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カッパ巻き大車輪
2024-05-21 21:20:01
1357文字
Public
小説
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スネ6♀の小説
※オメガバースネタです。巣作りへたっぴΩ621ちゃんと、自分の為に巣作りを頑張る番いの姿に愉悦を覚えるα閣下の話。
ドアを開けると、得も言われぬ香りが溢れ出した。
速やかに部屋に入り、ドアを閉める。
今はもう、この香りは自分にしか感知できない。
そう頭では理解していても、番いの放つフェロモンを、例えその一片でも他のαに触れさせるのは許せなかった。
香りの元となるΩは、予想通りの場所にいた。
開け放たれたクローゼットの前でへたり込んだレイヴンは、溢れ出た衣服に埋もれる様にして眠っている。
ベッドルームへと視線をやると、動線上の床に転々と衣服が落ちていた。
傍らに膝をつき、少女の伏せられた顔を覗き込む。
火照った頬には薄っすらと涙の跡があり、クローゼットとベッドルームを往復するうちに力尽き、泣きながら眠りに落ちてしまったのだろうと推測できた。
そっと抱きかかえ、中途半端に引き出された衣服の中から適当に見繕って腹の上に乗せてやる。
すると濡れた睫毛が震え、緋色の瞳が薄っすらと開かれた。
「
……
あれも、とって」
胸元に顔を埋め、ぐずる様に訴えるレイヴンに苦笑しながら、細い指が指し示す物を手に取る。
私自身、肌触りの良さを気に入っているシャツは、彼女も特に気に入りの物らしい。
差し出すとレイヴンは大事そうにシャツを胸元に引き寄せ、熱い吐息を漏らした。
薄く汗ばんだ少女の額に口付け、ベッドルームへと向かう間にも拾えるだけの服を拾いながら移動する。
ベッドの上にはレイヴンが苦心して運び、並べたであろう衣服が散らばっていた。
「まだ、できてないの
…
」
鼻を啜り、まるで罪の告白の様に告げる少女を宥めながら、胸中を占めるのは途轍もない充足感だった。
Ωの巣作りと呼ばれるこの行動を、初めて見た時には驚いたものだ。
名の知れた企業の、それも選りすぐられた部隊ともなれば大抵はαばかりで、βですら殆どいない。
個人的にも、厄介事を招かぬ為にΩを避けていたのもあり、ヒート前に巣作りをするΩの行動については知識がなかった。
『全てのΩが巣作りをするわけではない』
『余程信頼していて、匂いに包まれると安心できると感じているのだろう』
通信機越しに医師の説明を聞きながら、自身の衣服に囲まれ安心し切った表情で眠るレイヴンを見下ろした日を思い出す。
あの時と同じ、体内を巡る血が熱くなるの感じながら、少女をベッドに下ろした。
「私も入れるように、以前より大きな巣を作ろうとしたのでしょう?」
「
……
っ、うん
…
!」
ぱっと表情を明るくしたレイヴンは、慌てた様に抱えていた衣服を並べ始めた。
悩みながら配置し、納得がいくまで細部を整えている己のΩを、ベッドに腰を掛けて見つめる。
レイヴンの作る巣はお世辞にも上手とは言い難かったが、番いが自分に安心して抱かれる為に懸命に拵えたと思うと、言いようのない感情が湧いてくるのだった。
やがて満足したのか、こちらを振り返った少女に、良く出来ていると深く頷いてやる。
「スネイル、きて」
嬉しそうに表情を蕩けさせたレイヴンは、夢見心地のように囁く。
両手を差し出す少女に招かれるまま、仕上がったばかりの巣に足を踏み入れた。
抱き締めると小さな体は一段と甘く香り、いつもより高い体温に乗って包み込む様に誘ってくる。
本格的なヒートに入るのも、もうすぐだろう。
幾度目かの蜜月まで、あと少し。
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