カッパ巻き大車輪
2024-04-10 18:56:16
1141文字
Public 小説
 

スネ6♀の小説

倒れた621ちゃんを介抱する閣下の話です。なんか…ACからのフィードバックとかそんな…あれです(ふわふわ設定)



ふと目を開けると、辺り一面真っ暗だった。
体を起こし、周囲を見渡しても何も見えない。
手をついている筈の床の感触すら曖昧で、急に心細くなる。
やがて肌を冷たい空気が掠め、思わず両手で自分自身を抱きしめる。
この暗闇に、手と足の先からほろほろと体が溶けてしまうような気がして、膝を抱えて顔を埋める。
こわい。どうしてだれもいないの。
涙が滲みそうになったその時、そっと背中に触れる温かいものに気付いた。
そのまま浮遊感に包まれ、段々と明るいところに引き上げられていく。
おでこの辺りをふわりと撫でられたような気がして、無意識にその温もりに擦り寄る。
だれだろう。とってもあたたかい。
安心すると何だか眠たくて、抗わずに目を閉じた。

次に目を開けた時、視界に飛び込んだのは紫の瞳だった。
……スネイル?」
「じっとしていなさい」
真剣な眼差しはこちらを見ているようで、見ていない事に気付く。
額と額を触れ合わせて、何か別の物を追っているようだ。
きょろりと視線だけで周囲を窺うと、そこは見覚えのある場所だった。
微かな機械油の匂いと、絶えず聞こえる何かの駆動音と金属音。
今朝方、任務の為に数機の僚機と共に発った筈のアーキバスの格納庫だった。
どこかジンと痺れたような頭で状況を確認する。
どうやら自分は、膝をついたスネイルに背中を支えられ、床に座らされているらしい。
視線を戻し、思いのほか長い睫毛に縁取られた瞳に魅入っていると、ゆっくりと体を離したスネイルは短くため息をついた。
……事態を把握できていますか?」
小さく首を振ると、彼は先程より大きなため息をつく。
「貴女はACからの過剰なフィードバックで目を回していたのですよ。今は、直接脳内のC管理デバイスに接続して意識を呼び戻したところです」
そんなこと、できるんだ」
「私を誰だと思っているんです」
遡れるところまで記憶を思い出しているうちに、カラカラと音を立ててストレッチャーが運ばれてきた。
「全く……手間のかかる」
眉根を寄せ、心底不満気に呟いたスネイルに抱き上げられ、体が浮遊感に包まれる。
それは、覚えのある感覚だった。
……貴方だったんだ」
「なんです?」
あの暗闇から掬い上げてくれた人。
見下ろす彼と視線が合って、温もりの正体に思わず微笑む。
スネイルは先程までの不機嫌な顔と違い、怪訝そうな、少し困っているような……初めて見る表情を浮かべていた。
ストレッチャーに寝かされると、気が抜けたのかまた眠たくなってしまう。
何だか離れがたくて、まだあの紫の瞳を見ていたくて傍らに立つスネイルを見上げると、視線に気付いた彼と目が合う。
瞼が閉じ切るまでの間、その瞳が逸らされることはなかった。