2024-06-18 20:56:05
2179文字
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「惚れ合って添い遂げてるどうしずっといっしょにいたハズが、いきなり別れ別れにされちまったっつうったろ

なんなんだよバグは色々あるらしいがそんなにエグいバグが?
事情と聞いて逢ってリアクション見て「どっか別のおれが折れちまったヤツか」ぐらいに思ったが浅慮だった。
事情の重さが違いすぎてる……
ひと括りじゃねえか。好きあってる  と『  』なんだろ……本来なら、ふたふり。
対とか伴侶とかそういう話じゃねえ。精神とか肉体とか、そういうもん何もかも関係無しで初めからふたふり一緒くた……
生き別れんなった、とかそーいうレベルじゃねえ。
しかもその世界は「フィクション」であいつはいきなり巻き込まれて引きずり込まれちまった形のバグらしい。
……元々ありもせんものから生まれてるとはいえ、ありもしない世界で居もしない片割れからいや。
一心同体だった相手から?
それどころじゃねえなんつったらいいかわからねえ。そんなもんフィクション以外で実在すんのか。
先生ぐらい博識ならそーいう物質とか概念とか知ってるかもしれねーが……
ふたつがひとつなのは前提であたりまえで、なにがあっても一生離れることはねえ。
「そういうもん」だ。そいつらを『ふたつ』って数えて『個』として分類すんのが前提として間違ってんだよ
ふたつじゃねえんだから。にぎりめししおむすび、ほぐしてバラしちまったらそれもう、塩味のめしだろ。
にぎりめしじゃあねえ。しおむすびでもねえしょっぱいごはん。白めし……………
白めしンなるとしても、めしの上におなじ塩ふっても塩かかっためしで
そういう次元じゃねえわ、これなら握るやつが居たら形としちゃあ一応『しおむすび』になる。
そのしおむすびが誰かに食われて血肉になってヒトの筋肉やら何やら形成して細胞ンなったり血管のなか流れてる
いや、それでも離れすぎてる。
たしかに『ふたつ』ある、個々になるしお互いがお互いを別物として勘定してる……
だが『ひとつ』で。未来永劫はなればなれにはならねえ。ずっともともと『ひとつ』として生まれてる。
そんなもん、実在すんのか?
『それ』が。
いきなり引き離されて『    』ひとふりになって。

「しおむすびの塩ぐれーにはなれるのか……?」

ふわふわ笑ってたヤツが目をぱちくりさせて、とてもやさしい顔をする。

「その喩えならきっと俺はどうやらまだ『白いめし』『おむすび』にはなってない」

『しおむすび』だったら多分バグった時点でダメだねえ。

……おれで勤まる つとまるか?」
「    なら大丈夫だ。」
「どんな  でも?」
「    なら。」

    で在ってくれるだけでいい。

「そばにいるよ」
「あら嬉しい」
「たぶん狡い」
「うん?」
「絶対に正しくねーと思うが白状する」
「どうした」
「『あんた』に一目惚れをした」

正確には。おれ 肥前を見て、愛しているもんを見る表情で好きだと言ってくれて、しあわせそうに笑った顔に。

「そ、れは……
「おれならなんでもいいんだろ」
「待った」
「一目惚れから始まんのは解釈違いか」
「そのあたり何も言及ない」
「一生護る まもるわ」
「待って」
「?」
「あっ待ってくれるんだ
「待たないおれかよ?」
「違う。大丈夫だが待った、待った」
「まどろっこしい。原本寄越せや」
「それは勘弁」

読ませてくれない ・・・・・・・・……
こいつはバグの元凶になっている本をおれが読むことをはじめからずっと拒んでいる。
おれも分類すんなら物語持ちだ。尾ひれ背鰭 せびれついて……だからだ、と。
だれかの役をやらせちまうのは気がすすまない、と。
影響されたりそれっぽさを演じてくれたら、それはこの本丸のあんたじゃなくなっちまうから。
おなじ本丸に暮らしていることがなによりも重要で欠かせない要素だと聞いた。
おなじ本丸の    なら、どんなおれでもいい。

審神者は土佐の調査で「おれ」をなん振りストックしていたか、という記憶を掘り返す。
……今すぐ習合。どうせ全員、審神者から戦力外通告受けて倉でグースカ寝てたおれたちだ。
うごく気あるヤツに習合されても誰一人モンク

「!」
……あ」

立ち上がろうとしたら不意に引き止めるように手を握られて、しぐさも、顔も、行かないでくれ、と言っていた。

………………………

すっ、と握ってくる力が緩む。自分がしたことに気がついた顔になりながら目をみはって、いっきに耳まで赤くなる。
離れる前にこっちから握って、逃げないように捕まえる。
困ったように、面目無さそうに笑う。混ざってる、と感じる。この場面で申し訳ない顔になるなら
バグってねえ『うちの本丸のこいつ』のツラだ。

いるよ。
どこにも行かねえ。

待ってたんだろ。ずっと……
行くな、と思っておれを見た『こいつ』は、どっちの『こいつ』だった?


「そろそろ夕餉だ」「おう」「いくかい」「腹は減ってる」
「どっこいしょ」「ごはん食べよう」
俺が立ち上がって手をひいて。
……それから  は、横にいるとき俺のほうが「いこう」「行ってもいいよ」と促すまでずっと傍にいてくれるようになってしまった。