カッパ巻き大車輪
2023-11-27 19:27:08
970文字
Public 小説
 

スネ6♀の小説

平和な時空。621ちゃんが閣下を好きになった理由がシンプルに見た目だったらそれはそれですげー良いじゃん…てなった訳ですが、どうでしょうか(どうでしょうか??)



視線を感じる。
斜め下から。

チラとそちらを見遣ると目が合った事に慌てて俯く少女の姿。
かの悪名高いハンドラー・ウォルターへの仕事の斡旋が始まってからその猟犬ともアーキバスで顔を合わせる事が増えたのだが終始この様子である。
片手に杖を携えながらも端然と立ち振る舞う、猟犬の飼い主と仕事に関わるいくつかの確認を淡々としながら内心ではため息をつく。
不躾に見つめられ何か用かと見返せば目を逸らされる。その繰り返し。
一体どういうつもりなのか。



「一体どういうつもりですか」
直接そう問い質す機会は思いの外すぐに訪れた。
いつも少女が随伴しているハンドラーの姿は見えない。
何事か所用があってここに残されたであろう猟犬は目に見えて落ち着きなく目線を彷徨わせ口を噤んでいる。
苛立たしい。
アーキバスでハンドラーの猟犬と関わる事があるのはV部隊でも限られた人間だけだが、そういった他の隊員達とは普通にやり取りしている姿を見た事があるだけに自身へのこの振る舞いは余計に腹立たしいものがあった。
少女の前に立ち塞がり詰問するのも大人気ないとは思うがいい加減はっきりとさせたい。
「言いたい事があるなら言ったらどうですか」
苛立ちを隠しもせずに滲ませた声色でそう言い放てば少女は顔を上げ意を決したように口を開いた。
「顔、かっこいいね」

は?
「は?」
心の声がそのまま口を衝いて出たことで脳内で副音声のようになり余計に混乱を誘った。
思わず周囲を見渡し誰もいない事を確認して改めて少女に向き直る。
「スネイルは、背も高くて、かっこいいね
言いながら俯き視線を彷徨わせる姿は先程までは強い苛立ちを感じさせたのに今は何か別の感情を想起させる。
は?
は?」
混乱が続きまともに対応できないこちらなど全く気にしていないようで、僅かに上気させた顔に柔らかな笑みを浮かべた少女は所用を終え戻って来たハンドラーを見とめると軽やかに走り去って行った。

……はぁ?

……はぁ?」

後には苛立ちとは別の感情に支配され立ち尽くす事しかできない男が取り残された。


そんな如何にも何かが始まりそうな出来事があったにも関わらず、言いたいことを言って満足したらしい猟犬からのこれといったアクションは以降なく新たな苛立ちを抱える事となる。