orikoriko1125
2024-06-18 21:36:52
2596文字
Public ちびすぐ
 

スグリが小さくなる話④

カキツバタ編
四天王に挑むのって順番守らなくてもいいのか分からないまま書いてしまった
カキゼイのつもりないけど、そう見えるかもしれない

「ねぇ、カキツバタ。いいえ、カキツバタ先輩に一生のお願いなんだけど。」
久しぶりに部室に顔を出すとゼイユが随分と疲れた様子で詰め寄って来た。
彼女はカキツバタの後輩で同級生で先輩で、都合の良い時だけかわいい後輩になる。
一生のお願いは三年間で片手で数えられないくらいは聞いた。
聞いてから考えるけどぉ。」
「スグを少し連れ出してくれません?」
数日前に変なきのみを食べて小さくなってしまった弟は「つまんなーい。」とぶすくれている。
「どうしても今日提出するレポートがあるんだけど、スグが暇で邪魔してくるの。あと一時間で終わるから相手してあげてよ。あんたもどうせ暇でしょ?」
それが人に物を頼む態度か、と言いたくもなるがカキツバタもそれなりにゼイユに貸しはある。
それに課題もレポートもやらない彼はやっぱり暇なのだ。
「へーへー、ゼイユ様に夕飯でもご馳走になりますかねぇ〜。」
「分かった。じゃあよろしくね!あと、お菓子あげすぎないで!」
ニッコリと綺麗な笑顔を浮かべると、即部室を追い出された。

「カイリュー!わやかっけー!!」
預かっているスグリのカイリューでキャニオンエリアまでお散歩をする事に決めた。
元はカキツバタのカイリューの卵をスグリにあげて、育ててくれた個体なので感慨深い。
「スグリぃ、ねーちゃん困らせたら駄目なんじゃねーの?」
キバゴやタテトプスを眺めてるスグリに声を掛ける。Tシャツのバックプリントの小さいカイリューと目が合う。
「大きいねーちゃんすぐ怒るし、やだ!だからいいの!」
怒ってる姿もかわいいのでご褒美にポケットからお菓子を出した。一つくらいならいいだろう。
「あんがと!ねー、ツバタってポケモンつよいの?」
小さくなってもカキツバタに敬意を払わない、姉にちゃんと躾けておけと注意するべきなのか。
「う〜ん、学校内ならアオイとスグリの次かねぃ。」
「みんなつえーって言ってたべ。」
皆とは?と思った瞬間
『着信ロト!!』
スマホロトムが叫んだ。ポーラスクエアの受付からだ。
「どーした?何かあった?」
『ツバっさん、今日これからチャレンジャー来るけど覚えてる?』
忘れてた!わりぃ〜!」
ゼイユとの約束の一時間まではあと三十分以上はある。
『急いで来て!よろしく!』
盛大に切られた。仕方がない。
スグリも行こうぜぃ。」
「どこに?」
「ポーラスクエア、さみぃから覚悟しとけぃ。」

「ゼイユ、お疲れ様。スグリは?」
「カキツバタが暇そうだから子守頼んだの、お陰でレポート終わった!」
ネリネが懐から時計を出して見つめる。
「今日これからポーラにチャレンジャーが来る予定。」
あいつ絶対に忘れてるでしょ。」
それならばスグリを回収しないといけない。
ポーラの受付に連絡をすると案の定忘れていて、まだ到着していないとのこと。スグリを迎えに行く旨を伝えた。
大きくため息をつき、二人は部室を後にした。

「わりぃ、待たせた!」
半袖では寒かろうとスグリは抱いてジャージごと包んだ。見慣れない雪をきらきらした目で見つめる。
「ゆき〜!」
これから試合があるので普段より人も多く、皆明らかに動揺している。
「子連れ出勤。」
「スグリくんかわ〜〜!」
「タッグバトル?!」
スグリを下ろすとオラチフジャージを脱いでスグリに巻き付けた。
「誰がスグリ預かっといてくれぃ、んでゼイユに迎えにこいって連絡しといて。」
受付カウンターに置きっぱなしの学校指定ジャージを羽織る。多分最後に洗濯したはず、多分。
「さっきゼイユ先輩から連絡あって今向かってるって。」
「さすがねーちゃん!」
近くの女子部員がスグリを抱いた。
ツバタ、何すんの?!」
「ポケモンバトル!元チャンピオン様もしっかり見てろよ。」

「ごめん、ちょっと空けて!」
ゼイユとネリネがポーラスクエアへ到着する頃には試合は終盤のようだった。
受付の部員から『スグリ、最前列で試合見てますよ。』と告げられ、ギャラリーの間をかき分ける。 
カキツバタの手持ちはカイリューとオノノクス、相手はこおりテラスのラプラスだったが、すぐにテラスタルジュエルが砕けた。
「ねぇ、試合の展開早くない?」 
「相手の準備不足もあるかもしれない。」
ネリネは気温で曇るメガネをずらす。
反対側で女子部員に抱かれたスグリを確認する。
楽しそうに笑って女子部員に話しかけてる姿を見て、そういえば幼稚園で一番かわいい先生にいつも抱っこされてたなと思い出した。

「預かってくれてありがとう。スグ、こっち来なさい。」
人も減って来たのでスグリを回収する。ネリネは次の予定があると先に校舎へ戻って行った。
「ねーちゃんだっこ〜。」
「はいはい。」
鼻と丸いほっぺたが赤い。寒いのだろう。
「ツバタ強かったね〜、かっこよかったね〜!」
興奮気味に言うので思わず笑う。赤いのは寒さのせいだけではないようだった。
そうね、あんたがいたから張り切ってたんじゃない?」
不思議そうに見上げて来たので頭を撫でた。
子守のお礼に夕飯をご馳走する約束をしているので、チャレンジャーに構成や対策の指導をするカキツバタを待つことにする。 
「ねーちゃん、すぐもポケモンっこ、つよくなれる?」
「やだ、もう既に強くなってるから大丈夫よ!」
入学したばかりの頃にもそんな事言ってたな、と思い出した。

「重!!」
待ってる間にスグリは寝てしまったが、人間は寝ると重たくなるのは知らなかった。
「スグリ寝ちまったから学食デートはまた今度なぁ〜。」
「デ、デートじゃないから!!ジャージ洗って返すから明日渡すわね。」
ずっとくるんでいたジャージのオラチフを指差す。
「いや、いいって。お姉様のお手を煩わすわけにゃ。」
「めちゃめちゃヨダレつけられてるし。」
「お願いします!」
寮の前で分かれる前に言いたいことだけ伝える事にした。
「あんた今日、スグにいいとこ見せようとしたわね?」
チャレンジャーの実力もあるだろうが、割と一方的な試合だった。
スグリ様のお眼鏡にかかったんならいいけどねぃ。」
「強くてかっこいいって、良かったじゃない。」
カキツバタは嬉しそうに寝てるスグリの頭を撫でて「じゃあな。」と寮へ向かった。