かずわや
2017-02-07 02:46:21
1442文字
Public 刀剣乱舞
 

【さよおて】喫茶店デート(仮)【現パロ】

書いてて楽しかったところだけ抜粋。全部楽しいんですけど!
さよおてすごく楽しいです。さよおてすごく楽しいんですよ~見てくださってありがとうございます……

「いつもつまらない話聞かせてごめんなあ」
……いや、そんなことは」
 取り留めのない話がわりと好きだ、と言うことはできなかった。むしろ口数の少ない自分のせいで、彼をつまらなくさせているかもしれない。
「あんたは優しいから、いろいろ話しちまう」
「そう、かな……。そう言われたのは、初めて」
「みんなあんたと話さないからだなあ。話せば、良い奴だってわかるのに」
 僕は俯いた。目つきが悪いのと、こんな性格で、学校にも友達と胸を張って呼べる人はいない。でもそれで良いと思っている。僕は自分のことを人に話すのが好きではなかった。兄もそういう人達だ。愛されているという、家族の情は受け取っている。でも僕達の間にきらびやかな会話はなくて、僕は普段使わない言葉のほとんどを、多分御手杵との会話で使っていた。
「あなたは、自分のことを、さらしすぎだよ……
 だから、余計にそう思う。ココアをかき混ぜながら、僕は俯いて言った。御手杵は小学生ではないから誘拐されることはないだろうが、あまり自分のことを話しすぎるのはよくないのでは。うええ、そうかな、と情けなく頭を掻く御手杵に、そうだよ。絶対。と意気込んで言う。もっと自分を大切に。
……でも、それは多分、小夜に知ってほしいからだな。俺のこと」
 かき混ぜる手がぴたりと止まった。おそるおそる見上げると、柔らかな枯茶の瞳が僕を見下ろしていた。窓から射す茜色の光を吸い、瞳は黄金にさえ見えて、そのあまりの清廉さに僕は息が止まったような気がした。
 もっと、自分を大切に……。喉に言葉が詰まって、また俯いて、それしか言うことができなかった。
「はは、ありがとなあ」
 御手杵が笑って、席を立つ音が聞こえる。
 もう行くの? 声は情けなくココアに落ちた。まだいつもの時間より早い。いつもは少なくとも夜、終業時までいてくれるのに。約束があるんだ、と御手杵は言った。僕は、そう、と呟いた。大学の友達だろうか。約束なら引き留める権利は僕にはない。
 レシートを持ってレジに行こうとする御手杵に気づいて、僕はその袖を控えめに掴んだ。
「ま、まって。自分で払う」
 ランドセルの中には兄達が持たせてくれた財布がある。お小遣いも少ないけれどちゃんと貰っているから、ココア分は払える。マジックテープをびりびり剥がしていると、御手杵の白い指が制するように触れた。
「あんた、かっこいいのにそこだけ可愛いよなあ」
 小学生に払わせたらかっこ悪いだろお。御手杵が笑いながら言う。長い指が僕の頭を手早くかき混ぜて、じゃあ、またな、と低く穏やかな声を落とした。コーヒーの香りが遠ざかっていく。
「ありがとうございました……って、なんですか、その財布。一体誰に貢がれてるんですかねえ、まあだいたい想像はつきますけど」
「貢がれてねえよ……
「でも自分で買ったものではないんでしょう? その腕時計だって」
「そうだけどさあ……
 兄と御手杵の会話を遠くで聞きながら、僕はぼんやりココアを見つめていた。御手杵の声はひどく耳に残る。そして、黄金の瞳がいまだに脳裏に焼き付いていた。きれいだ、と思った心がまだ震えている。御手杵は安っぽい服しか着ないし、髪もまめに整えているほうではない。けれど、よく見ればわかる。どんなに雑に見た目を飾っても、彼の顔立ちが、本質が、驚くほど美しいのが隠しきれずに外に出てくるのだ。まるで人間ではないような。そう思わせる顔を彼は時々してみせる。