カッパ巻き大車輪
2024-03-05 20:24:04
1071文字
Public 小説
 

スネ6♀の小説

弊スネ6が閣下告白√から発生していたら。
恋も愛も知らない621ちゃんは、真正面から好意を伝えてくれた人に直向きに思いを返そうとするんだと思う。



「貴女のことが、好きです」
交際の経験はそれなりにあったが、他人からの好意に応じる形か、先々の利を秤にかけた打算的なものばかりだった。
レイヴンへの恋心を自覚するまで、本気の恋愛など頭の浮かれた連中がするものだと思っていたのだ。
今なら分かる。決して、浮ついた感情だけでは済まないのだと。
仕事の繋がりだけでは、そう頻繁に顔を合わせる事もできない。
会えない時間は焦燥を生み、こうしている間にも他の男に盗られるのではないかと、年甲斐もなく悩まされた。
会えば会ったで、その笑顔の向けられる先が自分だけではない事実に嫉妬し、胸中穏やかではいられない。
これ以上心を乱されたくなくて、どういう結果に終わろうとも構わないと、半ばヤケクソ気味に思いを告げたのだ。
目の前に立つ少女は、目を丸くしてこちらを見つめている。
「スネイル、私のこと好きなの?」
「はい」
「いつから?」
……は?」
「いつから好きなの?」
「それは、……
予想外の返しに詰まりながら、なんとか言葉を繋ぐ。
仕事を依頼するようになって、人柄に触れていくうちに」
「どうして好きになったの?」
……仕事に対する姿勢に、好感が持てたので」
「どんなところが好き?」
立て続けに繰り出される質問に揶揄われているのかとも思ったが、こちらを見上げて答えを待つ表情はキラキラと期待に満ちており、馬鹿にしている様子は微塵もなかった。
……愛らしいところです」
レイヴンは感動したように吐息を漏らすと、ふらふらと近付き腰元にしがみ付いてきた。
驚きながらも受け止めると、抱きつく腕に力が込められる。
「そういうの、言ってもらったの、はじめて」
夢見心地のように呟かれた言葉に、今までレイヴンは好意を伝えられた事も、伝えた事もないのだろうと感じた。
まるで手付かずの新雪のように、誰の手にも触れられた事がない心は幼いままなのだろう。
人から思いを寄せられて初めて恋愛の当事者になり、憧れに触れたような気持ちでいるのかもしれない。
「ほんとに、私のこと、好き?」
「もちろん」
……!」
頬を上気させた少女は、一層強く抱き着いて額を押し付けてくる。
言葉で上手く言い表せない代わりに、行動で伝えようとしているようだった。
今はまだ、彼女の思いは恋ではないのだろう。
心を与えられたことが嬉しく、自分も同じものを返そうとしているだけ。
だからこそ、この機を逃がす手はない。
この浮ついた感情の向き合う先は互いだけなのだと伝える為に、喜びを精一杯表す小さな体を抱き締め返した。