雪成はす子
2024-06-18 20:21:32
3515文字
Public 🐧🐬
 

Animal Trail

支部に上げた『盲愛小噺集①』の最後に上げた書き下ろし。単品で読みたい人向け。
🐧🐬🔞で殺し愛セッする話です。

ひゅ、と振り下ろした刃は易々と弾かれ、スウィングさせた槍がこちらに迫るのを刀で防ぐ。
じゃり、と足元の砂利をスパイクで巻き込んでそれと共に相手の顔面を狙う。当たらずとも良い、巻き込んだ砂利で相手の目を潰せれば重畳、って所だが。
―――無論、こちらのそんな思惑などお見通しなのだろう。突き刺した槍を起点に高く飛び上がり、ペンギンは俺の背後に降り立つとクリスナイフを抜いて俺の首を狙った。咄嗟に屈んで避けると同時に、腹を狙って刀を突き出す。
当然ながらこれも避けられる。お互いの攻撃が当たるようなヘマなどしないと、お互いに分かっている。

お互いに、自分に殺されるような手合いなどではないのだと知っている。だからこうして、時折全力でぶつかり合うのだ。
殺し殺されるかもしれない緊張感の中で、お互いに本気で殺すつもりでぶつかり合う。
先程から振るっている刃も、模造などではなく全て本物だ。斬られれば血が噴き出るだろう、刺されれば貫かれるだろう本物の刃。
真剣勝負でしか味わえない本物の殺気、それが二人の間で交錯し合う。

―――たまんねェ。

ぺろりと舌なめずりをしながら独り言ちた。
俺の首を狙った時の、あの眼差し。あの、心臓ごと抉り取るような強い眼差しが大好きだ。
ペンギンは知らないだろうが、本気の殺気が込められたペンギンの瞳はいつもの深い青とは違う色を見せる。
全ての色を失くしたような、無機質な色。夜の闇とは違う、ぬばたまの深淵を覗くような瞳。
あの瞳に気付いたのは偶然だった。敵の本拠地で見つけた映像電伝虫に映っていたその映像、その中のペンギンが見せた、その眼差し。
―――それを見た時、俺の心に芽生えたのは強烈な独占欲だった。
あの瞳が向けられるのは、ペンギンに本気の殺意が芽生えた時だけ。つまり、仲間には絶対に見せないものだ。

―――ずるい。

俺が知らない眼差しを、ペンギンに殺される一瞬だけあのクズ共だけに向けられるなんて。
今まで―――物心ついた時からずっと一緒だった俺が、ペンギンのあの眼差しを一度も知らないままだったなんて、そんなの。

そんなの、悔しいじゃないか。

ペンギンに知らない部分があった事も、何より、ペンギンのその眼差しを俺に向けられた事が無いという事実が悔しい。
あれは俺のものなのに。
ペンギンの全ては俺のものだ。他の誰にもやらない。
あの瞳も、あの眼差しも、呼吸を塞ぐようなこの殺気も。


全部全部、俺に寄越してよ。


キィン、と刀が中空を舞い、くるくると回転して近くの地面に突き刺さる。
尻もちをついた俺の喉元に槍を突き付けられ、思わずゴクリと喉が鳴った。
「シャチの負け、だな」
太陽を背にしたペンギンが、口元だけでニヤリと笑って告げる。
帽子の陰に隠れた瞳は色を失くしたままで、その瞳に見下ろされて背筋にゾクリとしたものが奔った。
ぜいぜいと肩で息をしたままペンギンから目を離せずにいると、不意に訪れた強い刺激に体が跳ねる。
尻もちをついたままの俺の股間に足を差し入れ、ペンギンは半勃ちになっていた俺の股ぐらを踏みつけていた。
「あっ、やめ……っ!!」
「ここ、いつから勃ってたんだ?こんな状態で戦ってたの、お前」
「まって、今、踏まないで!」
「じゃあ、後でならいいんだ?」
そう言って、ペンギンはくいと親指で艦を示す。
どうせ今日は船番で二人きりなのだ。暇潰しがてら、見張りも兼ねて手合わせをしていただけで。
俺は無言で頷いて、差し出されたペンギンの手を取る。
誰も居ない艦の中は、しんと静まり返っていた。



部屋に着くなり、俺はペンギンを壁に押し付けてツナギのファスナーを下げ、下着の中で俺と同じように半勃ちになっていたソレを取り出した。
途端にむわりと溢れる汗と、それからペンギンの匂いを胸いっぱいに吸い込んで、それからすんすんと鼻を寄せる。
ぴちゃりと舌を這わせると、ぴくりと反応してそれからむくりと起き上がった。両手で包み込んで、口を目いっぱい開いて口の中に迎え入れる。
ペンギンの味を思う存分味わっていると、またペンギンに股間を踏まれた。スパイクの付いたブーツで擦られると、それだけで思わず飛び上がってしまいそうな程、気持ちいい。無意識のうちに腰が動いて、止まらなかった。
シャチ、とペンギンが俺を呼ぶ声がする。
「腰、動いてんじゃん。俺に踏まれるの、そんなに気持ちいい?」
「んっん、んん
ペンギンの問いに、俺はペンギンのモノを咥えながらこくこくと頷いた。先端から溢れるカウパーをじゅる、と吸い、頬肉で擦る。美味しくない筈なのに、美味しい。ペンギンの味を、もっと味わっていたい。
「たまんねぇな。さっきからずっと興奮しっぱなしじゃん。シャチ、いい子」
ペンギンの手が頭に置かれ、幼子をあやすように撫でられる。昔から変わらない、俺の頭を撫でる仕草。
その手で撫でられると、酷く安心してしまう自分が居る。
ペンギンの剛直を咥内に迎え入れ、ペンギンに股間を踏みつけられているという状況なのに、ペンギンに頭を撫でられるだけでこんなにも、安心しきってしまう。
もっと褒めて欲しくて、ペンギンの剛直を喉奥まで迎え入れた。喉奥を開き、ペンギンの先端を締め上げると頭上で小さくペンギンが呻いたのが聞こえる。腰ががくがくと動き、知らずペンギンの足に自身の熱を押し付けていた。
はは、とペンギンが笑う声が聞こえる。
「俺が動かなくても自分でシコってんじゃん。やーらしい。そんなに気持ちいい?シャチ」
ペンギンの問いかけに、俺は剛直を咥えながらこくこくと頷いた。
重たく揺れる陰嚢を下から持ち上げて揉み、もう片方の手で咥えきれない部分を扱く。ペンギンが息を呑む声が、微かに聞こえた。
「シャチ、全部、飲める?」
上ずった声、ペンギンもそろそろ限界なのだと悟った。首を小さく動かして頷くと、咥内でまたペンギンの熱がひと際大きく膨れ上がり、そして、
「んっ―――!!」
喉奥を、ペンギンの放った精液がねっとりと濡らした。喉に絡み付く青臭くて苦いソレを、ゆっくりと、ゆっくりと飲み干していく。じゅる、と残滓まで啜ってようやく口を離し、口の周りを拭ってぺろりと唇を舐めた。
……美味しかった?」
美味くはねえよ」
「何だよ、そこは美味しかったって言う所だろ?」
「じゃあ今キスする?」
……それは断る」
やんわりと手で制止するペンギンがおかしくて、思わずふふ、と笑う。すると今度はペンギンの足がまた俺の股間に伸びて、またびくりと体が跳ねた。
……そういうシャチは、俺の舐めててイっちゃった?」
ペンギンが爪先で示した部分に、いやらしい染みが出来ている。指摘され、かあ、と顔が熱くなった。
「俺の舐めて、俺に踏まれてイったんだ?シャチってば、やらしーなぁ?」
「う、るせ……も、黙れよ……!!」
「でも、足りないだろ?」
俺を見下ろしながら、ペンギンが笑う。その顔があまりにも蠱惑的で、俺は思わずごくりと喉を鳴らした。
「さっき戦ってる時は喰われそうだったのに、一旦エロいスイッチが入ると一気にこれだもんなぁ?―――シャチ、俺にどうされたい?」
小首を傾げて訊いてくる、その仕草の可愛らしさとは裏腹に、その顔に浮かぶ笑みは捕食者のソレだ。
戦っていたあの時とはまた違う、けれど興奮しきったペンギンの瞳に俺の情けない顔が映る。
獲物を捉えた捕食者の瞳に囚われて、俺はもう、何処にも逃げられない。
あの瞳が、俺だけに向けられている、それだけで―――俺は。

「ペンギンに、喰われたい……めちゃくちゃに、して欲しい……

はあ、と吐く息が熱い。俺の言葉に満足したのか、ペンギンがニコリと綺麗に笑ってまた俺の頭を撫でた。
ペンギンに支えられて立ち上がり、ツナギを体から抜くと、そのまま壁に押し付けられて喉仏に食らいつかれた。
ピリ、と甘く痺れるような痛みが奔って、がり、と歯を立てられる。

ああ、喰われちまう。

壁に押し付けられて唇を重ねられながら、そんな事をぼんやりと考えた。
自ら喰われようとしてるのに、何を今更と笑みが零れる。
そんな俺を咎めるように、タンクトップをたくし上げられ乳首を抓られた。
集中しろとばかりに強めに抓られ、思わず悲鳴のような声が上がる。
また唇に嚙り付かれ、悲鳴は全て呑み込まれた。
至近距離でかち合う瞳は、またあの色で。

―――ああ、やっぱ、堪んねぇな……

どろりと溶かされた思考回路の中で、俺はうっとりとその瞳を見つめ続けた。