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カッパ巻き大車輪
2024-04-09 19:44:26
894文字
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小説
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スネ6♀の小説
周りが見えなくなるくらい夢中な621ちゃん、或いは二人の話です。
「わっ!
……
びっくりした?」
背中に小さな衝撃を感じて振り返ると、腰にレイヴンが抱き着いて得意げに笑っていた。
いつもなら、ため息をつきながら低い位置にある頭を撫でてやるのだが、今回は状況が違った。
向かいには、先程まで打ち合わせをしていた他部署の職員達がいるのだ。
「
……
ぁ
…
」
少女も気付いたらしく、しがみついた脇腹辺りから私より余程驚いた顔をしている人々を覗き見ると、笑顔を消してそろそろと引っ込んだ。
縮こまってこちらの背中に張り付き、息を潜めている
……
どうやら、隠れているつもりらしい。
前を向き直り、いくつか言葉を交わした後に職員達を見送る。
改めて振り返ると、無いはずの耳と尻尾をしょんぼりと下げたレイヴンがいた。
「
……
ごめんなさい」
ご機嫌で登場した時とは打って変わってしおらしい様子に、苦笑しながら頭を撫でてやる。
少女の乱入が問題になる程、気を張る必要のある相手方ではなかった。
だからこそ、敵意なく背後から忍び寄る存在に気付かなかったとも言えるが。
「仕事の話は終わっていましたから」
「
……
ほんと?」
頷いてやると、安心したように肩の力を抜いたレイヴンは真面目な顔で呟いた。
「他の人がいるの見えなかった。スネイルが大きいから隠れちゃって見えなかったのかも」
「何を雑な責任転嫁をしようとしてるんです」
呆れて言えば、レイヴンはなお真剣な表情で言い募る。
「でも、ほんとうだよ。スネイル以外、見えなかった」
「
…………
」
真っ直ぐにこちらを見つめて告げられた言葉に思わず黙り込むと、レイヴンは不思議そうに首を傾げた。
「スネイル?」
「
……
喋り通しで喉が渇きました。戻ってフィーカでも飲みましょうか」
「!
……
わたし、わたし淹れてあげるっ」
ぱっと表情を明るくしたレイヴンは、空いている方の手を掴むと急かすように引いて歩き出した。
ふわふわと揺れる少女の白い髪を見つめながら、先程の言葉を思い返す。
〝貴方しか見えない〟だなんて、とんだ殺し文句ではないか。
だが確かに、我が物顔で通路を進む小さな背中を見ていると、不思議と周りのものは目に入らなかった。
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