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カッパ巻き大車輪
2023-11-19 14:25:21
2193文字
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小説
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スネ6♀の小説
平和な時空。些細なすれ違いから喧嘩をしてしまった閣下と621ちゃん…無事に仲直りが出来るのか!?(ラブコメの導入)
ACでの出撃後に簡単なメディカルチェックを受けるのは通常通りだが、医療班に回されての検査など随分久しぶりだった。
併設された医療施設での検査を順番に受けながら朝の出来事を思い出してふと憂鬱になる。
事の発端は些細なものだったように思う。
恐らく普段ならば気にも留めないようなことがその日は互いに許せなかった。
自分は思う様に捗らない案件を抱えて苛立ちを感じていたし、それによって続くすれ違いにレイヴンは俯くことも多かった。
そんな状態で繰り出す言葉は棘となりやがて鋭い刃になっていった。
しかし言い合いになればどちらが有利かなど自明であり、早々に言葉の尽きたレイヴンは黙り込んで上目にこちらを見上げるばかりだった。
そこで留まるべきだったが疲労で判断力の鈍った頭は箍が外れたように謗り言を連ねて彼女の変化を見逃してしまった。
「はぁ
…
大体、貴女はいつも、」
溜め息と共に外していた視線をレイヴンに戻せばこちらを見上げる大きな瞳に溜まった涙が今にも溢れそうだった。
ハッとして何か言おうと口を開くより先に瞬きと同時に雫が床に落ちて、
「
…
きらいっ
…
」
消え入るような声で告げられたのは非常に簡素な言葉だったがその攻撃力は大したもので、体がACS負荷限界に達したかの如く固まってしまった。
そして小走りに傍をすり抜ける少女を引き止めることも出来なかったのだった。
そんな出来事があった後でどこか気もそぞろだったのだろう。
その日、常では考えられないようなミスを繰り返す私に声を掛けたのはフロイトだった。
「どうしたスネイル。死にそうな顔して」
「死
……
いや、いっそ死ねと言われた方がマシだったかもしれません
…
」
「えっ、何の話?」
事の顛末を説明すると恋人に酷い事を言って泣かせた挙句に嫌いと言われて茫然自失です、という我ながら情けない話だったが最早背に腹は変えられないので正直に述べて助言を乞う。
「そんなの売り言葉に買い言葉みたいなもんだろ。謝って元通りじゃないのか」
「そうではなく本気だった場合は?」
「それは
…
別れることになるんじゃないか」
「えっ
……
嫌です
…
」
「俺に言うなよ」
最悪のパターンが頭を過ぎる中、並び歩きながらフロイトはそういえばと口を開いた。
「あれ、お前この後出る仕事がなかったか?」
「ありましたね
…
」
「その前に一応でも片をつけとけよ。気掛かりを残して出撃とか碌なことにならないやつだぞ」
「それは
…
わかっていますが
…
」
「あっ、言ってたら丁度いるじゃないかあそこに」
ほら、と指差された方向を見れば確かにそこにはレイヴンがおり何事か第2部隊の隊員と話しているようだった。
しかしこちらが行動を起こすより先に私に気付いた彼女は僅かに肩を跳ねさせると踵を返して反対方向へと去って行ってしまった。
後にはこちらと走り去るレイヴンを交互に見て困惑している隊員だけが残された。
「
……
もう一度、面と向かって嫌いと言われたらその場で命を落としかねないので戻ってから考えます」
「冷静な自己分析が出来てるな」
そんなやり取りの後だった。
ACでの作戦行動中に判断を誤り真面から敵の攻撃の直撃を食らい、衝撃に強く頭を振られたのもあって念の為検査となったのだ。
そして「久しぶりですし、一通り診ておきましょう!」と張り切る医師に予想外の足止めを受けている
…
というのが現状である。
本当ならばすぐにでも戻って彼女に謝罪なり何なりして問題の解決を図りたいところだが、もしかしたらもう帰った可能性も思い浮かび現実逃避から甘んじて足止めを受け入れている自分もいた。
俄かに検査室の外が騒がしくなり何事かと見れば勢いよく開いた扉から姿を見せたのは正に今思い浮かべていた人物、レイヴンだった。
息を弾ませた少女は蒼白の顔でこちらを認めると唇を震わせながら呟く。
「
…
ぁ
……
怪我したって、フロイトから聞いて
…
」
「
…
いや、怪我という程のものでは
…
」
近付いて良いものか戸惑うように入り口に立ち尽くすレイヴンは俯いてぽつぽつと話し出した。
「
…
わたし、なんですぐ、ごめんなさいって言わなかったんだろうって
…
」
「
………
」
「いっ、言えないままになっちゃったら、どうしようって
…
っ」
顔を上げたレイヴンの瞳には今朝方と同じように大粒の涙が溜まっており、思わず立ち上がってこちらから歩み寄れば堪えきれなかった涙を落としながら小さな体が迷わず腕の中に飛び込んできた。
「ごめんなさいっ
…
」
「いえ、謝るのは私の方です」
すみませんでした、素直にそう告げればますますしがみついてくる少女を強く抱きしめ返す。
謝ってしまえばこんなに簡単な事だったのかと腕の中の体温に拍子抜けしてしまう。
お互いがつまらない意地に振り回されていただけだった。
見下ろしたレイヴンの円い頬を伝う涙を拭ってやりながら、以降こういった諍いが起きた際は即刻落とし所を見つける事、間違っても有耶無耶のまま出撃などしない事を二人で伝え合ったのだった。
「
…
そうでした、ひとつだけお願いが」
大事な事を伝え忘れていた。
「貴女に嫌いと言われて、その
…
非常に参りましたので
…
」
「ごめんなさい
…
」
「今度からは嫌いの代わりに、死ねと言ってもらっていいですか」
「!?
…
い、言わないよっ
…
!」
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