猫柳 楸
2024-06-19 14:59:53
855文字
Public その他
 

地獄の果てまで君と手を繋いで

地獄の果てまで君と手を繋いで
燐ニキ燐 間接的死ネタ

「じゃあ、行くっすか燐音くん」

珍しくしょぼくれた顔をした燐音くんの手を握ると、素直に立ち上がって僕の後ろについてきた。
いつも馬鹿みたいに笑って誤魔化してる顔の下はこんな寂しそうな顔をしてたんだなぁ、と思うと少しだけ繋いだ手に力が入った。

「いやぁ、こんなのいつもとまるで反対っすね?いつもなら強引に僕の事を引っ張って行くのは燐音くんなのに?」

燐音くんは無言のまま1歩遅れてついてくる。気にせずに喋り続けた。

「ああ、でも出会ったばっかりの時の燐音くんは、仕事してる僕の後ろにちょこちょこくっついてきたりして可愛かったっすねぇ。それが今じゃあこんなにふてぶてしくなっちゃって」
なぁ、ニキ」
「んぁ?なんすか、燐音くん」

振り返って顔を覗き込むと不安そうに瞳が揺らいだ

「どこ向かってんの」

ぼそり、と呟くような問い掛け。普段のでっかい声量をどこに落っことしてきちゃったんすかね、燐音くんは。

「ん、燐音くんが言ったんすよ?故郷に帰るんっすよね。んー、何処がいいんすかねぇ。やっぱり何処かのビルの屋上っすかね、燐音くん高いとこ好きでしょ。それとも海にでも行ってみるっすか?ねぇ、燐音くんは何処がいいっすか」

にひひ、と笑ってみせると燐音くんはぱちくりと目を瞬かせて、それからくくっと喉を鳴らして笑った。
ああ、やっと笑ってくれたっす。

「ニキくんやっぱり俺っちのこと大好きだよなぁ」
「僕もなんで燐音くんなんだろうな?って思ってるっすよ、ほ〜んとイミわかんないっす」

燐音くんが嬉しそうに笑って手をぎゅうっと握り返してくる。

「まぁずっとこうやってニキと手を繋いでられれば、俺っちはどこでもいいや」
「そっすね、僕も最期まで離す気はないっすよ」

僕は最後まで、終わりまで、君の面倒を見てあげるって決めたっすから。そうして地獄の果てのどん底までたどり着いたら、また2人で馬鹿騒ぎをしよう。永遠にいつまでも手を繋いで踊り明かそう。
それはきっときっと楽しいに違いないっすよ。