orikoriko1125
2024-06-18 21:31:40
4250文字
Public ちびすぐ
 

スグリが小さくなる話①

オタク幼児化好きだから…スグアオっぽいかも
各キャラの家族構成とか捏造しまくりです
全部書ききってないけど完成するのか分からないので…

『アオイから着信ロト!!』
朝一の授業の準備をしていたゼイユのスマホロトムが留学生からの連絡を告げた。
なんでこんな時間に?」
彼女も同じく始業前だ。忙しい時間帯になぜと怪訝に思いながら着信を取る。
『ゼイユちゃん!忙しいのにごめん。スグリが教室に来てないの!何か知らない?』
「アオイ、落ち着いてよ。スグが来てないの?」
返事をする前に泣きそうなアオイが捲し立てる。
少し前までイキっていた弟は寝食は忘れても授業は決して忘れていなかった、らしい。そのスグリがサボりとは考えにくい。
まだ休学明けて間もない。体調不良が頭をよぎる。 「分かった、様子見てくるから先生に伝えておいて。」
『うんありがとう!』
アオイが少し安心したように笑う。スグリはスマホをまだ持っていない。様子を見て落ち着いたら、母に連絡して買ってあげるようにお願いをしようと決めた。
「ネリネ、スグが教室に来てないみたいなの。様子見てくるから先生に言っておいてくれる?」
通話を終え、隣の席の友人に声を掛けると表情が曇る。
それは心配。安否が分かったらネリネにも連絡を。」
「もちろん!」
ドアの方へ向かうと何やらクラスメイトが廊下を覗いている。やたらと教室の外が騒がしい。
「ゔああ〜ん!!おろせ!!」
小さい子供が泣き叫んでる。なんで校内に子供がいるのだ。ゼイユがクラスメイトをかき分け廊下に出ると白い何かを抱えたカキツバタが見えた。目が合ったので慌てて逸らしたがこちらへ向かって来る。
「あ!スグリ、ねーちゃんいたぞ!」
「ねーちゃんいらない!!」
白いジャージに包まれた小さな男の子がカキツバタの腕の中で暴れていた。見覚えのある子。いやかつて一緒に過ごした記憶の中にいた。
スグ?」
「?かーちゃん?」
周りの教室から叫び声が上がった。

「朝飯食おうと思って部屋出たら、子供の泣き声みてぇなのが聞こえて、そういう鳴き声のポケモンか〜って様子みてたら人間っぽくて。」
相変わらず授業なぞ出席せずに、好き勝手校内をうろつくカキツバタに発見されたのは、小さな子供になっているスグリだった。
泣き声の出どころを探し、行き着いたのはスグリの部屋だった。寮監へ連絡して開けて貰うと部屋の中で号泣していたようだ。
「知らねーとこいて落ち着かねぇだろうから、とりあえずねーちゃんのとこ連れてってやろうと思ったらお袋さんと間違えてブフッ!」
「マ母とあたしは似てるから!」
本人の申請によると四歳のスグリは、同じく子供であった姉がいきなり大きくなっていて混乱している様子である。
大人しくゼイユの膝に座っているが所在無さそうに周りを見ている。
「なるほどね〜!じゃあ本当にこの子はスグリちゃんでゼイユちゃんの子供ではないと。」
シアノ校長がスグリの頭を撫でる。
「あったりまえじゃないですか?!見てこの首のホクロも、お尻のホクロもスグと一緒!!」
お尻のホクロを公開されてるスグリが少し不憫で、カキツバタは捲れたジャージを直してあげた。
「冗談冗談!それでスグリちゃんがこうなっちゃったのにアオイちゃんは心当たりあるんだね。」
はい。」
いつもは眩しいくらい目立っているアオイが今日はゼイユの隣で静かに大人しく縮こまっている。
今朝彼女が慌てて連絡を取ってきたのにゼイユは少し違和感があったが、心当たりがあったからなのだろう。
「昨日放課後スグリとブルレクしてたんです。コーストエリアに見たこと無いきのみが成ってて。」

『これ何の実かな?スグリ知ってる?』
『スモモに似てっけど。』
自然いっぱいのキタカミ育ちのスグリは植物に詳しかった。
知らない果樹を見るとつい質問をしてみたくなり、二人でスマホロトムで調べるのが最近の常だった。
自然に赤い実をもぐとスグリが齧った。
にっが!!!これ人間が食べるのは無理だべ!』
『ちょっ!いきなり食べるのダメじゃない?!』
この姉弟は見知らぬ食べ物は何でも口に入れるのか。アオイは若干呆れたが、恥ずかしそうに笑うスグリを見ると釣られて笑顔になる。
その後は何事もなく二人でテラリウムドームで過ごした、のだが

「今朝スグリが来なかったから、あのきのみのせいでお腹壊したのかなって。」
お腹を壊す方がまだ良かったのかもしれない。
アオイが責任を感じているのか青い顔で俯く。
「ねぇ。」
小さなスグリが真ん丸な目でゼイユを見上げる。
「ねーちゃん、お腹空いた。」
「え?!何食べられるの?」
子供には食べさせたらいけない物もあるのか、何も分からない。
「お菓子!チョコ食べたい!」
元気に右手を上げた。好みは今と変わらないようだ。
「これ食っておけぃ。」
カキツバタがロッカーから未開封のチョコの箱を出して中身を渡す。
あんがと。」
「お、ちゃんとお礼言えんの偉いねぃ!」
わしわしと頭を撫でるとスグリが恥ずかしそうに口をとがらせた。可愛らしい仕草に皆の視線が集まる。
「とりあえず、アオイちゃんにそのきのみの場所に案内して貰って〜、ドーム部の子なら環境整備しててるから分かるかな?」
「ドーム内の植物ならネリネも詳しいと思うから連絡するので、一緒に見て貰って下さい。」
まずは原因の解析と解明、スグリがいつまで小さいままなのか、自然と戻るのか何もかもが分からない状況である。
「ゼイユちゃん、私がスグリにきのみのこと聞いたから。本当にごめんなさい。」
「勝手に食べたのはスグでしょ!アオイは何も悪くないんだから謝らないでよ。」
大きな瞳が潤んで溜まった涙が垂れる。
当の本人はキョトンとした顔でチョコをかじった。
「おねーちゃん、すぐのせいで泣いてる?」
「まぁそんな感じ。謝っておきなさい。」
ゼイユは机の上のティッシュを手繰り、アオイに渡した。無事に元に戻ったらきちんと謝らせなければと心に留める。
「ごめんな。」
ゔん、大丈夫。」
全く大丈夫ではなさそうだが本当にアオイのせいではない。気に病むなと思いを込めて背中を撫でる。
キタカミじゃ、その辺の野生のきのみとかって普通に食うもんなの?」
「あんたは花の蜜とか吸わないの?これだから都会育ちのお坊ちゃんは。」
見知らぬ食べ物をとりあえず口に入れるのはキタカミ人の習性らしい。そう思うとアオイの涙も引っ込んできた。この件に関してはカキツバタの方がまともなのに、非難されてるのはアオイも解せなかった。
じゃあわたしはきのみの場所教えてくる。マップアプリに登録したら連絡するから、ゼイユちゃんはネリネ先輩に伝えておいて。」
「分かった。」
「バイバイ〜。」
小さいスグリも可愛らしく手を振ってくれて思わず頰が緩む。
入れ替わりでスグリの服を調達してきたブライア先生が部室へ入ってきた。

「う〜ん、ドーム部でもこんな木を植えたのか覚えが無いというか。」
呼び出されたドーム部マルイが件の植物を周りをウロウロしながら観察する。
テラリウムドーム内は各エリア毎に人工的な自然環境を作り、野生ポケモンが放たれている。
きのみや植物はポケモンの食べ物になるためドーム部員が定期的に管理し、植替えなども行っているのだ。
「ネリネも見たことのないきのみです。強いて言うならグラボのみに似ているような?」
「スグリはスモモに似てるって言ってた。」
ネリネは写真を撮ると薬剤師である父にも見せると言った。
アオイも担任のジニア先生に見せるために写真を撮る。先生の専攻ではないだろうが、もしかしたら学者仲間に詳しい人がいるかもしれないと一縷の望みをかけて後ほどメッセージを送ることにした。
それよりスグリが子供になってしまったのは事実?」
取り急ぎかいつまんで事を伝えたが信じて貰えないのも分かる。
「事実。凄くかわいいからネリネ先輩にも見て欲しい。」

部室へ戻るとスグリはアカマツに遊んで貰っていた。裸にブカブカのジャージの寒そうな姿から、ピカチュウのプリントされた白いTシャツに青のショートパンツに着替えさせられていた。
!!」
ネリネの眼鏡が曇った。
アオイもあまりの可愛さによろめく。
タロはかわいすぎるを食らっていたのか椅子に掛けて顔を覆っていた。
「おかえりなさい。何か分かった?」
実の姉は何も感じないのだろうか、平然と弟を眺めていた。
ドーム部も植えた覚えがなくて、ネリネ先輩も見たことないって。」
スマホロトムで撮った写真をゼイユに見せる。
カキツバタが座っているタロに声を掛けた。
「コーストなんだろぃ?タロは見たことねぇの?」
うーん。そもそもここに植物あったかな?一昨日くらいにこの辺りで後輩とブルレクしたけど何もなかったと思います。」
マップアプリのマーキングしてある箇所を指差す。
コーストエリアのお姫様はもちろん、自分の庭に詳しい。
夜間のテラリウムドームは生徒は立ち入り禁止だ。
「タロの記憶と少し咀嚼があったとしても、たった一晩で植物はこんなに育ちません。誰かが何らかの目的で実の成っている木ごと植えたのか、特殊な能力のあるポケモンの力で一晩で成長させたとしか考えられないのでは?」
ネリネが静かに告げる。
「これってポケモンにも作用するのかな。」
アオイは先ほど取ってきた実をポケットから出した。5センチはあるだろう、そこそこ大きい実。
「最終進化したのが種ポケになっちゃうとか?」
「怖い。」
「今までの育成が無に?」
触れるのも恐ろしくなりまたポケットにしまった。
「ゼイユちゃん、スグリどうするの?」
「数日様子見て、戻らないようなら一回実家に帰そうかなって。ずっとここに居させられないし。知らない場所で知らない人に囲まれるよりはいいでしょ。」
郷里の祖父母は小さくなった孫に驚くかもしれないが、スグリの方に目線をやるとにへらと今でも変わらない笑顔を向ける事に少し安心した。
「面倒見きれるか分からないけど、しばらくねーちゃんと一緒に過ごすわよ。……よく考えたらいつもと変わんないか。」
はーい!」
両手を上げた、元気なお返事だった。
「わたしも協力する!」
アオイも元気よく手を上げ、スグリとハイタッチをした。
(私が早く元に戻してあげるからね。)
嬉しそうなスグリの手を握り誓った。