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すずかけあおい
2024-06-15 10:53:32
1197文字
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読み切り小話
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読み切り小話
目がかゆい攻めと、攻めに目をこすらせたくない受け、高校生・幼馴染で恋人、ネームレス。pixivに『小話まとめ』で投稿済。
「うー
……
」
突然謎な呻き声がするのでそちらに視線を動かすと、しかめっ面が。綺麗な顔が台無しだ。いつもその表情でいれば、女子からの告白の嵐も止むんじゃないか。俺はそのほうが安心かも
……
言わないけど。
「どうした?」
「目、かゆい」
「あー、アレルギーか?」
「かも」
こいつは昔からアレルギー体質で、花粉症もち。肌も刺激に弱い。花粉の多く飛ぶときは目も鼻も肌も赤くなって可哀想だ。目を擦ろうとするので、手首を掴んで止める。
「だめ」
「かゆい」
「目薬は?」
「バッグの中」
言われたとおりに通学バッグを漁り、目薬を探し当てて渡す。おとなしく点眼しているのを隣で見守ってため息。最初から目薬を使えばいいのに。
「目は大事にしろよ」
「うーん
……
でもかゆくて。目薬で収まらないときがあるし」
「擦って傷ついたら大変だぞ」
「わかってはいるんだけど
……
」
かゆいのが辛いのはわかるし、我慢できないのもわかるけど。
「それで万が一なにかあったらどうすんだ」
かゆみから気を逸らすように、俺の手を握ったり離したりして遊んでいた手がぴたっと止まった。そして、ものすごい形相で顔を寄せてくる。ちょっと怖い。
「なにかってなに!?」
「なにかはなにか」
「万が一な『なにか』って!?」
「うーん
……
なにか?」
答えを濁すと、がばっと抱きつかれた。ぎゅうぎゅう抱き締められて苦しい。
「一生、なにがあっても目擦んない! おまえの顔見られなくなるなんて絶対ぜーったい嫌だ!」
「おおげさな
……
俺の顔なんて。まあ、目を擦らないのはいいことだけど」
「おおげさじゃない!」
ぎゅうぎゅうが更に強くなって、本当に苦しい。苦しいから離せ、と身体に回った腕を叩くと、なんとか解放されて深呼吸する。力の加減をしろ。小さいときにじゃれ合ったのと同じ感覚でぎゅうぎゅう絞められたら、高校生になった今では呼吸が止まる。
「俺の生きる糧はおまえの笑顔なんだから」
「
……
笑顔だけなの?」
あ、まずい。これじゃまるで、「笑顔以外も好きでいて」っていうおねだりみたいに聞こえるから言い直さないと。そういう意図が全然なかったわけじゃないんだけど、それに気づかれるのも恥ずかしい。
……
もう遅かった。眼前の男はにこにこしている。
「いや? どんな表情も可愛いと思ってるよ」
嬉しそうだ。でも、こいつがこういう表情をしていると俺も嬉しくなる。単純かもしれないが、好きなんだからしょうがない。
「
……
ばーか」
恥ずかしすぎて頬が熱い。それを隠そうと顔を背けようとしたけれど、頬に手を添えられてしまってできなかった。まっすぐ見つめ合う。ちょっと目が赤いな。
「まだかゆい?」
「かゆくても絶対擦らないよ」
「うん」
頬に添えられた手に俺も手を重ねて、おでことおでこをそっとくっつけた。
(終)
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