波が引き、荒かった呼吸も静まっていく。目的を果たしたのだから余韻に浸るのも早々に切り上げてシャワーにでも行ったらいいのに。しかしこの男は私をがっちりと正面から抱き込んで、汗ばんだ胸に引き寄せたまま離してはくれない。
さきほどまで甘やかされくずぐずに内側を溶かされて許容範囲を超えるほどに快楽を与えてもらった手前、冷たく突き放すのもなんか悪い。というか雰囲気を壊すのも野暮というもの。それにこの体つきは割とマジで好き。固く盛り上がった男らしい胸筋。そのくせ頬に触れるしっとりとした肌は滑らかで、心地良さすら感じている。だからこのまま大人しくしていることにした。
それにしても何が起きたのか、コトを終えた今もまだよくわからないでいる。嫌いな相手なのに、嫌悪感を忘れるほど溺れてしまった。馬鹿みたいに喘いで、どうしようもなく欲情した。
悪くなかったし、今この時間も嫌いじゃない。しがみついて、指で身体をなぞりながら五条が熱を放った瞬間を思い返す。気が狂うほどに気持ちよかったあの一瞬を。
でもまぁ、どうせ明日また職場で顔を合わせれば私の嫌いな後輩として五条がいて、五条にとっての私はただの弱い同僚術師になる。変わらない日常が戻ってきたら今夜のことなど無かったことになる。きっとそうなのだろう。だから今は刹那的な嘘の情愛に浸ってみることにする。
顔を上げると当たり前のように唇が近付いてきた。瞼をおろし、嘘を重ね合わせる。いつも揶揄いの言葉ばかりを紡ぐ口が、今は甘えるように私を求めて吸い付いてくる。やっぱり、なんだか悪くない。
意味のないものを求め合う二人は再び脚を絡ませる。放出したばかりなのに、再び身体の芯が疼いてしまい、私は目の前の背中に手を回した。五条の手は私の胸を掴んで先端をつまみあげる。リップノイズが響く中、お互いの腰が波形を描きながら、もう一度その先を求めて引き寄せられていく。
太ももの付け根に押し付けられた異物は、さっき私の中で果てたばかりと思えないほど大きさを取り戻していた。
ああ、また、ほしい。これが、ほしい。指で触れるとびくんっと大きく震えた。そんなところを愛しくすら感じる。
「気に入った?」
五条が唇の端に笑みを浮かべ、それを撫でる私の手を上から包み、握って上下に動かすよう促す。それに従って愛撫を施すと、みるみるうちに硬度が回復していく。
「……そうね。想定外に」
「さっき絶叫してたもんね。あんあん気持ちいい、もうだめーっ、イクイクーってそれの繰り返し」
「うるっさい」
「あんなエロい声出すんだね歌姫。おかげでイクつもりないとこでイッちゃったよ。色んな体位したかったんだけど。てことで、もっかい挿れよ」
「え……」
「あっち向いて」
====サンプルここまで
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.