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ぶんどき
2024-06-14 12:47:41
1574文字
Public
TRPG
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世界に愛が咲いたなら
GODARCA 現行未通過❌
HOⅥ恋人:アーロン・アーセナル / ロスト
彼が遺したものなどの話。
副官(モーゼスくん)の生存/ロストをチョイスで決めたら生存していました。
======
世界を愛で満たすのは決して簡単なことではない。それこそ、綺麗な花で埋め尽くそうとしているようなものだ。種をまいて、水をやって
……
そうしたって必ず綺麗な花が咲くかとは限らない。咲いてみないとわからないものだ。
それでも、この荒廃した地球の、少しでも美しい姿を取り戻したかった。
そんな大義名分を【恋人】の名のもとに掲げていた。
実際のところどうだったかというと、俺はそれほど大層な人間ではないように思うのだ。
ただ自由に、愛したい人を愛していただけ。
それが結果として世界に愛を振りまくことになっていれば嬉しいとは思うけれど。
神話との戦いが本格的に始まったら、俺はきっと生きて帰っては来れないだろう。
しかし、俺が死んだとしても俺が愛した誰かが生きていてくれれば。そうすれば、きっと、俺がまいた種が芽を出して、愛の花を咲かせると信じている。
綺麗事だって、くだらないおとぎ話だって笑われても構わない。そんな夢みたいな理想を、誰かが口にしなければ叶うものも叶わないのだから。だからせめて、俺が唱え続けよう。
世界に愛が咲いたなら、この星はきっと、宇宙のどの星よりも美しいに違いない!
……
ひとつ、欲を言うのなら、そんな愛の花が咲き乱れる美しい光景をこの目で見たかった。
まあ、でも、きっと代わりに誰かが見てくれるだろうから不安はない。
今日も、副官のモーゼスをはじめとした【恋人】部隊のみんなに、アルカナのみんなに、俺の愛が届いていますように。
*
『神話防衛機関アルカナ』【恋人】部隊の隊長であるモーゼスは日記を閉じた。前任であるアーロンの私室の遺品整理をしているところだった。長く大きな神話との戦いが終わってから早一ヶ月。この部屋もずっとこのまましておくわけにはいかない。
「
……
アーロンさん。貴方って人は本当に
……
」
副官として長らく彼に付き従っていたというのに、自分は生き残って彼は死んでしまった。その事実を上手く咀嚼しなければならないのに、いまいち飲み込み方がわからない。
いつも眩しくて、きらきらしていた彼。その輝きが近くにないだけでこんなにも物寂しいものなのか。彼が綴った日記を読んだことで、心にぽっかりと穴が空いたような喪失感がより現実味を帯びて際立つ。
埋葬する前に一度、宝石と化した彼の心臓を見せてもらった。彼の瞳のようなローズの宝石。やはり宝石になっても彼は美しかった。
「どこまでも愛に溢れた人でしたよ、貴方は」
眼鏡のレンズに、ぽたり、と雫が落ちた。ああいけない、彼から引き継いだ隊長がこんな、調子では。眼鏡を外し、ハンカチでレンズを拭く。
しかし、拭いている間にも追い打ちをかけるように雫が滴り落ちる。唇を噛み締めても嗚咽が漏れる。
「
……
あぁ、貴方は、もう、どこにもいないんですね」
途端に現実が、実感が押し寄せてくる。
「世界のために、戦った
……
っ。愛のために、最期まで立派に、その身を捧げた、」
「でも、僕はそれでも、もっと、貴方と一緒にいたかった
……
!」
部屋に自分一人しかいないことをいいことに大人気なくしゃくりあげた。堰を切ったように溢れる涙の止め方がわからない。
酷いことに世界は、彼を喪っても変わらず進んでゆく。人々は、いずれ英雄たちの名を忘れ平穏を謳歌するだろう。だからせめて、僕だけでも、
手の甲で目を擦り、無理やり涙を拭う。真っ赤になった目を瞬きさせ、呼吸を落ち着ける。
「
……
貴方が夢見た景色、僕が必ず叶えますから」
──世界に愛が咲いたなら。
その時は一番に貴方に報告するので、待っていてください。
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