気味かな~
…
なんて」
控えめに言われたそれに、私は先ほど受けたショックも忘れて、思いかけず納得する。
「あぁ
…
確かに食欲は落ち気味かもしれないです。疲れがなかなかとれない、みたいな」
「え。やっぱ夏バテ? それかストレスとか? なんとな~く、わかるけど」
五条先生とか五条先生とか
…
あと五条先生とか。
…
そんなことを呟きながら、指折り数えていく虎杖くん。
その内容に、ちょっぴり涙ぐみそうになる。事実に近いので尚更
…
いや別に、あの人だけのせいではないのだけれども!
そんなことを考えつつ、もそもそと麺を口に運ぶ。
なんだか急に、疲れとかバテだとかを感じ始めた。午前中に頑張りすぎたかもしれない、なんて思い始める。
そんな私のことを向かいで眺めていた虎杖くんが、良いことを思いついた!と言わんばかりの声を出す。
「そうだ! これ食い終わったらさ
…
俺、なんか甘いの作ろうか!?」
「えっ、そんな
…
気を遣わなくても!」
材料もないでしょうし!
…
私はそう言いながら、慌てて顔の前で手を振る。
それでも彼は、いいから!いいから!と言う。
…
考えを変える気はなさそうだ。
「確かに材料があるか確認しなきゃだけど、俺も暇だし。伊地知さんも甘いの食べたら元気になるかもだし
……
ね! いいっしょ?」
そう言われると、こちらとしても弱くならざるを得ない。
「わかりました。でも、もし作れなかったとしても、気にしないでくださいね」
「大丈夫! ただの思いつきだし!」
虎杖くんは楽しげに頷いている。
好きに過ごして欲しいのだが
……
暇を潰すのにそれもいいのだろうか。
…
私はそう思って、納得を食事と共に飲みこんだ。
しかし
…
代替案というか、先にフォローもいれておこう。
「作れなかったら、一緒にコンビニにでも行きましょう。日が暮れてからになりますが
……
気分転換にもなりますし」
私がそう言うと、彼は顔をパァっと輝かせた。
「ホント!?
…
あ! できれば、作れても行きたいんだけど!!」
前のめりになった彼は、滔々と喋り始める。
「あんね、昼のテレビで特集あってたんだけど、新作のコンビニスイーツで気になるのがあって
…
」
若者らしい溌溂とした興味関心さを、私は相槌を打ちながら聞いていた。
…
が、ふと思い当たる。
「もしかして、それで甘いのが食べたくなったんですか?」
彼はぱたっと喋りを止めて
…
すぐに気を取り直して笑う。
「それもある!
…
かな」
照れくさそうに、虎杖くんははにかんだ。
それを真正面から見た私は、ウッ
…
と胸が詰まる思いがした。
私は戦えない。こんな風に笑う彼を守る力はない。
…
だが、彼らを手助けすることはできる。そのためにも私は必死に仕事をさばいているのだと痛感し、気合を入れ直す。
「午後も仕事、頑張りますね
…
!」
「ん? うん! 頑張ってね!」
虎杖くんはきょとんとした顔をしたものの、笑顔でサムズアップしてくれた。
よし。気合を入れたところで、まずは
……
この昼食を食べ終わらせよう。
私は勢い込んで、麺を掬い取って啜り上げる。それを見た虎杖くんが、「お! いい食いっぷり!」と、からから笑った。
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