カッパ巻き大車輪
2024-01-19 22:12:16
830文字
Public 小説
 

スネ6♀の小説

些細なきっかけから恋に落ちて欲しいんじゃ(遺言)



いつもより少し複雑な合同任務に当たり、その詳細を詰める為にとウォルターに随伴しアーキバスへと赴いた。
着陸許可を得て指定の格納庫へと移送用ヘリを進め、誘導に従いキャットウォークに降り立った、その時。
何か重く固い物が鋼鉄製の足場に落下したらしく、格納庫全体に響き渡る程の音が鳴り響き、思わず左隣にいたウォルターにしがみついた。
いつまでも反響する音にギュッと瞼を閉じると、ゆるゆるとどこかぎこちなく背中を撫でる大きな手に気付いて恐る恐る目を開ける。
「大丈夫か?」
……うん」
右側から声を掛けられそちらを向くと、心配と、何故か少し私の頭上を気にする何とも言えない表情を浮かべたウォルターがいた。
そこで初めて、あれ?と思った。
しがみついてる筈のウォルターが、どうしてそちら側に立っているんだろう?
正面を向き直り少し視線を上げると、今や見慣れたロゴマーク。
更にずうっと上まで顔を上げれば、ウォルター同様なんとも言えない表情をしたV.Ⅱスネイルがこちらを見下ろしていた。
……!」
思わず数歩後ろに飛び退いて、それからウォルターの後ろに隠れる。
今度こそ間違いなくウォルターにしがみつきながら少しだけ顔を出して、小さく「ごめんなさい」と呟いた。
軽く咳払いをしたスネイルは、僅かに皺のよった制服を軽く整えて、
……こちらこそ、整備班が驚かすような真似をして失礼した」
抑揚のない声で告げると、それ以上は何も言わずに施設内部へと歩き出した。
その後に続くウォルターに遅れないように付き従って歩みを進めながら、先頭を行く人物の背中をそっと見遣る。
スピーカー越しのやり取りの間は、あまり温度を感じられない人だと思っていたから、もしかしたら触れたら冷たいのかななんて馬鹿なことを考えていた。
思わずしがみついた私を突き放さずに、そっと背に触れた大きな手。
その温度が今も残っているようでそわそわと落ち着かず、またウォルターの影に隠れてしまった。