orikoriko1125
2024-06-18 21:34:26
2286文字
Public ちびすぐ
 

スグリが小さくなる話③

タロ編
タロちゃんを絵心ない四天王にしてます
ごめんなさい

「スグリくん、何描いてるの?」
「んとね、おにさま。わやかっこよくて〜、大好き。」
放課後部室へ向かうとかわいい子が一生懸命机へ向かっていた。
スグリの言うおにさまが何か分からなかったため、そばにいるゼイユに聞こうとしたが座ったまま寝ていた。
そういえばアカマツもネリネも彼女が疲れていると口々に言っている。
突然小さくなった弟の世話をしつつ、授業や課題をこなしているのだ。派手な見た目と高圧的な言動に隠れているが、存外真面目な人である。
かわいい先輩のかわいい弟の面倒を見るのも、かわいい後輩の役割かもしれない。
かわいいスグリくんと遊びたいだけなんだけどね。)
タロはスグリの横に座った。テーブルの上には落書き用のノートと色鉛筆が散らばっていて、ノートの上にはスグリの描いたであろうポケモンのイラストが並んでいた。
「スグリくんはどんなポケモンが好き?わたしはかわいいポケモンが大好きなの。」
大きな目を丸っこくしてタロを見つめると恥ずかしそうに逸らした。
つよくて、かっこいいやつ。」
耳が赤くてかわいい。いかにも少年っぽい返事にタロの心がキュンとなる。
「おにさまは、強くてかっこいいんだ?」
「うん、村のみんなはおにさまはわるいポケモンっこっていうけど、すぐはそんなことさないと思う。」
『おにさま』については後でゼイユに確認しよう。
なんなら留学生のアオイも詳しいかもしれない。
「お姉さん、キタカミに行ったことないからキタカミにいるポケモンの事教えて欲しいな。代わりにお姉さんのいる、コーストエリアにいるポケモンの事教えてあげる!」

「にへへ!タロおねーさん絵へたっぴだべ。」
せっかくなのでお互い図鑑を見ずにポケモンを描いて当てるゲーム形式にした。が、優等生で四天王、学園のアイドルタロも苦手な事があった。絵を描く事だ。
「そんな事ないって!このかわいさどう見てもエルフーンでしょ〜!」
自信満々で描いたエルフーンを見たスグリは「つぶれたヌオー?」と笑う。
「スグリくん、絵上手いね。これはメガヤンマ?」
「あたり!にへへ〜。」 
四歳に絵心で負けるのは悔しい
「何か楽しそうな事してる!!これは溶けたナックラー?」
部室に入ってきたアカマツがタロのイラストを見ながら頭を傾げる。
「エルフーン!も〜そんなに下手かな。」
味があっていいと思うけど。何か食べた事ない味?」
アカマツがフォローにならないフォローをしてそのままロッカーへ向かう。何でもそつなくこなす方だという自負はあるが、こればかりは天性のセンスもあるのかもしれない。
今度ネリネにイラストのコツを聞こうと心に決めた。
そういえばスグリくんの強くてかっこいいポケモン、わたしも預かってるんだよね。テラリウムドームで出そうか!」
「すぐのポケモンっこ!見たい!」
タロはエルフーンのイラストの脇に『スグリくんとテラリウムドームへ行ってきます。タロ♡』と書き残して、寝続けるゼイユにカーディガンを掛けた。

コーストスクエアにスグリを連れて行くとかわいいもの大好きな部員たちがスグリを囲んだ。
「かわいすぎる!!」
「小さいのに歩いてる!天才?」
「怖くないよ〜〜お菓子食べる?」
珍しいポケモンが迷い込んだかのようにわらわらと集まり、スグリは俯きタロの影に隠れた。
「皆近すぎ!よくないです!」
タロがお決まりのバッテンをするとバチュルを散らしたように距離を取る部員たち。
「タロちゃん、カーディガン着てないの珍しいね。」
「ゼイユ先輩の掛け布団にしてきたの。疲れてるみたい。」
それにしても寝顔はかわいかった。あのまま部室に置いておいて良かったのかは分からないが
すぐに戻れば問題無いだろう。
ゼイユから預かったスグリのモンスターボールをポケットから出す。
「オーロンゲ!スグリくんだよ。」
「わや!!」
オーロンゲがキョトンとスグリを見つめる。小さくなってから会うのは初めての二人だ。
お互い少し緊張した面持ちだが、オーロンゲの方がそろりとスグリに近寄った。
「かっこいい。この子、すぐのポケモンっこなの?」
「うん、スグリくんが捕まえて育てたの。わたしのポケモンも戦ったけど、強かった。」
やっぱりフェアリータイプは最高だ。オーロンゲと過ごすのは初めてだったが、なかなかどうして愛嬌がある。
コーストエリアが夕陽に染まる。スグリの丸いほっぺたがオレンジになるのがまたかわいい。
かわいいは最強、誰にも負けない。
「スグリくん、早く元に戻って下さいね。わたしはここで待ってますよ!」
バトルコートを指差すとスグリが「うん!」と両手を上げた。

「おーい、ゼイユ起きろぃ。」
は!!寝てないわよ!」
カキツバタが部室に行くと、見覚えのあるピンクのカーディガンをかけられたゼイユが魘されていた。
「タロのカーディガン。」
テーブルの上はノートや色鉛筆が散らばっていた。
どうやら自分がうたた寝をしてる間、スグリの相手をしてくれていたようだ。
タロの字で書かれたメッセージを読む。恐らくタロの描いた何かのイラストが添えられている。
抹茶をこぼしたヤバソチャ?」
隣に座ったカキツバタにメモを見せる。
「どく喰らったミニリュウじゃねぇの?」
昔はポケモン図鑑はトレーナー達がノートに手描きで書いていたらしい。
新種のポケモンに出会った時、ロトムが瀕死の場合もあるかもしれない。
ブルーベリー学園にも美術の授業が必要だと先輩たちは痛感した。