溶けかけ。
2024-06-13 22:17:42
2121文字
Public ほぼ日刊
 

魔法世界へようこそ!

ハリポタ×ヌフのお話。
所謂、クロスオーバーです。
ダンブルドア先生とヌさんにギスギスしたお茶会してほしくて書きました。
推しcpは取り敢えず、クロスオーバーさせたりもします。

…………

…………

 前世と数えてここまで気まずいお茶会があっただろうか、と考えながらフリーナは紅茶を啜った。右にヌヴィレット。左側には白い髭をたっぷりと蓄えた老人――アルバス・ダンブルドアがいる。

…………

…………

 二人は黙ったままだが、その目には火花がパチパチと散っている。主にヌヴィレットのほうが、だが。

……のう。お嬢さん」

「ふぁ、ふぁい!?」

 紅茶が気管に入った。なんて情けないんだ、と思いながら咳き込む。ヌヴィレットが僕の背を優しく擦るのが滲んだ視界でも良くわかった。

「そこの彼にわしを射殺すような目で見るのは止めてくれ、と言ってくれんかね?」

「ダンブルドア殿。フリーナ殿を巻き込むような真似はやめて頂きたい。ただでさえ、私の結界をくぐり抜けてきた不法侵入者への対応に頭を痛めているというのに……

 ――――バチバチバチッ!二人の間に閃光もかくや、と言えるほどの火花が舞った。方や無表情、方や笑顔のお茶会にフリーナはこっそりと胃を押さえた。隣ではサロンメンバーがおろおろとしている。ごめんね、心配かけて、と目線だけで伝えた。

「おぉ……今代の龍は怖いのう……

 ダンブルドアはわざとらしい仕草で身を震わせた。全然怖がっていないことは見ていて分かる。

「怖い龍との会話なぞ、打ち切って帰ったほうが有意義なのでは?――龍が強欲なのはどこの国の伝承でも良く知られているはずなのでな……

「それが、そういうわけにもいかなくてのう」

 ダンブルドアがフリーナに顔を向け、人好きのする笑みを浮かべた。――――胡散臭い、とフリーナは思った。優しいだけには見えない笑みに警戒を強める。

「お嬢さん……魔法の勉強をしてみたくはないかね?」

「は?」

「ダンブルドア殿、その話は……っ!」

 ヌヴィレットが机を強く叩いて立ち上がり、フリーナとダンブルドアの間に割って入った。

「彼女はホグワーツへは行かせない」

「それは彼女が決めることじゃ」

 二人は一歩も引かない。ダンブルドアの視線がヌヴィレット越しにフリーナを見つめた。

「ヌヴィレット……

「フリーナ……これは……

 罰が悪そうな顔をして目をそらすヌヴィレット。ああ、やっぱり、とフリーナは自身の中にあった疑問が溶けていくのを感じた。

「キミが入学案内書を届かなくしたんだね」

「それは……

 言い淀むということは図星だと白状しているようなものなのは彼も理解しているのだろう。だから、目をそらした。

「キミが行くな、というなら僕は行かない…………キミが理由もなくこんなことをするはずがないって知っているからね」

 本来なら、届いている頃合いなのは知っていた。幼い頃から魔力があって、お互いに名家の出身だ。届かない方が不自然なのだから。

「行けば、君を虐げた者にも会うと思ったのだ……それだけではない。フォンテーヌという名を利用しようと群がる純血主義の者達も同様に君を傷つけると……

 彼女の顔がまっすぐに見られなくて思わず下を向く。前世より小さく頼りないこの体はいざという時に彼女を守れない。ヌヴィレットの脳内に再会したときの彼女の姿が浮かぶ。痩せ細り、ぼんやりと虚空を見つめる曇った瞳――――もう二度と、あんな姿は見たくない。

「なるほどね。相変わらず心配性だなぁ……

 くすくすと笑う彼女に罪悪感が芽生えた。きっと、ヌヴィレットが行かせない、と言えば彼女はその通りにするだろう、そういう人だ。前世も今も。

 円卓に置かれた手紙を取る。ダンブルドアが満足そうに頷いた。

「覚えていろ……

「はて、なんのことじゃろうか?」

 惚けた顔をしておちゃめに微笑む老人を睨みつける。あくまで、彼女のためでありお前の思惑には乗らないぞ、という思いを込めて。

「では、入学式の日を楽しみにしておるぞ」

 姿くらまし独特の音がして、ダンブルドアの姿が掻き消える。彼の座っていた席には2通の手紙が残されていた。

「狸め……

「狸?」

 首を傾げるフリーナになんでもない、と首を振る。残された手紙の封を切って中身を確認すれば、必需品リストであった。本当に食えない男だ、とヌヴィレットは内心で舌打ちをした。

「わあ……!ヒキガエルに、大鍋だって!まるでマクベスの魔女みたいだ!」

 手紙を胸に抱いて、わあわあと大げさに喜ぶフリーナに毒気を抜かれる。なんだか、怒っていたこちらが馬鹿らしくなってしまった。

「嬉しそうだな?」

「それはそうさ!魔法なんて前世でもおとぎ話の代物だったから……って、ごめん……

「なぜ、謝る?」

「キミは行きたくなかったんだろう……?」

 ヌヴィレットは目を見開く。――ああ、我儘なのはどちらだったのか……

「な、なんで急に抱きしめるんだい……?」

「いや、なに。私は子供だったな、と」

「僕らは子供だろう……?」

 呆れたような声に笑いが込み上げる。ああ、本当に子供なのは私だったのだな、と抱き締める力を強くした。