カッパ巻き大車輪
2023-11-23 16:28:33
890文字
Public 小説
 

スネ6♀の小説

平和な時空。勤労感謝の日ということで毎日頑張ってるお疲れな閣下に621ちゃんをプレゼント〜。



寝てる……

約束の日、スネイルの自室を訪れたレイヴンが見たのはベッドに横たわる部屋の主人の姿だった。

疲労が限界だったのか、ほんの少し仮眠するだけのつもりだったのかブランケット一枚被らず、眼鏡を掛けたままで。
いつもの背筋が伸びて毅然とした様子とは違う珍しい姿に興味津々だったが、これが良くない状態なのはウォルターから聞いた知識で知っていた。
何も掛けずに寝ると風邪を引くし、眼鏡をしたまま寝るとフレームが歪んだりするらしい。

外してあげよう。
とても良い事を思いついたとそっと手を伸ばし僅かにずれた眼鏡に触れる。
起こさないように慎重に引き抜いて無事ミッションを完了し丁寧にテンプルを畳んでベッドサイドに置いた。
次の瞬間だった。
「わ、ぶっ!?」
大きな手に二の腕あたりを掴まれたと思ったら物凄い勢いで引っ張られ気付いたら半分押さえ込まれる様な形でベッドに引き摺り込まれていた。

寝たふりしてた!

憤慨し抗議の一つも言ってやろうと自身と規格の違う長い手足に巻き付かれながらなんとかもがいてスネイルの顔を仰ぎ見ると、意外やそこにあったのは先程と変わらぬ寝顔だった。
前に会った時より少しクマが濃い気がして、今日会う時間を作る為に無理をしたのかなと思うと嬉しいような切ないような不思議な気持ちになる。
なんとか伸ばした手で眉間に寄った皺をそっと撫でると力が抜けた様に寝顔は穏やかなものになったが反して巻き付く手足に込められた力は増した。
「ぐぇ
思わず呻き声が出たがこちらを抱き竦めるその様子が一番のお気に入りを取られまいとする子供みたいで振り解く気にはなれず、なんとか足元のブランケットを引き上げようと奮闘するもそれも叶わなかった為せめてもの代わりにと小さな手を背に回す。
お疲れさま、スネイル」
息苦しさには目を瞑りそっと囁く。
そうして体温を分けているうちに気が付くと自分も眠りに落ちていたのだった。


いつになくぐっすり眠れてすっきりしたスネイルが締め上げられてうんうん唸る腕の中の温もりに気付いて飛び起きるのはまだ少し先である。